見出し画像

へんちくりんの集い

2/25 夜、東北プロボノコミュニティとキャリアモデルコミュニティの合同イベント「Kadai Dialogue2(カダイ ダイアローグ)」を開催した。

普段は関わりがないコミュニティ同士、しかし双方東北に関わり自身のキャリアについても考えている人同士で集まり、実践者が取り組んでいる社会課題・地域課題をテーマに対話と知見を深めようという企画。
1月に引き続き「越境と対話」をテーマとして設計した。

東北プロボノプロジェクト(コミュニティ)とは・・・
東北経済産業産業局主催、一般社団法人 IMPACT Foundation Japanが運営事務局を担うプロジェクト。
「本プロジェクトは、東北で「誰かのために、地域のために、社会のために」という純粋な想いを持ち、自分自身の心が喜ぶ事を大切にしながら自ら手を動かし、先陣を切る事業者(=ココロイキルヒト)の熱量を体感しながら手触り感のある仕事に取り組むプロボノプロジェクトです。」HPより
東北プロボノコミュニティは、プロボノ参加者と受入事業者の方が集まるコミュニティ。

キャリアモデルコミュニティとは・・・
キャリアモデル開発センター仙台にてキャリアモデルを作成した人、これから作成しようと思っている人、キャリアについて学びを深めたい人が所属するコミュニティ。毎月キャリアに関わるテーマのお話会や勉強会、キャリアに関する情報交換、イベントの企画検討などを行っている。

今回は宮城県栗原市の六日町通り商店街を拠点に活動されている杉浦風ノ介さんにゲスト登壇いただいた。
杉浦さんは六日町通り商店街にある元薬屋さんを活かした「cafeかいめんこや」の経営に、商店街の空店舗活用による活性化を目指す六日町合同会社、そして現代美術館 風の沢ミュージアムにも携わられている。

cafeかいめんこやさんの風情溢れる外観(杉浦さん提供)

ご自身のこれまでの生き様と取り組んできたこと、そこから見えてきたこと、考えたことについて伺い、参加者で対話を行った。様々な方向へ流れていくお話の中で、私にとって印象的だった3つを取り上げる。

1つ目は「風景」に関するお話。
日本全国の主要道路沿いの景色がどこも似たり寄ったりである、というお話だ。杉浦さん自身がバイクで日本を巡った経験があり、主要道路を走っているとどこも同じ景色に見えたというお話があった。

私も以前はバイクに乗っていて今も車でのドライブが好きなのでよくわかるのだが、国道◯号といった大きな道路沿いというのは大概出店している店が決まっている。ほとんどが大手チェーン系列のお店だ。
出店構成が似ていると同時に全体での統一感がなく、ガチャガチャとした看板や広告が並んでいる。そうした主要幹線道路沿いや主要駅前は景色や雰囲気が似通っていて、そして大体が美しくないと私は感じてしまう。(それが日本らしさなんだと言われればそうなのかもしれないが)

参加者の一人が、そういう画一的な風景や街並みというものが我々の個性や価値観を画一的なものにするのではないか?という「街並みが我々に与える影響」というものも提起してくれた。「アフォーダンス」というモノや環境が人に影響を与え、行動を促すという意味合いの心理学用語があるが、街並みが人に与えるアフォーダンスというのも考える価値のあることだと思う。


2つ目は「人」に関するお話。
杉浦さんは「何かやりたい」という思いを強く持っている人を(愛着を込めて)「へんちくりん」と呼んでいる。表向きに呼ぶと拗ねる人もいるそうなので、あまり直接は言わないらしいが・・・
へんちくりんの特徴は自分が情熱を注げるものに対して愛情やこだわりを注げる「オタク」的であること。これには私自身も当てはまるが、オタク的な人は自分が好きなものに対しては徹底的にこだわりや愛情を注ぐ。そのため、他の人が知らないレベルの知識やものの違いを把握している。

この何かを「好き」「気になる」という感情とその熱量は相当なものだと思う。自分が欲しいものを探しにいく時に、こんなオタク的な店員さんに会えたら嬉しくなる。このユニークな「オタク的な人(≒へんちくりん)」というのが地域にとっても商店街にとっても重要な役割を果たすことがよく想像できた。

また杉浦さんはへんちくりんになるポイントは仏教用語で言う「如実知自身」だと言う。これは自分自身を正しく知ることや心の働きをよく理解することといった意味があり、「悟り」に通じる言葉だそう。「悟り」という言葉自体が「吾の心」と書くという話に、とてもハッとさせられた。

これは前回の対話の中で「自分は〇〇したい』がないこと」が地域課題の本質ではないかと話されたこととも通じている。
キャリアモデル開発でも自分自身を知る、ということを非常に大切にしており、私自身が「自己理解」をテーマに研究を進めているところだが、まさにそれが人の魅力や力、熱を生み出す原動力なのではないかと考えた。


3つ目が「杉浦さんご自身」に関するお話。
杉浦さんは自分自身をどのような人だと思うか?という質問に関して、「ニュートラル」「中道」「中庸」という言葉を使って表現された。仏道に入られた経験も影響しているのだと思うが、終始落ち着いた(もはや達観した?)立ち居振る舞いやお話の仕方を見ていた我々は、「なるほど」と思わざるを得なかった。

このことは他のお話からも多々感じられる場面があり、まさに杉浦さんのあり方なのだなと感じた。
例えばまちづくりにおいて「古い人と新しい人の渾然一体」を作られていること、ご自身の取り組みについて「万人受けしたいけど、しなくてもいいと思っている」こと、「カオス」というものに対するネガティブだけでない見方等々。

正直上記以外にも取り上げたい話題がたくさんあった。改めてとても1時間半でのボリュームとは思えない程濃厚な時間であったことに感謝である。

感想の中で
「将来的に栗原に住もうと考えていたが、六日町通り商店街も強力な候補になった」
「まず杉浦さんに会いたいので遊びに行きます」という声が多く上がった。
杉浦さんという「へんちくりん」な人によって我々の「へんちくりん要素」が引きつけられたのだろう。

せっかくいただいたご縁、キャリアモデルコミュニティメンバーで春先に遊びに伺いたいと思う。
雪解けと杉浦さんとの再会の日が楽しみだ。


最後に告知ですが、キャリアモデル開発センター仙台では2022/4/1〜スタートの13期メンバーを募集中です。
無料相談もありますので、ご興味ある方はフォームからお申し込みください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?