SaaSの成長速度を加速するポジション「プリセールス」徹底解説
こんにちは、志村(@hiro_shimu)です。日本のSaaSでも"The Model"型の組織が一般的となり、「インサイドセールス」や「カスタマーサクセス」といったポジションが脚光を浴びていますが、ビジネスの成長速度を加速させる重要な役割が何かご存知でしょうか。
それは「プリセールス」という役割です。
私は10年以上、SalesforceやBoxなど外資系SaaS企業で日本事業の立ち上げをプリセールスの立場で経験してきました。
特にエンタープライズをターゲットとする外資SaaSにおいてプリセールスはMUSTなポジションで、立ち上げ当初から採用する企業が多いです。日本のSaaS企業ではまだ普及していませんが、今後成長するSaaSには必須になるのがプリセールスなのです。
「そもそもプリセールスはどんな役割なのか?」
「どんな人をプリセールスとして採用すべきなのか?」
と疑問に思う人も多いはず。
このnoteでは、
・SaaSなどのプロダクトをもつスタートアップ企業にとってプリセールスが成長に必要不可欠なポジションである理由
・エンジニアの転職先としても魅力的なポジションであること
をお伝えします。
<想定読者>
・SaaSスタートアップで組織設計に関わる方
・SaaS企業にお勤めの営業/プリセールスの方
・プリセールスに転職を検討中の方
1. イケてるプリセールスとは?
プリセールスと営業はどう違うのか、皆さんは説明できますか?
まず、私がプリセールスとして外資ITで10年働くなかで見てきた「イケてるプリセールスの7つの要件」をご紹介します。
1-1. マインドセット
プロダクトやそれに付随する技術が複雑な外資系IT企業では、営業がお客様の技術担当(IT部門やセキュリティ担当など)に対して以下の点について適切な説明を行うことまでは難しいため、営業とプリセールスで分業を行い、プリセールスが技術面の説明を担当しています。
プリセールスは提案全体のうち技術が関わる部分だけに関与していると思われがちなのですが、私なりに営業とプリセールスの役割を定義すると以下のようになります。
「プリセールスは営業を技術面で支援する役割である」と位置付けると、プリセールスがどうしても受け身のマインドになってしまうため限定された貢献しかできず、受注率という観点では最大の成果は上がりません。
自分が提案全体のオーナーであり、商談規模の最大化や受注のためのキーパーソンであるという意識をもつことで、営業と同等の立場で受注までのシナリオや提案内容の作成に取り組むことができるようになります。
アカウントプランを作成するなら担当のプリセールスも一緒に入るべきで、営業とプリセールスはいわば運命共同体の関係です。
最終的に商談が失注してしまったら、プリセールスが提案にかけた時間はすべて無駄になり、関与した意味がなくなります。だからこそ、自分の職責を技術支援の範囲にとどめず、受注確度を高めるために泥臭いことも含めてありとあらゆることを実行するべきというのが私の考えです。
そして、このマインドセットこそがイケてるプリセールスの特長だと思います。
オーナーシップがあれば、自分の仕事の範囲に制約を設けず、受注のために必要なことを自発的に考えて行動できます。営業からみても、プリセールスからの前向きな提言というのは常にありがたいものです。
1-2. 提案スキル
私はお客様との最初のミーティングがかなり重要だと考えています。
提案側がお客様自身のことや業界について熟知しており、仮説をもとに「xxxが必要ではありませんか?」と筋のよい提言ができれば一気に信頼を得ることができます。
お客様の中期経営計画を読み込んだり業界の勉強をしたりして、初回から何かインサイトを与えられるような準備ができれば理想的です。
大きな案件ほど、最終的にお客様社内の稟議を通すためにはビジネスケースの作成が不可欠です。以下の内容をお客様側の担当者と信頼関係を築いて一緒に作成し、提案書に盛り込めるようであれば、受注確度は大きく上がるでしょう。
1-3. デモスキル
デモに関しては、機能紹介ではなく価値の実証になるよう、シナリオを作り込む必要があります。
例えばSalesforceの場合でいうと、経営層向けのデモならデータドリブンなマネジメントが実現できる姿をイメージしてもらいます。
現場向けなら、Salesforce導入後の世界では今よりラクに目標達成が実現できる姿をイメージしてもらいます。
