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フットボールの魅力とは:速報レビュー 川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸

今日は仕事を早く切り上げて等々力で川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸戦を観戦。当初は9月9日に予定されていたこの試合、チケット発売時刻をうっかり忘れてしまっていて、元々はチケット入手に失敗してしまった。

それがワールドカップ予選との関係で日程が変更になり、再販売でなんとか入手に成功。去年の等々力の試合ではイニエスタは欠場したから、危うく去年に続いてイニエスタを見損なうところだった。

ただ、仕事の関係で21時からアメリカとビデオ会議をしなければならなくなった。さすがに等々力緑地のベンチで、というわけにもいかないので、武蔵小杉駅近くのカラオケボックスを予約してタイムアップ後大急ぎで直行。
PKが二回あって試合終了が遅くなったのでなかなかたいへんだったが、ユニ着たまま会議に参加(笑)。あのエキサイティングな試合の後で仕事した自分を褒めて上げたい(笑)。11時前に会議を終えて帰りの電車の中でレビューを書いている。

戦術とかシステムというより、個の力の対決

結果は3-1。前半に先制され、後半にエンジンを上げて逆転する最近続いているパターン。

フォーメーションはフロンターレが今日こそ基本型の4-1-2-3。ヴィッセルは4-2-3-1。守備時には4-4-2に変形するチームも多い中、お互いに攻撃時守備時ともこのフォーメーションを維持していた。

この試合の率直な感想は、「とにかく面白かった」というもの。戦術とかシステム云々より、ジェジエウ対大迫、マルシーニョや宮城対酒井高徳、フェルマーレン対ダミアン、そして何よりイニエスタというように、個の力やスキルがぶつかり合って、フットボールの面白さを素直に感じられた試合だった。


「消える」イニエスタ

特に前半はお互いのプレー強度が高く、ボール保持が目まぐるしく変わる展開。ボールを取られたからリトリートして守ろうと言うのではなく、お互いにファーストチョイスはボールの即時奪回。フロンターレも奪回した後奪われる展開が多く、リズムに乗りきれない。

そんな密度の高い試合展開の中で際立ったのはやはりイニエスタ。ボール保持が入れ替わるなかでも、ヴィッセルが取り返す一瞬前にマーカーから消えてフリーのポジションを取る。そして前線にパス。ディフェンダーが来てもうまくボールをいなす。

イニエスタだけを追いながら見ていた時間もあるのだが、マークにつく橘田や旗手から離れる時間と位置取りが絶妙。

単に離れるだけでなく、次にパスを送るためのスペースがあるところにすぅっと移動する。


以前、ラグビーオールブラックスのボーデン・バレットのスペース感覚が超一流のサッカー選手と似ていると書いたことがあるが、まさにその通りで、先制点の縦パスの時にはバレットのキックをまざまざと思い出した。

 

フロンターレは立ち上がりは、橘田と旗手の2人でイニエスタをマークすることがあったが、そうなると前線の守備が薄くなり、ボールをサイドに回されてしたしまうので2人マークは早々に見られなくなった。

いずれにせよイニエスタはうまく間に立つのでなかなか捕まえられない。そこで作る時間と攻撃の方向のコントロールが素晴らしかった。特に大迫が前線にいることで、イニエスタの恐ろしさが増幅される。先制点はまさにこの2人のホットラインから。

 やはり交代選手のプレー強度が強み

前半は最終ラインの手前で引っ掛かることがしばしばあったが、後半のフロンターレはしつこくヴィッセルの裏を狙う。

決まらなかった最初のPKを始め、幾度も決定機を作る。数分間に二度のPKという珍プレーで同点。そこから2点を加えて勝負を決めた。

今日も最後に勝敗を分けたのはこの日も交代選手のプレー強度だった。ヴィッセルがイニエスタを代えてから、中盤でタメを作れなくなり、攻撃に迫力が失われていったのに対し、フロンターレは強度が落ちない。最後は山村と谷口2人をボランチに入れる形まで見せてゲームをクローズした。

サッカーの魅力を再確認

繰り返すが、率直に本能的な部分で面白いと感じられる試合だった。特に非常に戦術的な試合が続いただけに、サッカーの魅力を再確認した思いがする。


それがイニエスタを呼んだ時にヴィッセルが目指していた姿なのかどうかは分からないけれど。ただそれは、他チームのサポーターが軽々しく口にするようなことではないだろう。