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今年出会った音楽の話

【2021年に出会った音楽について振り返っているだけの雑文】

 早いもので、今年も気づけば残り2週間となった。
 つい先日まで暑い暑いと言っていたような気がするし、なんならついこの間まで平成だったような気が――さすがにそれは言いすぎか。

 さて、そんなわけで、そろそろ1年を振り返ってみても良い頃合いである。
 せっせとiTunesの中身を増殖させ、ライブの再開を待ち焦がれていた身としては、やはりこのかたちで振り返るのが適切だろう。

 今年出会った音楽、ベスト5。

 あくまで私が個人的に「今年出会った」音楽から選んでいるので、リリース日が古いものが含まれていることはご容赦いただきたい。
 音楽と一緒に思い出話も綴っている。良かったら、曲を聴きながら読んでいただければ幸いである。

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⑤人生はスキャット/T.O.C.A

 私の愛してやまないロックバンド「鴉」と同郷のバンドである。彼らと対バンしていたことがきっかけで出会った曲だ。
 好きなバンドはワンマンでたっぷりじっくり聴きたいものだが、対バンには対バンの良さがあると思う。あるバンドが聴きたくてイベントに行ったのに、気がついたらすっかり対バン側のファンになっていた――ということも珍しくない。そういう出会いが好きだ。
 ここ2年ほど、世情のおかげでライブハウスに足を運べていなかった。配信ライブは何度かあったが、それでも生の迫力が恋しかった。そうして私が画面の前でライブハウスに焦がれていた9月上旬、配信ライブで鴉と対バンしていたのがT.O.C.Aだった。
 配信ライブは配信ライブでしっかり満喫した。そして翌日、iTunes経由でこの曲を購入した。
 ――そうだ、ライブハウスにはこんな楽しみかたもあったんだった。
 それを思い出して、ますますライブハウスが恋しくなってしまったのだった。

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④秋日/それでも尚、未来に媚びる

 2021年6月。大好きなバンドが、活動を休止した。
 残してくれたのがこの曲だった。
 いつもと同じように、声と感情の限りに胸の奥底から歌い叫んでいた。いつもと同じようにどうしようもなく格好良くて、だから、どうしようもなく切なくなった。
 いつまでも待っているので、待たせてほしい。

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③境界線/amazarashi

 11月に出たばかりのamazarashiの新曲である。アニメ「86-エイティシックス-」第2クールのOPテーマ曲だ。
 なにも知らずにこの曲を聴いて、良い曲だなと思った。何度か聴くうちに、「過去の自分/現在の自分」を重ねるようになった。「過去の自分」は戦場に居て、「現在の自分」が境界線のこちら側から見守っているような構図を、なぜか思い浮かべる。あれはきっと、いちばん壊れていた頃の私である。
 余談だが、このアニメに垂直落下をキメてしまった友人がいる。私を同じ沼に引きずり込むべく虎視眈々と狙っている様子だが、私は今のところ第1話しか見ていない。が、第1話を見てしまってから、友人の言いたいことがなんとなく解ったような気がする。この曲は、amazarashiの世界観も、アニメの世界観も、同じく息づいている楽曲なのだ。これは贔屓目の感想だが、「すごい才能」だと思う。
 なお、第1話視聴を報告した際の友人のコメントが「ともに堕ちよう」だったことを書き添えておく。

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②ドラマツルギー/Eve

 Eveは、アニメ「呪術廻戦」OPの「廻廻奇譚」をきっかけに聴きはじめた。廻廻奇譚が好きだったので、遡っていろいろ聴いてみようと思い立ち、アルバムを3枚ほどごそっと借りてきたところ、気がついたら延々とリピートしていたのがこの曲だった。
 軽快で踊るような曲調、スキップするような疾走感、シンプルでお洒落なのにどことなく不気味さの漂うMV。癖になる楽曲で、癖になってしまったのだと思う。あれこれ言うのも野暮なので聴いていただきたい。聴き終わったら、きっとリピートしたくなる。

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①ライブハウスで会おうぜ/ハンブレッダーズ

 特に関西勢、とりあえず黙って再生してみてほしい。見慣れたライブハウスが次々に登場して、もうそれだけで泣けるMVだ。
 2020年、そして2021年。楽しみにしていたライブは次々に中止になった。泣きながらキャンセルしたチケットが2枚、キャンセル同然になって呆然としたチケットが1枚。どれだけ焦がれてもどうすることもできなくて、ただ配信画面を見つめるばかりだった。
 私がライブハウスに通い始めたのは20代も後半になってからのことで、恐らくかなり遅いほうだと思う。そもそも某バンドと正面衝突しなければこんなことにはならなかったのだが、それはまた別の話だ。
 初めてライブハウスなる場所に行ったときの場違い感や不安感はまだ覚えている。だから、AメロやBメロの歌詞がやけに沁みる。
 私が初めて行った箱は、このMVにも登場している心斎橋Pangeaだった。どうか、当たり前にライブを楽しめる世の中が戻ってきますように。
 各位、ライブハウスでまた会おうぜ。

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 今年のイヤホンには、どんな曲が流れていただろうか?

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