どんなにデモが魅力的でもそれだけで受注することはありませんので、ビジネスメリットの訴求をしっかり行なったうえで、デモはそれを補強するために実施するものと位置付けてシナリオを考えます。
1-4. コミュニケーション力
コミュニケーションの観点では、相手によってメッセージを変えられるスキルが求められます。
いま目の前で話している相手にとってのメリットを第一に伝えることが重要です。
ビジネス側の人に対しては、技術的に複雑なことでも抽象化してシンプルな表現で、そして自分の発言からあいまいさをなくして「思います」ではなく「です」と断定して話に説得力をもたせます。そのためには事前に下調べをしておき、自分の知識に自信をもっておく必要があります。
また、仮に要件を満たせないことであっても「できません」と回答せず、「○○という方法であれば実現できます」など代替案を提示してポジティブな言い回しを意識します。これでお客様の印象は180度変わります。
お客様以外にも、プリセールスはさまざまな関係者(営業、導入支援コンサルタント、CSM、プロダクトマネージャー、アライアンスマネージャー、外部パートナーなど)とのハブ役になるため、情報をスムーズに伝達したり調整したりする能力が必要です。
1-5. バランス感覚
提案内容にオーナーシップを持ちたい営業と組むときは、2人のバランスを考えて自分の動き方を調整できるのもスキルの1つだと思います。
そのような営業と組む場合は、技術支援を中心にデモ作成、PoC、RFP対応などをプリセールス側でリードして、あとは営業が作成する提案資料に対して付加価値のアイデアを提言するくらいで十分だと思います。空いた時間は他の注力案件に使うことができます。
イケてるプリセールスは常に数多くの案件を抱えているため、タスクの優先順位付けや営業との役割分担も上手だと感じます。時間が限られている中、アサインされたすべての案件に対して100%のアウトプットは出せません。
もっとも数字に貢献する案件を中心に自分の時間をスケジューリングし、あまり多くの時間を割けそうにない案件に対しては担当営業と話し合って進め方を合意しておくようにします。この社内調整のコミュニケーションを怠ると、自分の信頼が下がっていってしまうので注意が必要です。
1-6. プロダクト愛
これはスキルとは言えないかもしれませんが、自社プロダクトを心から愛せる人はプリセールスの素質があると私は感じます。言葉の節々からその製品愛は溢れ出てしまうもので、それはお客様に必ず伝わるものです。
そういった意味では、本当に自分がそのプロダクトに価値を感じ、情熱を持ってお客様に提案したいと思えるか?入社前に無料トライアルなども活用して入念にチェックしたほうがよいです。
自分が納得できないものを、自信をもってお客様に提案することはできません。
1-7. 英語力
外資系は英語力が必要だと思われていますが、プリセールス部門全体のリーダーとして本社とやりとりする必要があったり、日本法人の立ち上げメンバーとして入社する状況でない限り、メールで読み書きできるレベルで問題はありません。
ただ、英語のコンテンツから情報収集できるようにしたり、将来的に選択できるキャリアの幅を広げたりするために、英語力を高める努力は継続的に行ったほうがよいでしょう。
覚えておくべき「英語コミュニケーションの3つの型」については別noteにまとめていますので、よかったらご覧ください。
私の場合は留学経験など皆無でしたが、転職して毎日英語でやりとりしなければいけない環境に身を置いたことで、「習うより慣れよ」で自然と英語でやりとりできるようになりました。
しばらくの間、ビデオ会議では伝えたい内容がスムーズに口から出てこなくて苦労しましたが、いま振り返るとその苦労を経験しなければ上達はしていなかっただろうなとも思います。
以上、「イケてるプリセールスの7つの要件」をご紹介しました。スタートアップの皆様には、これからプリセールスを採用する際のご参考になれば幸いです。
2. 営業向け:プリセールスとの付き合い方
プリセールスとタッグを組み、成果を最大化するには営業側にもTipsがあります。
お客様と中長期的なリレーションを構築するのは営業の大切な仕事ですが、提案に関しては、プリセールスを共同提案オーナーとして考えます。そうすると、資料やデモの作成を単発で依頼することはできなくなるはずです。
