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お気に入りの腕時計の話

【惚れ込んだ腕時計について語っているだけの雑文】

 大好きな腕時計のブランドがある。

 初めて購入したのは今から5年以上前のことなのだが、手に入れて以来、身に着けるたびに見惚れて、幸せな気分になっている時計である。誇張でもなんでもなく実際にそうで、1年半前には念願の2本目をオーダーし、つい最近には同じブランドの置時計にまで手を出した。家の中でも毎日眺められて幸福である。
 自慢するようなことではないが、日用品にはお金をかけない性質だ。100均を愛し楽天市場の最低価格を漁りユニクロの値引きワゴンを真っ先にチェックするタイプである。いや自慢するようなことでは決してないのだが。ともかく、そんな私をここまで夢中にさせたブランドである。

 はなもっこ、という。

 金沢にある「C-Brain」という工房で作られている、ハンドメイドの腕時計のブランドである。

 特徴は「岩絵具」と「カスタマイズ」である。

 岩絵具。読んで字のごとく絵具の一種だ。日本画に使われている顔料で、鉱物から作られている。水晶だとか、ラピスラズリだとか、珊瑚だとか。この絵具が盤面に使われている。
 これが本当に美しい。かすかにざらついた粒子の質感。やわらかく落ち着いた煌めき。いちばんシンプルな「こないろ」シリーズには、岩絵具で彩っただけの盤面が使われているが、無地にもかかわらず表情があるのは不思議なものである。さながら宝石で塗られた時計だ。
 加えて、インデックスは金箔や銀箔でできている。これがまた、小さいながらに存在感があるので視認性が高い。綺麗なだけではなく便利なのである。

 それだけではない。
 はなもっこにはさまざまなシリーズがある。

 和紙を重ねて、文字盤を十二単の衿元のように彩った「かさね」。
 伝統文様を切り出した「紋切り」。
 漆塗りに、螺鈿や蒔絵が輝くシリーズもある。余談だが、私はいつかこの螺鈿を持つのが夢である。
 ――など、など。
 
 とにかく眺めているだけで溜息がこぼれてしまう。定期的に、この時計たちを眺めたいという理由だけでHPを訪れてしまう。

 そして更に、それだけではない。
 この美しい腕時計、カスタムオーダーが可能なのである。

 例えば、トップ画像左側の腕時計。これは私が2020年の2月に注文したものだが、以下のようなオーダー内容になっている。

・文字盤:レディース かさね 藤
 文字盤のデザインの多さは上記で触れたとおりである。確認してみたら、文字盤だけでなんと100種類もあった。これだけあるとどれにしようか悩んでしまう。否、実際物凄く悩みに悩んで決めた。罪なブランドである。
 ちなみに文字盤はサイズも選べる。大きめのユニセックスと、小さめのレディースだ。私はいつもレディースサイズだが、大きいのも可愛いと思う。ペアウォッチにもお勧めだ。

・ケース:ステンレス
 金と銀が選べる。ベルトについては後述するが、金具の色はもちろんケースに合わせてくれる。

・針:シルバー(笹)
 これも色が選べるのはもちろん、針の形も選ぶことができる。私はこの「笹」が好きだが、真ん中が空洞になっている「リーフ」も可愛いと思う。

・インデックス:いぶし銀箔(12時の位置のみ四角)
 色は「金・銀・いぶし銀」、形は「丸・四角」から選ぶことができる。
 初め、「銀」でオーダーしたところ、担当のかたからご連絡があり、「この文字盤で銀箔は見づらいのでいぶし銀をお勧めしていますがいかがですか」と丁寧なご提案を頂いた。こういうことがあるからファンが愛を深めてしまうのである。一も二も無くいぶし銀に変更した。

・ベルト:パープル 二重巻き
 革ベルトは二重巻きと一重巻きを選ぶことができるが、私は断然二重巻き派である。
 色とりどりの革ベルトのほか、様々な柄の布ベルト、真田紐や組紐まで選ぶことができる。組紐はストラップ形もあり、根付のように使えるので、和装をたしなむかたにもお勧めだ。
 ベルトは自由に付け替え可能なので、替えベルトをいくつか持っていると、表情が変わってどんなファッションにも合わせられる。スーツでもジーンズでもお手の物だ。

 こうしてできたのが、世界にひとつの腕時計である。

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 さながら、唯一の職人芸を手首にまとう贅沢。袖口から覗くたび、時間を確認するたび、少し口元が緩む。

 気になる! というかたは、ぜひ「カスタムオーダー」でいろんな組み合わせを試してみていただきたい。きっと、お気に入りの1本に出会えるはずだ。


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