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解説、弟

サッカーというスポーツに触れたのは弟の影響が大きい。彼が始めた玉蹴りは、いつしかウチのビッグイベントになっていた。
ひとたび、選手権が始まれば、東へ西へ、父と母は(知り合いもいない学校の応援にまで)見に行っていた。

そんな我が家は弟の解説でよく日本代表のサッカーを見ていた。
一番見ていたのは、ザッケローニ監督あたり。武藤くんが日本代表デビューした直後辺りまで見届け、その後はわたしと弟の生活リズムが合わずにその会は解散してしまった。

弟のポジションはスーパーサブ。もしもの時に出るなんでも屋さん。だからこそ、どのポジションでも出られる柔軟さと誰とでも相性の良いサッカーができたのだと思う。
そして、彼の解説はいつもドンピシャであった。

「このポジション、ウチのチームで言ったら○○がやってて」
「これは、○○先輩がやりたい形で…」
彼の所属するチームに当てはめて説明してくれるのでわかりやすい。
わたしと弟は年子なので、彼のチームメイトの半分はわたしの同級生だった。だから、余計にイメージが湧く。
無駄に弟の応援に行っていたので、だいたいのポジションもイメージできるし、この人は何をしたいの?となったら代表選手がやってくれたりする。
彼の解説はいつも端的であった。
ここの人がここにいるから、ファールやねんで、とわざわざ指差ししながらリプレイで教えてくれたりした。
頭のいい人って瞬時にこういうこと考えてるんやなぁ…と思いながら、いつもベンチのイケメンがいつ写ってもいいように無駄に準備をしていた。
スポーツに興味のない人の典型的なパターンだった。

あの選手イケメン、あの人すごいなぁ、とただただ表面的にサッカーを見ていた学生時代。
スポーツ学を学んでから久しぶりに見る代表戦は、選手を支える全ての人たちが浮かび上がってきて感動した。あぁ、なるほど、この人たちを支えるためにフロントは頑張っているのか、とさえ思えるようになった。

Jリーグのフロントになりたい、そう思って就活をしていた大学時代。
全然違う職種についたが、その夢は今でも変わらない。どうしてJリーグ?と聞かれると、言えることがある。

「サッカーが、わたしの中で一番最初に根付いた球技だから」

ルールも競技経験もない。だけど、その世界が大好きだから。
わたしらいつか、Jリーグのフロントとして働く。

#サッカー日本代表観戦記

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