揺れる日々
ピーピー
レジにて、カードが使用できなかった時の音が鳴る。
''あれ、、操作は合ってたはず、、''
少し焦ってもう一度やってみようと思った時には、先輩が隣にいた。
''これ合ってますよね?''
操作に問題がないことを先輩に確認して、もう一度やってみるも結局タッチ決済はできず。
お客様には違う方法で決済してもらった。
やっぱり、先輩だ。
誰よりも早くわたしの異変に気がついて助けてくれるのは。
休憩に出るタイミングで目が合った。
最近、節約のために蕎麦を茹でて持ってきているわたしに
''今日も蕎麦?''
と笑いかける先輩。
''今日はゆでたまご持ってきました''
陽だまりのような笑顔で先輩が笑う。
その表情がたまらなく愛おしかった。
たった10秒にも満たない会話で、こんなにも心が満たされてしまうから、好きな人は偉大だね。
そして、先輩の笑顔は、ここ最近変わった気がする。
わたしの思い込みかもしれないけれど、前よりも柔らかくなった。
心を開いてくれている証拠かな。
その後も、先輩に助けられた。
ウィメンズ売り場にわたし1人しかいない中、フィッティング対応が3件、うち1件はお直しに入ることに。
流石に無理だ、と思い先輩に助けを求めた。
''どれを優先すべきですか''
(こんなに仲良くしてもらっているので勘違いしそうになるけれど、先輩はわたしより8つも年上で、経験は10年以上ある大ベテランなのだ)
適切にサポートしてくれたおかげで、すべてのお客様を対応できたし、きちんと売上にも貢献することができた。
忙しい週末も、合間を縫っては話しかけてくれる先輩。
''餃子はキャベツ派?白菜派?''
''キャベツですね''
''あ〜残念、結婚できないわ''
''え、白菜なんですか?''
''え、待って調べたらお店の95%がキャベツらしいよ''
''ほら言ったじゃないですか''
こんなしょうもない会話が、疲れた体と心を癒してくれる。
会えば会うほど、関われば関わるほど
好きという気持ちを確認する。
彼がいなければ生きていけないほど、わたしは弱くはないから大丈夫なのだけど
彼がいれば間違いなく日々は彩る。
そんな日々を求めている。
そして、先輩もそうだと思う(謎の自信)
自立している人なので、大丈夫なのだろうけれど
わたしといれば先輩の日々は鮮やかになる。
先輩の日々を彩る自信がある。
親友が、恋人に
''わたしたち、一緒にいた方がいいと思う''と伝えていると聞いた時
その確信が持てることをすごいと思ったけれど、今のわたしならわかる。
一緒にいるべき人って、存在する。
一緒にいれば必ず良い方向に進んでいけるような人が。
相も変わらず、わたしは人を好きになると気持ちが溢れてしまうので
今は先輩への気持ちが大きく、大きく膨らんでいる。
これから先どうなるのかわからない関係に、こんなに感情を動かしていて大丈夫?と思いながらも
でも今はこの揺れを心地よく感じていたいの。
揺れる日々を、愛おしい気持ちで過ごしていたいの。
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