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ポテサラは全てを解決する


人生は辛い事ばかりだ
不安に駆られ、苛立ちが募り、焦燥していく日々
満足に休息を取ることも出来ず、体が休まったとしても精神はざわついたままで、寿命をすり減らしていく毎日
周りの人たちは健常に人生をステップアップしていき、徐々に自分が取り残されていくことにも気づきはじめる
かといって改善する方法もわからず、社会等の都合の良い攻撃相手に責任を擦り付けて藻掻くことでしか精神を保つことしかできない
それを認識してしまったら最後
体のコンディションは既に、少しの衝撃で爆発を起こしてしまうニトログリセリン状態
正気を保てていられるはずがない

そんな極限状態の折に、何かに「失敗」してしまったとしよう
つまりニトログリセリン状態である自分に衝撃を加えられてしまったとしよう
終わりである
それがどんなに些細なことであろうと関係がない
僅かに自己を肯定していた最後の糸は切れ、「自分は何もできない存在」なのだと、認めざるを得ない状況が出来あがってしまう

もうおしまいだ
全てを破壊してしまおう
そう思うかもしれない
しかし、その最後の糸を何とか繋ぎとめる方法が、何と一つだけ存在する

それこそが、そう、ポテトサラダを作ることである

何故ならポテトサラダ作りは失敗しない
学業も、仕事も、人間関係に失敗しても、ポテトサラダは失敗しない
私にも、私なんかでも、できることがまだあると、ポテトサラダ作りは教えてくれるのだ

───
──


というわけで限界が来たのでポテサラを作ります
まずはジャガイモを買ってきましょう
個人的には泥が一番付いているものを選ぶことが多い 
なんとなくその方が美味しそうだから
画像のはあんまり泥が付いてないけどこれでも一番付いていた 
お上品な畑からきたのだろう


ジャガイモを茹でて柔らかくしようとすると悠久の時と二度見するガス代を必要としてしまうのでシリコンスチーマーを使います
持っていない人は是非買っていただきたい 
私のはダイソーで10年以上前に買いました
100円で10年使える
つまり1日0.02円である 買わない理由はない
シリコンスチーマーに切ったジャガイモをいれたら600wレンジで10分ぐらいチンする
10分というのは本当にテキトウに決めた時間だけれど全然問題はない 
足りなかったら追加でやるだけだ
そういう自由がポテサラ作りには許されている
それこそがポテサラが失敗しない所以である


ムカつくやつを思い浮かべながらジャガイモをフォークで潰します
ポテトマッシャーなどという用途の限られた道具は必要がない
でも量が多い場合はその限りではないので必要な人はあってもいいかもしれない 舌触りも良くなりそうだね


潰したジャガはベンチに下がってもらって次はエッグ
茹でる時間は、知らんけど10分で良いだろう多分 どうせかき混ぜる


うん、黄身が若干生だけど別に問題はない
ポテトサラダに失敗はない 全てを受け入れてくれる


粗く刻んでエッグのターンは終了
次はベイケンである


ベイケンは一番安いやつを買おう
何故なら主役はジャガイモである 脇役が目立つ必要はない
安物にも価値はある 君はそこにてくれるだけで良いんだ 
そう語りかけよう
実際、安物の方がなんか美味い


テキトウに切る
そして満足するまで焼く
焼き加減なんてものは何でも良い
なんなら焼かなくても良いし、焦がしても良いまである
故にポテサラは失敗しない
世間が許さなくても私が許そう


そして全員集合させる
遅刻してきたマヨネーズさんと塩コショウさんも合流
混ぜたら完成 この混ぜるのが楽しいんだ


完成したらまずは出来立てをすぐに一口食べよう ピットボーイズの特権だ

うーーーーまい もっと作ればよかった
後はもう好きにすれば良い
そのまま完食しても構わないし、冷蔵庫で寝かしても美味い
食パンに乗せるのも良きかな
量を作りすぎて飽きてしまったら、個人的にはフライパンで円盤状に平たく焼くのもオヌヌメしたい お好み焼きみたいに
新橋の鉄板焼きの店のお通しで出されたことがあるけど美味しかったぞ

ともあれ、おわかりいただけただろうか
何もできない私にも、まだできることがあった
だから多分、私は大丈夫だ
その事実は救いとなり、明日の自分の背中を少しだけ押してくれる

ここまで読んだ聡明なあなたは「簡単な料理だったら別にポテサラじゃなくてもよくね」と思うかもしれない
例えばカレー
具材を切って煮込むだけ 確かに簡単だ 
だけれど、そうじゃないんだ

ポテサラは簡単でありながら、見て頂いた通り工程は結構多い
切るだけでなく、蒸して、炒めて、茹でて、和える
食材ごとに調理法が変わるぐらいには手間がかかる
その、ちょっと凝っている料理という一段階上の塩梅が、実に自己肯定力を高めてくれるのだ 
簡単すぎても良くないのである
その上で限りなく失敗がない料理というのは、ポテトサラダの他にないと言っていいだろう

そしてもう一つ優位性のある部分がある
それは無限大の拡張性である
今回はジャガ、タマゴ、ベーコン、マヨという非常にシンプルな食材で作成をしたが、一度ポテトサラダを作ったあなたは、きっと思うであろう
次は別の食材を入れてみよう、と


するとあなたの頭の中は、次のポテトサラダのことでいっぱいだ
秘めていた創造性が溢れ出して止まらない!
するとどうだろうか
不安、苛立ち、焦燥…
そんなものが頭の中に残る余地はいつの間にか残されておらず、すっかりポテトサラダの事ばかり考えてしまっていることだろう
そして理解する
抱いていた不安は、なんて些末なことだったんだろうかと
ポテトサラダ如きに上書きされるぐらいの事だったんだと
そう思えたら、もう大丈夫だ

ポテトサラダが何もかも解決してくれた

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