プリセールスがアサインされたら、最初に時間をとって案件の背景、提案の骨子、自分が考えるクロージングまでのストーリーなどを共有します。この全体感を共有することで、プリセールスはより能動的に動きやすくなります。自分が提案のオーナーシップをもつ場合でも、この儀式は必須です。
案件の状況が変わったときは、営業マネージャーだけでなくプリセールスにも逐次情報を共有します。こういった小さな積み重ねがお互いの信頼関係を深め、プリセールスのアウトプット向上にもつながります。
イケてるプリセールスが営業のスタイルに合わせられるのと同様に、イケてる営業もプリセールスのスタイルに合わせられます。運命共同体のプリセールスとは、お互いやりやすいスタンスを見つけて案件を進めていくのがよいでしょう。
私がプリセールスとしてうれしかった思い出の1つに、会心の提案から大きな商談を受注したあと、担当営業から焼肉をごちそうしてもらったことがあります。こんな原始的なお礼の方法でも、プリセールスはうれしく感じるものです。クロージングまで営業も苦労していたことはわかっていたので、お互いの労をねぎらう楽しい夜だったと10年たった今でもよく覚えています。
ちなみにその後、私がその営業と組む案件はより力を入れて対応したことは言うまでもありません。ビジネスとは結局、人と人とのつながりなのでそんなものだと思っています。
「成果を上げたければプリセールスをリスペクトせよ」
3. プリセールスマネージャーの心得
続いてはプリセールスマネージャー向けに、5つの心得をお伝えします。
3-1. 心得総論
これはプリセールスに限らない話ですが、人それぞれ人生における仕事の位置付けは異なるため、チームメンバー全員に成長志向を強制するのはよくないと私は思っています。
コンスタントに成果を上げてくれるプレイヤーは、それだけで十分、存在価値があります。無理に成長やモチベーションの向上にはこだわらず、既存戦力の有効活用/適材適所がマネジメントの肝だと思います。
プリセールスという仕事は、スキルや経験の蓄積が成果に及ぼす影響が大きく、簡単には穴埋めできないため、仕事の負荷状況や上司との関係などが原因で退職されてしまうことはもっとも避けたいところです。
案件受注のためのキーパーソンが退職することは会社にとっても大きな損失となるため、マネージャーは特にその点には配慮が必要です。
採用という面では、スキルや経験だけで判断するのではなく、好奇心があり会社のカルチャーやバリュー(社員に求める価値観)に合った人を見抜くスキルが求められます。経験のあるベテランほど面接スキルが高いため、よりいっそう慎重に見極める必要があります。
そして採用した人がしっかりと成果を上げ、できるだけ長く働いてもらえるよう支援し続けるのもまたマネージャーの重要な役割になります。
3-2. セグメントに応じた職責の定義
プリセールスの職責を提案内容全体にまで広げることで、プリセールス一人あたりが担当できる案件数が必然的に少なくなってしまう点には注意が必要です。
職責を技術支援の範囲にとどめておき、数多くの案件を担当するほうが組織全体としてプラスなのであれば、それは合理的な方針となります。
以下は、1つの切り分けの考え方です。
プリセールスと営業のヘッドカウント比率は、職責の内容も加味して調整します。
3-3. アサインの考慮
アサインに関しては、営業とプリセールスの相性を考慮したほうがよいと思います。
私がプリセールスになりたての頃、メンターである上司から学んだこともたくさんあったのですが、それ以上に日々ともに行動する営業から学ぶことがありました。
特にイケてる営業からは、効果的なヒアリング手法、クロージングまでのプランニング、提案における訴求ポイントなど横で見ていて勉強になることが本当にたくさんありました。
逆に、イケてるプリセールスが経験の浅い営業を育てるケースも多くあります。営業とプリセールスは持ちつ持たれつの関係なので、できるだけアサイン依頼をしてきた営業と補完関係になるようにプリセールスをアサインするようにします。
プリセールスには営業寄り/技術寄りという2つのタイプがいると私は思っています。
営業スキルが高いプリセールスは細かい技術面が苦手なケースが多いため、そこは社内で技術に強い人が助けてあげることで最大のパフォーマンスを発揮できるようになります。こちらのタイプは経験の浅い営業と特に相性がよいかと思います。
技術寄りのプリセールスは、技術に強いためどんな質問も打ち返すことができ、自分で手を動かして技術検証やPoCをぐいぐい推進できるのですが、商談中のヒアリングやプレゼン/デモが苦手だったりします。そのようなプリセールスには、イケてる営業や提案にオーナーシップをもちたい営業と組ませることでベストなチームができあがります。
