【毒親と趣味】

母は、人生で1番と言って良いほどの趣味に出会いました。

その趣味というものは、旅行先のイベント会場でたまたま見かけたものでしたが、母の目にはとても魅力的に見えたのでしょう。

母は、その趣味の団体について熱心に調べておりました。

母の母もまた毒親だったため、母は自分が熱中することよりも、母の母に注目されることを人生の軸としていたからでしょうか。

「自分」が心から揺さぶられるものに対しての、抗体がなかったんです。

その団体は、日本や世界各国にも展開している割と大きな団体でした。

そしてその時分は、まだ東京に住んでおりましたので、東京にもその団体があることを知った母は一目散に「見学」に応募しておりました。

強制的に私と姉はその見学会に連れられ、体育館のような室内で母のキラキラとした瞳を横目にその団体の様子を見ておりました。

ああ、これはイエスなやつだ。

見学終了後の帰り道、母に「やりたいよね?!かっこいいよね!」と語りかけられました。

やりたいのも楽しいと思えたのも「母」であったのに、なぜ私も同調しなければならないのかと思いながらも、その頃の私は母が「かわいそうな人」であったためノーと言えなかったのです。


こうしてこれから数年、私の悩みのタネとなる母の「青春」が始まったのでした。

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