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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第41回 「管理会計①」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
前回記事から1ヶ月ほど空いてしまいましたが、今週からまた連載を再開していきます。
また、昨年から介護新聞で連載を続けてきましたこの「介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる」も、残すところあと10回となりました。最後までお付き合いいただけますと幸いです。

さて早速、本題に参ります。
第41回のテーマは「管理会計①」です。
今週からテーマを新たに、管理会計について数値を超えた経営の洞察力や事業の成長を促進する鍵となる新しい視点が見つかるよう、基本から丁寧に解説していきます。

本文では、介護や福祉サービス事業を例に、費用と収益のバランスをどのように取るべきか、経費削減と収益増加の戦略は何か、といった実践的な内容から、持続可能な経営に欠かせない人材育成や環境への配慮など、今日の経営者に求められる幅広いトピックにも触れています。おそらくどの業界でも共通して役立つ内容ですので、ぜひご参考にしてください。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第41回「管理会計①」

 連載も終盤となりました。会計ファイナンスの話を入れて、連載の総括とさせていただきます。
 これからは厳しい時代の中で舵(かじ)取りが求められます。次世代のリーダーとして、人事労務と事業費運営管理を意識できるように役立てていただければ幸いです。

 介護・福祉サービス事業で得られる主たる売上は、介護報酬と利用者からの一部負担金です。一方、支出の構成比で最も多いのが人件費約60%を占めます。人件費の内訳は給与手当、賞与手当(処遇改善含む)、法定福利費(処遇改善含む)、福利厚生費、役員報酬です。
 介護福祉事業以外の収入が一定数ある法人の役員報酬は人件費から除外してもよいと考えますが、そうでない場合は入れて考えた方が管理会計上スマートです。

 その次が地代家賃・減価償却費(15~20%)水光熱費(7~10%)備品消耗品(1~2%)の順。地代家賃が高額なのは土地建物を借りている場合、減価償却費が高いのは金融機関等から借入をして、自社の不動産として所持している場合です。
 リーダーとして原則的には、売上は増やす、支出は抑えるという考えを持ちましょう。

 これからは、会社一丸となって売上を落とさず、支出は増やさないという考えのもと、未来計画を考えましょう。売上の増やし方については、連載初期に述べた経営計画の必要性を参照にしてください。
 支出については、人件費、地代家賃・減価償却費、水光熱費、備品消耗品へのアプローチが大事です。地代家賃・減価償却費のアプローチは、簡単にはいかないので、ここでは触れません。

 例えば年間支出が2億円、そのうち2%を削減するとします。2億円の2%=400万円です。水光熱費や備品消耗品は、構成比の中では少ないため、節約だけではどうにもなりません。
 そこで、人件費に関するアプローチが必要となります。持続可能な介護福祉事業の発展には、ただ事業を運営するだけでなく、戦略的思考が不可欠です。特に、新しい技術やサービスの導入が求められる現代において、絶えず環境の変化に対応し、それを事業の成長に結びつけることが重要です。

 介護福祉事業において「脅威」として捉えるべきは「人材不足」「多様な競合他社」。さらに海外からの脅威も加わります。
 現在、日本円は円安です。外資系企業が日本に参入する際、海外レートで人件費を組むことが多いので、他業界では給料が高くなる傾向が予想され、介護を選ぶ外国人が減るかもしれません

 一つの重要なアプローチは、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。例えば、介護記録のデジタル化や遠隔での健康管理サービスなど、テクノロジーを活用することで人件費を抑えながら効率性を高め、質の高いサービスを提供することが可能になります。
 さらに、データ分析を活用し、サービスの改善や新しいニーズの発見につなげることもできます。

 人材を減らすことだけを考えるのではなく、育成に注目すべきです。介護福祉分野では従業員の技能向上モチベーションの維持が、サービスの質と直結します。
 職員のキャリア開発計画を立て、継続的な教育やトレーニングを提供することで、高い専門性を持つ人材を確保し、事業の競争力を高めることができます。

 事業の持続可能性を考える上では、環境への影響も重要な要素です。エコフレンドリーな施設運営、リサイクル可能な材料の使用、エネルギー効率の良い機器の導入など、環境に配慮した運営を行うことで、コスト削減だけでなく、社会的責任を果たすことにもつながります。

 最後に、地域社会との連携も忘れてはなりません。地域との協働により、さまざまな資源を共有し、相互にサポートする関係を築くことができます。これにより、事業の安定性が向上し、より広範なネットワークを構築できるでしょう。

 これらの戦略的アプローチを通じて、私たちは介護福祉事業の新たな未来を切り開いていくことができます。常に前進し、変化を恐れず、新しい挑戦を受け入れることが、事業の持続的な成功につながるのです。

介護新聞12/1付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202312kaigo/kaigo20231201.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第42回の記事でお会いしましょう!

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