普段のコミュニケーションや1on1などから、各メンバーのタイプやどのような仕事のスタイルを好むのかを把握しておき、チーム全体と個人のバランスを考慮しながらアサインするように心がけるのがよいと思います。
3-4. チームとしての生産性向上
チーム全体の生産性を高めるため、事例やユースケースは業界/部門/役職という3つのレイヤーでまとめて用意しておくと提案しやすくなります。
デモ環境も同様です。これらの営業アセットを構築することは、プリセールスチームとして重要な役割になります。
営業に比べてプリセールスのほうが人数が少ないため、プリセールスが営業向けのトレーニングを実施して、スキルアップや営業一人あたりが捌ける仕事量の増大を図ります。結果として、各プリセールスの担当案件数を最適化することになり、組織として受注金額を最大化することにつながります。
3-5. 社内におけるプレゼンス
プリセールスチームのリーダーは、社内の他部門にプリセールスの存在価値をアピールすることも仕事になります。
四半期ごとに実績のデータや貢献した具体例などを示して成果を共有し、プレゼンスを上げる努力が必要です。それにより、各メンバーがより日々の仕事をしやすくなります。プリセールスは決して営業の下請け的な存在になってはいけません。
外資系の場合は海外とのやりとりも重要な仕事です(なのでプリセールスのリーダーには英語力は必須です)。
グローバルのプリセールスリーダーたちに日本の状況や課題感などを共有してアドバイスをもらったり、海外のベストプラクティスなどを仕入れたりします。それをチームメンバーに還元して、チーム力の底上げを図ります。
以上が、プリセールスマネージャーの心得となります。
4. プリセールスの給与水準
4-1. 外資系の給与実例
給与の水準は企業によりますが、一般的には日系企業より外資系のほうが高いです。デフレ下の日本とは対象的に、特にインフレの進むアメリカ企業の給与水準はどんどん上がっており、日本法人の給与もそれを基準に設定されているためです。
また、日系企業は終身雇用/年功序列で解雇規制があるため、全体的に給与水準を抑えめにせざるをえず、特に若いうちは給与が低めに設定されているのも大きな要因だと思います(ちなみに外資系の日本法人にもこの解雇規制は適用されますが、不況期にレイオフされることは実際よくあります)。
ただ、終身雇用は実質的に崩壊しており、特にIT業界ではジョブ型雇用と転職が一般的になってきています。日本でもVCからの投資が活発になっていることもあり、スタートアップの給与水準は上昇傾向にあると感じます。
プリセールスは売上に直結する重要な役割であり、営業/技術両面のスキルが求められる専門職のため、給与水準は高い職種です。
外資系の場合、給与は「OTE」という目標達成時に支払われる年収総額に対して8割が保証されたベース給与、残りの2割が目標の達成度に応じたコミッションという比率を設定している会社が多いと思います。
ご参考までに、給与水準が高めの外資系IT企業になるとだいたい以下のようなOTEの相場となります。
いかがでしょうか?私はこのデフレ下の日本においては十分すぎるほどの給与だと感じます。そしてお気付きのとおり、マネージャーやディレクターになっても給与的なメリットはそこまでありません。
これは営業でもエンジニアでも同様なのですが、マネージャーはあくまで組織における役割にすぎないので、現場のエキスパートと給与にあまり差がつけられていないのです。生涯現場主義のプリセールスも違和感なく居場所があります。
ちなみに営業職の場合は、マネージャーよりも現場のイケてる営業のほうがむしろたくさん稼げるため、マネジメントへの昇進を打診されても断ったという話はたまに聞きます。どちらのパスを選ぶかは完全に個人の自由です。
4-2. 日系スタートアップの状況
日系のSaaSスタートアップの場合、給与面では外資系にかなわないものの、創業者のカリスマ性、会社のカルチャー、事業のミッションやビジョン、そこで得られる成長体験などで差別化を図り、優秀な人材を採用しようとしています。
また、基本的に外資の日本法人は営業拠点であるため数字の達成が第一ですが、日系スタートアップであればプロダクト戦略や新規事業開発など会社のコア部分にも関われる点は大きな魅力となっています。
