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不用意なファウルの怖さ:天皇杯決勝 浦和レッズ対大分トリニータ(12月19日)

今日は天皇杯決勝、浦和レッズ対大分トリニータ戦へ。もともとフロンターレが出るつもりで取ったチケットだが、せっかくの決勝戦だし、秋のレッズとの2回の対戦でリカルド・ロドリゲス監督のサッカーの好感度が高かったので、迷わず見に行くことに。

それと、レッズサポーターのコレオを娘に見せたかったというのもある。

トリニータのコレオもお見事。

娘も「凄い!どうやってるの??」と感動。連れてきて良かった。

席は334ブロックの2列目。けっこう見やすい席だった。

中盤ダイアモンドのトリニータとレッズの対策

 試合は2-1でレッズ勝利。前半早々にレッズが先制、その後トリニータに点を許さなかったもののアディショナルタイムに同点ゴール。しかしそのあとにレッズが勝ち越し点を奪って90分で勝負を付けた、劇的な試合だった。

トリニータは準決勝のフロンターレ戦同様、中盤ダイヤモンドの4-4-2-(4-3-1-2)。中央レーンを固める守り方だ。

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 しかしレッズは、フロンターレ戦の分析も踏まえてだろう、特にためらいもなく、中盤ダイヤモンドの外側のスペースから前進を図る。そしてダイアモンドが寄ってきたところで逆サイドにパス。上の全体写真でも、ボールは右サイドの酒井宏樹が持っているが、左サイドバックが高い位置を取って、逆サイドのスペースを突こうとしているのが見てとれる。

 そうした攻撃から、あっさりと先制。ペナルティエリアまで攻め込み、右側で小泉が粘ってボールを保持。サポートに入った関根が逆サイドにボールを出して江坂がたたき込んだ。

ボールを持たせるレッズ、決め手を欠くトリニータ

 それからはレッズが重心を後ろに置いて無理に攻めない展開。一方トリニータはボール保持時3バックにして、両ウイングバックがタッチライン際に構えるトリニータの基本形で反撃する。

 ボールを取ったらウイングバックに預ける。そしてレッズがボールを奪いに来たところでハーフスペースにいるサポートにパス。レッズの選手はサイドのウイングバックにプレスに行ってしまっているのでハーフスペースは手薄になっているので、ハーフスペースにボールが返されるとそれほど障害もなく前進ができる。

 レッズが重心を後ろに置いたことと、トリニータの横幅いっぱいを使ったビルドアップが功を奏したこともあって、その後はトリニータがボールを保持する展開になる。しかしながらアタッキングサードでレッズディフェンスを崩す決め手がなく、トリニータはボールを持っていても攻めきれない状態に陥った。

 そうなるとレッズにはカウンターのチャンスがある。

 しかし、いくつかあったカウンターのチャンスも、トリニータはトレヴィザンを中心にしっかりと守る。

 特に、トレヴィザンとユンカーのマッチアップには見応えがあった。

 後半になっても、レッズは引き続きトリニータにボールを持たせる。なのでボールを保持するトリニータ、守るレッズという図式は変わらない。しかしながらトリニータは決定機もつかめないと言う形で時間が過ぎていく。

遠くてもフリーキックは怖い

 大分は得点力があまりない。なので、レッズが先制した時点でレッズが優位なのは明らか。レッズもそれを見切った上で、ボールを持たせながら時計を進めるという守り方をしていた。
 しかしこれはトーナメント戦。終盤になればリスクを取って前線に人数をかけてパワープレイを仕掛けてくるのは当然のこと。問題なのはそのタイミング。自分は、それは最後10分くらいのタイミングと思っていた。なのでトリニータの課題は、ラスト10分のタイミングまで1-0でついて行けるか。

 そしてトリニータは追加点を許さず、1-0で残り10分を迎えることができた。

 終盤の試合展開に大きく影響したのはフリーキックだった。しかもアタッキングサードに入ってからの、直接狙えるような位置ではなく、中盤、ミドルサードでのフリーキック。

 まずはトリニータ。ハーフラインを少し越えたあたりでレッズがファウル。トリニータが前進はしていたが、レッズのディフェンスも戻っていたので特にファウルを置かさなければならない状況ではなかった。
 フリーキックの場合、一度プレーが止まるから、蹴る側はセンターバックを含めて前線に送り込むことができる。さらにトリニータは前線に人数をかけるためにキーパーの高木がキック。左サイドの下田北斗から中央へ。ゴール前に人数をかけることができたトリニータ。ここで見事な同点ゴール。

 このゴールはフリーキックでなければ生まれなかったはず。その意味でレッズは、それほど危険でもない位置で無意味なファウルを犯したということでもあった。

 そしてレッズの勝ち越しゴールもフリーキックが絡んでいる。90分で勝負を付けるべく、攻め込むレッズ。そしてやはり敵陣に入ってすすんだところで、トリニータがファウルを犯す。人数もそろっていたし、ファウルで止めなければいけない場面でもなかった。

 そこからやはりレッズが前線に人数をかける。しかしフリーキックからは得点できず、コーナーキックへ。そしてコーナーキックの流れから柴戸がミドルシュート。それを槙野が触ってゴール。試合を決めた。

 このいずれもが、それほど危険でもない位置で犯したファウルからのフリーキックが起点。フリーキックと言えば直接フリーキックが注目されがちだが、特にゲーム終盤、前線に人数をかける状況を作り出せるフリーキックは、遠い位置からでも試合の帰趨を決することがある。

 劇的な試合ではあったが、そういった状況判断が必要だと改めて感じさせられた試合でもあった。

優勝、おめでとうございます!

 とはいえ、浦和レッズの優勝に心からお祝いを述べたいと思う。あの場面で心が折れずに1点を取りに行ったのは見事だった。
 これでACLは川崎フロンターレ、横浜Fマリノス、ヴィッセル神戸、浦和レッズ。今のJリーグでこれ以上ない陣容で臨むことになる。
 
 来年こそは日本勢の優勝を。