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熱波師に学ぶプロフェッショナル【サウナリーマン日記第42話】

プロフェッショナル。

みなさんはどんなイメージを持つだろうか。

プロ野球選手に代表されるような
アスリートだろうか。
それとも伝統工芸のような
職人気質をイメージする方
もいるかもしれない。

少し硬い定義を調べてみる。
「profession=専門的な仕事」に従事
している人や専門的な仕事で評価を得ている人


人はそれぞれ得意なこと、不得手なことがある。
各々が結果的に役割分担をして
社会は回っている。

その中で一つのスキルに秀でて、
職業として極めて
さきに「このひとこそプロフェッショナルだ」
と思う瞬間がある。

そんな瞬間に土曜日のあるサウナ施設で
出会ったのである。
熱波師という職業からプロフェッショナルを
知った。

その出会いがあった施設は
サラリーマンの街のイメージ
が根強い新橋にある。

ニュースの街頭インタビューでおなじみ
であろう。

その新橋にあるこの施設は私が勝手に
師匠と呼ばせて
頂いているヒャダイン氏が
「野戦病院」にたとえた施設である。

我々が例のウィルスに悩まされる前に
書かれた原稿だったと思うが、
金曜日は終電を逃したリーマンのみなさんの
最後の拠り所となった施設らしい。
すごくよくわかる。




過去も何度か訪問していて、
ちょっぴり苦い経験あり。
かなりサウナ室内のお喋り軍団に
出くわす機会があり、しばらく足が
遠ざかっていた。

そんな理由から久しぶりのアスティルである。

偶然にも受付で熱波師が来店することを知る。
受付の担当者はこのイベントの 
ことを「ロウリュ」と呼んでいた。

本来の意味はロウリュとは、
サウナストーブの石に水をかけ水蒸気を
発生させるのを示すフィンランド語である。
この水はアロマを調合することも多い。

そしてサウナ室内に充満した
水蒸気をタオルなどを振って
室内の客へ熱い風を送るのが熱波師なのである。

ドイツ語では、アウフグース、
アウフギーサーと呼ぶ。
日本では2000年前後から
導入され始めているそうだ。

急いで館内着に着替え、浴場へ。
サウナ室に入ろうとすると、
その熱波師はやってきた。

日本で最初に熱波師を職業としたされる
大森熱狼氏である。

ホームページより


かつて、はじめてメジャーリーグで成功を
収めた日本人選手の野茂英雄氏のように
パイオニア的な立ち位置で活躍している
人に私は強いリスペクトを覚える。

前例がないゆえに、プロとして
そのポジションに至るまでの
周囲の無理解や困難。
我々素人の想像を絶するような
物語があったろうと想像する。

従来は、熱波師の仕事はその施設のスタッフの
業務のうちのひとつとされていたが、
そのうちに個々の技術やパフォーマンスが
注目されるようになり、外部のプロの熱波師を
呼ぶのが有名な施設では一般化してきている。

施設のスタッフを両脇にかかえ、
プロレスラーのような入場。
思わず軽く敬礼ならね会釈をしてしまった。
あるインタビューでご本人もよく間違われる
とおっしゃていた。

「熱波師の流儀」という本を通じて、
お名前は存じ上げていたものの、
まずオーラに圧倒される。



サウナ室が満室になることを恐れ、
5分前に下段に入場しようとしたが
大森氏より少し大きめの声でアナウンスが入る。

「体を冷やしておくことをおすすめします」
私はそこまでしなくてもと思った。
ただプロのその目は全く笑っていない。

そんなにすごい熱波であることを
予告しているのか。

慌てて水風呂から水をすくいあげ
自身の身体を冷やす。

そして定刻どおりに始まった。
まず、きちんと安全を最優先にすることを
丁寧に呼びかけていた。

大森氏自身が温浴施設の管理者の
経験があるためか、
現場目線でお客様を配慮する姿勢を感じる。

アロマが充満していく空間で風を待ちながら、
私は「熱波師の流儀」で呼んだ彼の言葉
を思い出していた。

熱波師には「自分が主役の人と風が主役の人」がいる
「熱波師の仕事の流儀」サウナーヨモギダ(著)より


大森氏は間違いなく後者の熱波師である。

今まで受けてきた熱波師と大きく異なる点は、
自分のキャラクターを全面に押し出してエンタテイメント性を出そうとするタイプではないこと。

黙々と優しい風から、強くて熱い風をいただく。
時間はあっという間に過ぎた。


もちろんどちらかの是非を
この文章では伝えたいのではない。
ただこのスタンスを貫いて、
自分のできる最高のサービスを
しようとする姿勢がひとつひとつの
所作から伝わってきた。


途中でお店のバナナジュースの宣伝もしっかり
されているところがすごく面白かった。

しっかり熱波でととのい、
プロとしてのスキルの高さを
しっかり味わうことができた。
これを入館料プラスアルファのお金を
払う価値があると思った。


そこを受けて、
ひとつ感じたこと。
何とかプロの方たちにその技術に
ふさわしい報酬を
ペイできる仕組みはできないだろうか。


一部の施設のようにアウフグースを有料に
するのもありだし、なんかスパチャのような
仕組みが作れればもっともっと
熱波師の存在意義が認められ、
高まる気がしてならない。


今日は偶然でしたが、最高の熱波を頂きました。
サウナオアシスアスティルさん、
そして熱波師の大森熱狼さん
ありがとう。

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