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読書日記その534 「播磨灘物語 3」

小寺氏寝返り〜官兵衛幽閉〜竹中半兵衛、松寿丸をかくまう〜村重落去〜伊丹城落城〜半兵衛の死〜三木城落城〜宇喜多直家の死〜秀吉軍、岡山城入城

官兵衛の主君である小寺藤兵衛の小物ぶりには呆れる。官兵衛は藤兵衛のはっきりしない態度に振り回され、結局1年有余という長い間、荒木村重によって幽閉され半死半生の目に合うのだ。

ここで官兵衛にとって幸運だったのは、村重がキリシタンの理解者だったこと。キリシタンである官兵衛を殺すのは忍びないと、牢には閉じ込めるが食事の世話はしっかりするのだ。結果、藤兵衛の思惑は外れることに。

しかしもとを正せば、殺害を依頼した藤兵衛が自らの手で官兵衛を始末してしまえばよかったものの、村重に依頼して自分は手を汚さないところにも、やはりこの男の小物ぶりがうかがえる。

またこの時、後々の歴史を思うともうひとつ官兵衛にとって幸運だったことがある。竹中半兵衛によって嫡男である松寿丸の命が助けられることだ。信長の命令のまま松寿丸が殺害されていたら、黒田家の血は官兵衛で途絶えてしまい、その後の歴史もまた変わっていたかもしれないからだ。

とはいえ、一年有余の幽閉は官兵衛を凄惨な姿へと変えてしまう。髪は抜け落ち、肉はそげ、皮膚は干からび、右足は古釘のように曲がったまま動かなく引きずるようにして歩くことに。その姿は夏の日ざかりの道に干からびて転がってる昆虫の死骸のようだったという。

官兵衛にとってのこの1年有余は、一見すると不幸としか思えない時期ではある。しかしその後の彼の人生の歩みを思うと、この時期があったからこそ人生の決断において、どこか吹っ切れたかのように迷いなく進むことが出来るようになったとも思える。そう考えると官兵衛にとってのこの時期は無意味どころか、むしろその後の人生を切り開く大きなターニングポイントともいえるのでは。

さあ!次はとうとう官兵衛の決断の真骨頂ともいえる「高松城水攻め」から「中国大返し」へ!むっちゃ楽しみだわいッ!!

歴史って実に面白い!

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