働き手の中心になってきているミレニアル世代は、お金よりも成長体験を重視し、自由なワークスタイルを好みます。そして社会貢献への意識が高いという特徴もあります。
「なぜ自社で働くのか?」
明確なメッセージを打ち出せれば、優秀な人材を十分惹きつけられると思います。私自身は日本に生まれ育って日本が大好きなので、日系企業(特にSaaSスタートアップ)にはぜひ頑張ってほしいと願っています。
ところで、日系企業の場合はそもそもプリセールス職を設置しておらず、案件の状況によってプロダクトマネージャーやエンジニアが都度案件対応をしているケースも多いと聞きます。
案件対応に駆り出される側は本業でないところに自分の時間を費やすことになり、突発的に対応したその時間分の作業遅れを取り戻すためにリカバリーが必要になります。
またこれはスキルのミスマッチが発生している状況でもあるため、長期的にこの体制を続けると組織に綻びが生じるリスクがあります。スタートアップはPMFを達成したくらいの段階で、プリセールスの部隊を作るのがよいと私は思います。
5. プリセールス職がオススメできる理由
5-1. プリセールスの魅力
ここまでお読みいただけれれば、プリセールスが魅力的な仕事であることはご理解いただけたのではないでしょうか。
また、常に最新のテクノロジーについてキャッチアップが必要な仕事であり、プロダクトにもよりますが自分のアイデア次第で提案内容を創造できるため、知的好奇心が満たされて仕事にわくわくと楽しさを感じることができます。
同じプロダクトを何度も提案することになるためプロダクト自体に飽きがくることはあるかもしれませんが、状況の異なる様々なお客様に様々な提案ができることは、仕事の新鮮さをキープしやすいともいえます。
5-2. プリセールス or 営業
プリセールスの中には、「自分で営業をやったほうが売れるのでは?」と思って営業に異動する人もいます。それで成功した人もいますし、挑戦してみた結果、またプリセールスに戻る人もいます。
これは、プリセールスからみた営業と、実際に自分が営業の立場になったときに感じるギャップが原因のように思います。
私も両方経験しましたが、営業は常に数字のプレッシャーがつきまといます。うまくいっているときはよいですが、パイプラインが足りなくなってきたとき、自分なりに新たなプランを作って上司に説明をし、達成に向けて実現可能な手段をすべてやりきる必要があります。
結果として未達のときは、その原因分析と今後のリカバリープランを提示することが求められます。
SMBを担当する場合はマーケティングやインサイドセールスからリードがまわってくるため、まったく売れないということはないのですが、エンタープライズの場合はなかなか有効なインバウンドリードがないため、自分で案件を発掘しなければなりません。それをきついと感じるか、挑戦しがいがあると感じるか?
営業はそういったプレッシャーの中で数字を達成するというやりがいを得られますし、目標を大幅に達成したときはプリセールスの倍以上の収入を得ることも可能です。そして何よりも、大きな責任を背負うことでビジネスパーソンとしてより成長できる、とても魅力的な仕事だと私は思います。
ただ、人によってはそれは心地よい体験ではなく、提案内容にフォーカスできるプリセールスのほうが楽しいと感じることもあるでしょう。
プリセールスはエンジニアから転職する人が多いため、数字の達成に責任を負う営業よりも、やはりプリセールスのほうが性に合うケースのほうが多いような気がします。
最後に
プリセールスは最低限の仕事で済まそうと思えば、そこそこの仕事でそこそこ稼ぐことも可能です。
これは否定的な意味ではなく、高度なスキルが必要な専門職であるからこそ、ライフスタイルに合わせてそういう働き方もできる魅力的な仕事であるという肯定的な意味です。
しかし本気で取り組んでみた場合、お客様と接する最前線で創造性と専門性を発揮できる機会が多くあり、価値のある仕事ができれば営業からだけでなくお客様からさえ感謝されることもあります。
これほど打ち込むに値する楽しい仕事はなかなかないのではないでしょうか。
本記事によってプリセールスの重要性や奥深さが伝わり、働くポジションとしてのプリセールスにも興味をもつ方が増えてくれたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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