見出し画像

中央突破の力:川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島戦(4月18日)<1>

 昨日のグランパス戦の興奮がまだ残っているのだけれど、今日のレビューは4/18の川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島戦。スコアは1-1の引き分けとなった試合。

サンフレッチェは3バック?4バック?

 まずはスタメン。

 フロンターレはいつもの4-1-2-3。シミッチと旗手が欠場していて、アンカーは田中碧、左インサイドハーフに遠野。

 サンフレッチェは4-4-2ということになっているようだが(サッカーダイジェストフォーメーション表より)、守備時には4バック、攻撃時には3バックになる形だった。

 これがゴールキックを待つ状態での3バック。

 これは最終ラインからのビルドアップ時。やはり3バック。中央にいるのは右センターバックの荒木なので、ボランチが最終ラインに落ちてきたわけではない。

 以下が4バックの時。この時はフロンターレがボールを保持している。


サンフレッチェの中央封鎖

4バック時のマッチアップは以下の形になる。

 4バックの時はフロンターレがボールを保持している。最終ラインからのビルドアップを例にとってサンフレッチェの守り方を見てみる。

 まずは浅野かジュニオール・サントスのどちらかがアンカーの田中碧のマークにつく。そしてマークについていないほうがボールを持っているセンターバック(谷口かジェジエウのどちらか。下図では谷口)にアプローチする。この時、インサイドハーフの遠野、脇坂にもマンマークを付け、中盤からのビルドアップを封じてきた。

 遠野と脇坂が入れ替わっても同じ構図。中盤へのパスコースをマンマークで塞ぐ。


 そうするとフロンターレの1つのオプションはサイドにボールを出すこと。その時はサイドでボールを受けた登里ないし遠野から中へのパスコースを塞ぐ。

 もうひとつのオプションは前線へのロングキック。前半は、サイドも手詰まりになって結局ロングキックを蹴ってサンフレッチェにボールを回収されることが多かった。

中央にスペースを作って突破:「三笘マップ」を作ってみた

 そこでフロンターレがビルドアップのやり方を修正する。インサイドハーフがマークを引き連れて下がり、空いたスペースにウイングを入ってこさせた。つまり左なら遠野が下がり、空いたスペースに三笘が入る 。右なら脇坂が下がり、空いたスペースに家長が入る。


 この形でサンフレッチェの前線の守備を突破することができた。

 この試合、試しに「三笘マップ」を作ってみた。三笘がボールタッチした場所をマッピングしたものだ。

 まず全体。

 これをよく見ると、ボールタッチの場所に2つのグループがあることに気づく。1つが左サイド敵陣に入ったところ。登里とのパス交換を頻繁に行う場所だ。

 もうひとつがセンターサークル左側。つまり、中央に絞ってのボールタッチだ。ちょうどこれが始まるのが16分から。このあたりから、三笘が中に絞り込むことでサンフレッチェのディフェンスを抜けるアプローチが始まったことになる。


 もうひとつ面白いのが、ポイントごとのプレー選択を見た場合。ドリブルをしたときだけ、ポイントを表す×から矢印を伸ばしている。

 これを見ると、左サイドで受けたときはパスも多い(白い円で囲った範囲で見るとボールタッチ12回中ドリブルは5回)のに対し、中央でボールを受けたときは6回中5回ドリブルをしており、ドリブル率が圧倒的に高い。

 つまり、単に遠野が空けたスペースでボールを受けるだけでなく、そこからドリブルで縦にボールを運んでいた、ということになる。実際、先制点も、36分にセンターサークル左脇でボールを受けてからドリブルで前進したのを足がかりにしたものだ。

 と言った形で、フロンターレはウイングを中に絞らせてサンフレッチェの守備を突破し、試合を優勢に進めていく。次回は、この試合のボール奪取マップを見てみる。





この記事が参加している募集

スポーツ観戦記