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「ザ・Yコンビネーターを語る会」開催

こんにちは、HAKOBUNEインターンの有村心壱です!

2023年08月29日に、HAKOBUNE主催にて
「ザ・Yコンビネーターを語る会」を開催させていただきました。

個人的に学びも多かったので、今回は内容のまとめを共有させていただきます!

ちなみにイベントに使ったスライドや、フルの録画動画は、HAKOBUNEのNewsletterにて配布していますので、ぜひご登録を!

イベント開催の背景

今回のイベントの開催の背景には僕が7月中にインターンをしていた886Studiosでの経験があります。

886Studiosは、Guitar Heroというゲームを作った「RedOctane」というスタートアップを創設し成功した、起業家であるKai Huangさんによって作られました。
形態としてはPre-Acceleratorで、台湾のスタートアップをYコンビネーターに入れるということを目的にしています。
そこで、台湾からシリコンバレーへという熱意や、他のアクセラレーターではなくYコンビネーターのみというこだわりに刺激を受け、
日本でもこうした海外進出を目指す起業家のためのエコシステムを作りたい!と思い企画をしました。

スピーカーのお2人

スピーカーはDG Daiwa Ventures渡部大和さん、そしてJetroスタートアップ課加賀悠介さんのお二人で、渡辺さんは2016年からYコンビネーターのDemo Dayに参加をしており、何社か投資にも至っています。
加賀さんはTechstartsAlchemistといった大手アクセラとの共同プログラムも立ち上げており、お二人ともスタートアップの海外進出に深い経験と知識があります。

DG Daiwa Ventures 渡辺大和さん
Jetroスタートアップ課 加賀悠介さん

スピーカーセッション

スピーカーセッションでは3つのトピックに関して、お二人から意見をいただきました。

1. 「日本のスタートアップのアイデアがグローバルにスケールする可能性はあるのか?」

渡辺さん
YCの直近の傾向に関しては、シリコンバレー回帰している。新興国に広げようという部分が前は多かった。S23に関してはシリコンバレー回帰しているため、アメリカ以外の日本を含む新興国に関しては、GMVやトラクションが伸びているという部分を重要視していることが、選考からも感じられる。

「日本の」と言ってる時点で厳しいものがあり、グローバルと言ってもさまざまな国があり、アメリカ国内だけで見ても政治的な側面や地域的な側面でさまざまなセグメントが存在しているため、そこへの徹底的な理解が必要。
プロダクトが米国に合っていても、マーケティングで負けてしまうという事例も多い。

YCへの応募のみに関しては、そうした障壁を覆すような数字を示す必要がある。またスタートアップアイデアに関しては、Uber for Xといった形で変換できるような分かりやすいアイデアが好まれやすい。

加賀さん
渡辺さんがいった通り、グローバルといってもセグメント分けが重要。そのセグメントをよく知る人たちと話す必要性がある。

日本のスタートアップでよくあるのが、アメリカ東海岸、西海岸といった国外セグメントでのマーケットの顧客の課題が分からないこと。そのためにやるべきなのは、各セグメントのマーケットでのPMF(プロダクトマーケットフィット)を確かめることになる。

Takeaway
日本のスタートアップが国外でスケールしたいのであれば、その国の中のセグメントを、現地の人に聞いたりコネクションを利用したりして深く理解する必要がある。その上で、そのセグメントのマーケットでのPMFを達成することが必要。

2. 「YC応募前にアメリカでトラクションを得るには?」

渡辺さん
YC出身企業に25社投資していて、応募前に投資しているスタートアップも3社ある。日本のスタートアップの場合だと、入る前に既に売上が上位3%であったりする。そう考えると、日本からYCに行くスタートアップは、既存投資にとってダウンランドになる可能性が大きい。またインドやアフリカの例だと、自国の中でトラクション取っているものが多い。
そのため、アメリカでトラクションを得ているかどうかより、数字として取れているかが鍵となってくる。

加賀さん
トラクションの取り方に関しては、BtoBなのか、BtoCか資金調達に関したトラクションなのか、で変わってくる。BtoBだと、向こうのマーケットやビジネスモデルの違いなどを向こうのメンターと相談しながら、プロダクトを調整するべき。

例えばJetroで支援していたスタートアップで、日本では固定報酬であったが、成果報酬型に変えた瞬間、向こうでの顧客がすごい増えたりといったこともあった。向こうの契約の仕組みなどを理解し、会社の購入プロセスをいかに簡素化できるかという部分も、トラクションを得る上で重要になってくる。

Takeaway
アメリカでのトラクションは必須条件ではないが、その分国内でのトラクションの数字が飛び抜けている必要がある。アメリカでトラクションを得たいのであれば、やはり向こうのマーケットを深く理解した上でアプローチを取るべき。

