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新潮文庫の一冊

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その昔、当時の嫁が妊娠中に「ヨンダ パンダ」のぬいぐるみが、可愛いと言って欲しそうにしていた。 それなら、出産後,退院の時にベビーカーに「ヨンダ パンダ」を乗せて迎えに行ってやろ…
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#ミッドナイト・エクスプレス

『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

「深夜特急(6) 南ヨーロッパ・ロンドン」この旅は、どこで何が起こるか予測のつかない放浪とふれあいの旅であり、お膳立てされた観光などではない。つまり実際の目的はロンドンへ辿り着くことなどではなかったのだ。
自らの進むべき道を試行錯誤していた、当時26歳の著者にとってはきっと自分自身を見つける旅だったのではないだろうか。

なんとなくサグレスの岬に茶(CHA)を飲みに行ってみたくなった。
ただ、なん

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『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

「深夜特急(5) トルコ・ギリシャ・地中海」生きていくということは、常に何かの代償と引き換えに、別のもの、行きぬくための糧のようなものを得ている。

著者の言いたいことは痛いほど分かるような気がしてならない。
彼も、きっとこの旅で得たモノの大きさに気付いたのではないだろうか。
旅も人生も、何かを無くさずに前に進むことなど出来ないが、その代償から得られるものは、計り知れないほど大きなものなのではない

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『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

『虐待児の詩』 新潮文庫の一冊

「深夜特急(1) 香港・マカオ」第一巻の冒頭には次のような解説が一ページを占有して、単独で記されている。

「ミッドナイト・エクスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エクスプレスに乗る、と言ったのだ。」

著者が丁度この旅をしていた頃、同時期の実話をもとにしたアメリカの小説に、この隠語と同じ「ミッドナイト・エクスプレス」というものが

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