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「寝てないアピール男子」の末路

「最近は残業続きでさぁー、全然寝てないよー」

「昨日は締め切り間際で、忙しすぎて久しぶりに徹夜しちゃって寝られなくてさ。課長も急におれに仕事ふるから、参っちゃうよ」

みなさんの職場でもこのような「おれ、寝てない」発言をするメンバーに出くわしたことはないだろうか。

そしてなぜかわからないが、このような発言は男性が圧倒的に多い。
男性の心理としては、自分は頑張っているというアピール、仕事ができることを承認してほしい表れともとれる。

しかし周囲からこの「寝てないアピール男子」は、時間管理能力、段取り力のなさ等から、「能力不足と生産性の低さ」のレッテルを貼られてしまうことになっていることに気づいていない。筆者の経験においても、周囲の評価や信頼も高いビジネスパーソンはこのような発言は決してしない。結果を出して十分アピールできるからだ。

私は企業の現場に入って、従業員の健康を支援する健康経営コンサルティングに従事している。そのため、睡眠・運動・食事といった健康になるための習慣やそのやり方について人一倍興味を持ち、探求を重ねてきた。

その中でハイパフォーマンスを発揮して、結果を出していく大人の条件として「よく寝て、睡眠の質を上げる」ことは重要なファクターであると確信するに至った。
冒頭の例のように寝てないアピールまでする人は少ないだろうが、
今回は「寝てないアピール男子」になってしまうとどんな末路なのか、そしてよりよい睡眠のため実践した筆者の最も効果のあったノウハウを紹介したいので、最後まで読んでいただきたい。

◎「おれ、寝てない」状態が招く負のスパイラル

「国民健康・栄養調査」(平成30年)のデータを紹介しよう。健康的な睡眠時間の基準と言える7時間以上の睡眠を取っている方の割合は、男性は約30%、女性は約25%ということが明らかになっている。
これは働き盛りの年代の6割から7割が睡眠不足であり、みなさんの職場にも冒頭のようなアピールをしていなくても「おれ、寝てない」状態になっている人がいる可能性がある。

また別の研究によると、6時間睡眠を続けている人は「毎日徹夜明けで仕事をしている」のと同じ状態に陥り、ほとんどすべての脳機能が低下すると言われている。

そして「おれ、寝てない」状態は負のスパイラルを生み出してしまう。
筆者の経験だが、前職で営業をしていたとき毎日終電間際まで働いていた日々を3年ほど続けたことがある。
いま同じことをやれと言われたら、絶対できないぐらいハードな日々で下記のようなフローをたどっていた。

① 長時間労働もしくは残業
② 余暇の時間が取れなくなる
③ 睡眠時間を削る
④ 睡眠不足のため、パフォーマンスが劇的に落ちる
⑤ ④のため、求められるアウトプットが出せず①に戻る

④の睡眠不足の状態になると、集中力・注意力・記憶力・判断力などあらゆる脳機能が低下し、精神的にも不安定になり、イライラしやすくなる。それはご想像頂けるだろう。

私が実際に経験して強く感じるのは、自身が睡眠不足によってパフォーマンスが落ちている「自覚」がまったくないことである。居酒屋で見た目はベロンベロンに酔っ払っているのに当の本人は「おれは酔ってなんかない」と叫ぶ人とまったく同じだ。
知らず知らずのうちに自分の能力が低下していることに気がつくことができない。これが長いキャリアを歩んでいくうえで大きな損失となって返ってくることになる。

これを改善するための方法はただひとつ。
自身の睡眠の量と質を上げるための活動を一つでも実践すること。
一度しっかり睡眠と向き合うことで、自分の認知能力含めたコンディションがいかに向上するかを一度実感してもらうこと。
これこそが「おれ、寝てない」状態から脱却し、できるビジネスパーソンへの一歩を踏み出せるのだ。

◎「おれ、寝てない」状態から脱却した習慣とは
その後、転職を経験してからより良い睡眠を実現するために様々な試みをしてきた。
ここでは自分が効果を実感できた方法をひとつ紹介する。効果はもちろん個人差があるし、それを保証するものではないが多くの人にあてはまると思うので、ぜひ実践してみてほしい。

それは寝る前のブルーライトをはじめとする強い光を避けること
ブルーライトを浴びると、睡眠物質のメラトニンが抑制され、覚醒状態を誘ってしまい睡眠の質を妨げてしまうことが数々の研究結果から明らかになっている。

日頃、現代人はスマホをはじめ、タブレット、パソコン、ゲーム機などで当たり前のようにブルーライトにさらされている。
これによる影響は計り知れないと自覚ができたため、筆者は徹底的に習慣を改めた。

具体的には、寝る前2時間のスマホを禁止するなどしてブルーライトをカットした。また強い光を避けるため、寝室には間接照明を取り付けた。寝る前の読書は、タブレットからブルーライトを発しない専用の電子書籍端末を使うことにした。

これを継続していくと劇的に目覚めがよくなり、朝食を取る時間をしっかり確保ができただけでなく、朝散歩という運動習慣まで身につけることができた。この効果は本当に大きかったと実感している。

「おれ、寝てない」男子の末路は悲惨である。
自分がパフォーマンスダウンしていることや、周囲から寝てない自慢で疎まれていることにも自覚できず、上司からも評価もされないまま「おれ、寝てない」という自己満足に満ちた虚構のプライドにしがみついてしまう。

もしあなた自身が仕事のパフォーマンスを上げたいと思ったら、ぜひ日頃の睡眠について向き合ってほしい。またあなたの職場にも「おれ、寝てない」男子やその予備軍にあたるメンバーがいたら、さり気なくこの記事を話題に出して欲しい。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。 みなさんが生き生き健康に働けるためのメッセージを発信していきます。 ぜひサポート、よろしくお願いします。