3. 「日本で起業してから海外に行くか、海外でそのまま起業か?」

渡辺さん
シリコンバレーで起業してそこでのコネクションを増やすと言っても、YC内に知り合いがいるといったものは選考に加味しないし、むしろ選考で言ってしまったらマイナスになってしまう。YC入ってから顧客を紹介してくれるため、入ってから作るのでも問題ない。
どちらで登記するかは、コストを考えて最適な方を選ぶ。

加賀さん
自分の場合だったら、海外で起業したい。万人受けするようなプロダクトを作るといった際に、ダイバーシティーのある場所で起業した方が、そういったプロダクトを作りやすい。

Takeaway
必ずアメリカで起業する必要はないのだが、最初の2つのトピックでも言ったように、現地のマーケット理解やダイバーシティーといった点で、プロダクト作りがしやすくなる。最終的にはコストを鑑みて選択する。

Q&Aセッション

Q:日本で起業し資金調達も行い、国内でのPMFを達成した後に海外に事業を広げていくケースの場合、YCに採択されて投資を受けるとおそらくダウンラウンドとなってしまう。その場合の既存投資家とのコンフリクトについて、また現地法人も設立してた上での海外進出について日本に残るメンバーとのストックオプションの配布などで注意すべき点はありますか?

渡辺さん
ストックオプションに関しては、既存の会社を持株会社化することで、付与済みSOや今後の発行もそのままにするという例がある。日本側のVCの理解をどうすればいいのかという部分では、1社、理解してもらえるVCを見つけて、そこにサポートしてもらう。

Q:SAFEの転換条件に働きかける、トリックなどはありますか?

YCはSAFEの中身を変えることを極端に嫌う。Handshake Processという、細かい契約書のレビューをしなくていい代わりに、表明したら10日以内に投資をする必要があるプロトコルがある。ここの掟を破った投資家は呼ばれなくなったりしてしまうため、SAFEの条件を変えたりというのはあまり聞いたことがない。
他の方法として、YCのネームバリューを利用して、他の投資家から資金調達を受けるというケースも存在する。

Q:YCに採択されたスタートアップに投資していて、株主の目線でこれが良かったなどありますか?

資金調達面のメリットが大きい。入れば40万ドル調達でき、かつYCに参加したというブランドがつく。またDemo Dayといったイベントもあるため、スムーズに資金調達ができ、よりプロダクトの方に集中できる。

Q:YC応募の際に、日本スタートアップはインバージョンなどして海外法人を作った方がいいのでしょうか?

去年のWinterバッチに応募した会社で、応募時点では日本法人のまま走らせ、インバージョンなどの方でコストはかけなかった。選考に通ったのちに、海外で会社を作れる人を雇いコストをかけていた。Genomelinkは海外法人で立ち上げており、その理由もBerkeley Skaydeckの方に入っていたから。
日本法人で資金調達してからYCに行った例はない。

Q:YC応募時にどこをアピールしたか?

ファウンダーの部分で、創業者同士の関係はすごい見られる。YCマネージングディレクターの人から聞いたのは、どれだけ長くお互いを知っているかや、信頼関係を示すエピソードなど非常に見られる。
あとはハックした経験という部分で、スタートアップアイデア以外でクリエイティビティと問題解決能力を示したエピソードも注目される。

Q:日本からのスタートアップにはどういった印象が持たれているのか?

日本だからといって評価されたり、選考で不利になったりということはない。

Jetroの海外展開支援

Q&A後に、加賀さんの方から、Jetroの提供する各種プログラムのご紹介をいただきました。海外アクセラと提携したアクセラレーションプログラムや、海外のメンターとの1to1のメンタリングサービスなど、日本のスタートアップが海外に進出する際のリソースとして強力なので、ぜひご確認ください!

参加者でネットワーキング

セッション後には軽食を交えながらネットワーキングセッションを実施しました。
今回は参加者の方も海外での起業や海外進出を目指している起業家など、
熱い思いを持った方々ばかりだったので、1時間では全く足りないくらい話が捗りました!
そして今回、「The Place Shibuya」の会場を貸してくださったVISさんのおかげで快適なイベントとなりました。
スタートアップ関連のイベントをこれからも開催してほしい、とのことでしたので、ぜひチェックしてみてください。

また次回はもっとネットワーキングを中心にした会も開催するつもりです!

最後に


HAKOBUNEではYコンビネーターの最新バッチにおける注目Generative AIスタートアップに関しても記事を公開していますので、ぜひ読んでみてください!

また実は、HAKOBUNEもYコンビネーターの哲学に共振しており、これからの時代を象徴する「ハッカー」に投資をします!
我こそは異端児・はみ出し者!という起業家の方はぜひご連絡ください!

事業や資金調達に関するご相談は以下よりいつでも受け付けております。


最後までお読みいただきありがとうございました。
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