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情景32.「記憶のうるおい。放課後のこと」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「記憶のうるおい。放課後のこと」です。

放課後、日が暮れるまで学校で遊んでいた。
アスレチックに乗って、みんなで暮れていく“遠く”を眺めていた。

瑞々しい記憶。
と、あえて言ってしまいたいところ。

自分の中で息づく思い出の中で、妙にうるおいやハリのある記憶って、ありませんか。
私はあります。

まるで昨日のことのような。
風化した記憶の逆を行くのであれば、潤いのある記憶。

記憶の水槽から取り出して、ぷるんっとしている。
そんな記憶。

それを瑞々しい記憶と表してみました。

今更ですが、そもそも瑞々しいという単語について、

瑞々しいとは、若々しく、水を含んだようにつやがあるさま。 主に野菜や果物、人間を形容する語として用いるが、考え方に対して使用することもある。 「水水しい」「水々しい」という表記を使うこともあるが、誤記だとされる。

瑞々しい(みずみずしい)の意味や読み方 ... - Weblio国語辞典

と、いう風に書かれています。

有り体にいえば、思い出深い出来事のことですね。
それを記憶のうるおいと言って、思い返すときにやたら瑞々しく感じてしまい、どこか胸をこそばゆくしてしまう。

アスレチックから夕暮れ時を眺めていた小学生の思い出なんて、まさしくそういう瑞々しさを抱いていそうです。
少なくとも、私には似た記憶があります。

自分の中で今もなお潤いを保つ大切な記憶。

そんな瑞々しい情景。
お楽しみください。


あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。

どこからでも何話からでも好きなところから読みはじめて大丈夫。
気になったタイトルをひらいてみてください。



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