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HLAB Alumni Interview #4-3 佐々木弘一 (実行委員長をやりきって感じたこと、その後)

HLABは2011年以来、高校生、そして大学生の多くの参加者が、各々のフィールドで活躍しています。

今回は、HLAB Alumniにインタビューをしていく企画第4弾として、2012年参加者、2013小布施実行委員、2014実行委員長の佐々木弘一さんのインタビューを掲載します。

インタビューは3回に分けてお送りしてまいります。(第1回/第2回

第3回目は、委員長をやる上での葛藤についてお話しいただきます。委員長として何を悩み、終わった後に何を感じたのか。また、HLABを通しての出会いについても語っていただきました。

──実行委員長として悩んだことはありましたか?

佐々木さん:実行委員長やるにあたってすごく悩んだのは、透さんの場合は、ご自身の問題関心もあって、そこにHLABという既存のモデルケースをうまく掛け合わせて、素晴らしいサマースクールを作り上げたわけですけど、僕はゼロイチじゃなくて、1をキープしつつ1.01に発展させることを実行委員長として求められてるなと思っていました。

でも、透さんが作り上げたサマースクールを自分が再構築するにあたって、透さんが心の中に秘めてた個人的な思いの強さに値するものを、僕は持ってるんだろうかという不安は常に感じていました。実行委員長をやりながらもすごく悩んでましたし。

透さんと比べるまいと意識してても、町民の方や町役場のカウンターパートの方からは、陰に陽に1年目と比較されているように感じられました。

そういう状況だったので、「本気でやるんだったら、小布施に移り住まなきゃダメなんじゃないか」という考えもよぎりました。でも、そこまで決断しきれなかった。自分は人見知りなので、町の中にどっぷりつかるのは、得意じゃないだろうという思い込みもありました。実際、ちょっと無理していた部分はありました。

1年目はチームとしてそれぞれの得手不得手を補い合えていたんだろうな、というのが今振り返ると言えることです。

──なるほどね、でも2年生でしたしね。

佐々木さん:周囲からそういわれるのもちょっと辛かったですね。穿った見方をすると、もうちょっと学年が上がればできるようになるみたいな考え方、つまり経験を積めばもうちょっと上手く振る舞えるようになる、前提があると思うんですけど。

──それも違うんじゃないかなっていう。

佐々木さん:そうなんです。結局、自分の中でぐるぐるぐるぐるするから。それこそ、透さんにこういうことをちゃんと相談すればよかったんだろうけれど、ここまで深く、本音で相談しきれませんでした。

多分本邦初公開のエピソードだと思うのですが、サマースクールが終わるとき、閉会式のあとに高校生とSLがサプライズで僕たちをねぎらって色紙書いてくれたんですよ。ハウスごとに渡してくれるサプライズ企画があって。

そのサプライズ企画はすごく嬉しかったんですけど、サプライズ企画で泣いたりはしなくて、そのあとに透さんが横にきて、肩をトントンってして「おつかれ」って言われた瞬間に、涙がボロボロって出てきちゃって。止まらなくて。やばかったですね。人前で泣いたの何年ぶりだろうってくらい泣いちゃいました。

透さんに「よくやった」って言われたのもそうだし、「これで実行委員長も終わりか…」っていう区切りだったと思います、透さんの肩ポンポンは。

──そうだったんですね。それで2年間やって「やりきった!」って感じだったんですか。HLABとの濃密な実行委員としての関わりみたいなのはいったんこれでいい、みたいな。

佐々木さん:そうですね。ちょうど進振りの結果も出るタイミングでした。

──そうだね。その話は一旦置いておいて、他にも聞いてみたいのが、HLABの人とは出会い直しみたいなことが多いと思います。たとえば私が知ってるところは南藤とはHLABのサマースクール自体はかぶっていないよね?

佐々木さん:かぶってないですね。

──すごく仲良しなイメージなんですけど、どういう関係なんですか?

佐々木さん:あれは自主ゼミ仲間というか。毎月『現代思想』という雑誌を読むことをしているんです。その前も、一緒にマナビノマドっていう、で、それぞれが研究しているテーマや面白いと思っているトピックを大学生同士で共有するだけじゃなくて、、HLABのセミナーのように高校生にも伝えることで、自分自身の学びを深めつつ高校生に学問の一端に触れてもらえる、そんな一石二鳥な企画を運営していました。

アカデミックな語彙や思考を前提としない高校生に対して、レベルを落とさずに学問の魅力を伝える方法を考えることは、自分たちが自明視している学術的な概念や方法について再考する機会にもなりました。当時、2014年から2015年ごろってそれこそ「人文社会系の学問は役に立つのか」という問いをめぐって議論が紛糾していたんです。それこそ僕は宗教学っていう人文系ど真ん中の勉強をしてたので、これは学生としても考えなきゃいけないと思っていました。研究室の教授たちが焦ってるのが目に見えてわかったので。

そこで、すでに大学に籍を置く研究者だけに任せるのではなく、学問と社会の間にいるといってもいい学部生の視点で人文社会系の学問を捉え直さねばという使命のようなものを感じていました。そのとき南藤くんもちょうど進振りがおわったくらいで、政治思想・社会思想を勉強しますと決心したタイミングだったので、「じゃあ一緒にやろう」と事が運んでいきました。。

──他にもそういう風になんか出会い直してる人たちっていますか?

佐々木さん:最近出会い直しました。その子は2012年の同期で、サマースクール当時は結構尖っている性格の子だったんですけど、最近みっちりスカイプをして、当時の印象が一変しました。他にも、高高の後輩との新たな関係性の構築も、出会い直しだと思います。先輩・後輩という上下関係ではなくて、それぞれの専門や仕事を尊重しあえる間柄です。

最近出会い直した、2012年のサマースクールでの同期。
(写真左から順番に、佐々木さん・野田さん・マナビノマドを一緒にやっていた南藤さん。)

高校生として参加したサマースクールのときの写真。最近出会い直したという野田さんは写真中央。

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