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山口のサッカーを体現するということ 〜J2リーグ第25節 横浜FC vs レノファ山口FC 振り返り 簡易版〜

2019年Jリーグ第25節 横浜FCvsレノファ山口FCの試合は,4-1で横浜FCの勝利となりました。今回はその試合の振り返りです。

申し訳ありませんが、今回は気になったことを箇条書きする簡易版とさせてください。

前回の試合の振り返りはこちらです。

https://note.mu/hk3sports/n/naa39b09c1366


前半

・横浜は4-2-3-1、山口は3-4-2-1。楠本と菊池の立ち位置は大宮戦から変更し真ん中に楠本、左に菊池

・横浜の狙いは山口の右サイド。山口ホームの時と同じような狙い。

・ただ、山口の1点目は横浜の狙いを防いだところから始まっている。渡邊が菊池と高木の間にボールを蹴ったところを三幸が挟み込んでボールをカットし、こぼれを楠本がボールを捨てることなく宮代に届けたことが起点となっている。見事な対応だった。

・山口得点後は次第に横浜の時間へとなっていく。

・横浜の右SBの北爪に対し山口の左WGの高木がボールを奪いに行けば、早いタイミングでその裏に走る中山やイバに蹴る。逆に高木が中山に引っ張られてステイをすれば北爪はボールを自分で運ぶ。この使い分けの判断が絶妙だった。

・横浜の1点目はドミンゲスの個人技が起点だが、その時の菊池の対応は悔やまれる。ドミンゲスがボールを離した後、菊池がアフターにチャージをかけてファウルとなった。しかし、主審はアドバンテージを取りプレーを続けさせた。この時に菊池がドミンゲスにアフターチャージをかけたために戻りが少し遅れているにも関わらず、全力で自分のポジションに戻らず中山にパスが出た後に全力で走り始めた。

ここをはじめから全力で戻っていれば中山のクロスに足が届いたんじゃないかとゴール裏から見てて思いました。もったいなかった失点だと思います。

・そして菊池負傷で10人になっている時に2失点目。その後ドストンが投入されるものの横浜の攻撃に対する山口の守備は改善されない。

・39分あたりに北爪がフリーで持ち上がり、ドストンと高木の間から裏に抜けた中山にスルーパスが通る。ドストンの左へのスライドが少し遅れ、高木が北爪にプレスをかけたかったのに中山を離すことができなかったために簡単にやられてしまった。

この後、高木がベンチに向かって「どう守ったらいいのか」といったシグナルを送ったように現地では見えた。このシグナルの瞬間に霜田監督がベンチから飛び出して声をかけていたのでおそらくそうだと思う。

・この直後イバが倒れている時間を使いフォーメーション変更。4バックへ。

・フォーメーション変更後の42分頃に山下がニアゾーンに侵入しコーナーキックを獲得。久しぶりにいい攻撃の形が。


後半

・山口は4-3-3でスタート。高井のスルーパスから吉濱の決定機を作るなど悪くない立ち上がり。

・横浜はアンカー三幸の脇を的確につき、良い攻撃を見せる。特にそこをつくドミンゲスを止められない。

・そして山口はパウロを投入。大宮戦では右サイドでうまくいかなかったので、どこでどうやって起用するのかを注目していた。この試合では左のWGで起用。

・ドリブルだけではなくアーリークロスも使いながら得点の匂いをさせるプレーを見せる。大宮戦から修正した。

・ただその左サイドでボールを奪われ、カウンターから大きな3点目を失う。これもアンカー脇に立つドミンゲスに誰もアプローチにいけず、簡単に中山へのスルーパスを許してしまった。

・この後山口もゴールが奪えそうなチャンスを時より作るもののヨンアピンの壁に跳ね返される。そしてヨンアピンのボール奪取からラストパスを受けた途中出場の斉藤光毅が落ち着いて決め万事休す。横浜は6連勝、山口は4試合勝ちなしとなった。



下平監督の戦術が浸透しつつある横浜に完敗を喫してしまいました。まず言えることは横浜が強いということです。自動昇格争い食い込むだけの力があるチームだと思います。現状は6位ですが、もっと上に行くチームでしょう。

そんな横浜と対戦して1つ感じたことは、プレーのテンポの違いでした。1つ1つのプレーの選択、判断のスピードが山口は横浜に比べると遅いように見えました。

横浜のスピードが早い理由は、チームとして狙いが共有できているからだと思います。山口の左サイドという共通言語のようなものがあったからこそ相手を見て素早い判断ができたのだと思います。

相手がきたら裏に走るし、味方の選手が走っていることをボールを持った選手はあらかじめ想定できているのでしょう。だからこそ相手に寄せられる前に蹴ることができるのだと思います。

一方で山口は後ろでボールを長く持つことが多いように感じました。ドストンがフリーでボールを持っても出しどころがなく、どこに出すかをボールを持ってから考えているので相手に寄せられてしまうというシーンが多かったと思います。

受ける側もボールが出てこないのでボールを持ってる選手に寄ってきてしまい、相手も引き寄せてしまいプレーするスペースを失ったり、裏へ走ることもボールが出てこないと思って少なくなったりしていると思います。

受ける側も出す側も意思が合ってないように見える場面が多かったと思います。だから、お互いにボールを持ってから考えることが多くプレーのテンポが上がらないのかなと感じています。

プレーのテンポが上がらないと先ほどから書いているように相手に寄せる時間を与えてしまいます。すると、山口にプレーするスペースがなくなっていき何でもないように見えるパスもミスが起こるのではないでしょうか。

そして、ミスが起こるとこのプレーのテンポが上がらない現象にさらに拍車がかかってしまいます。この試合のハーフタイムコメントでもあった「ボールを大事にする意識」が悪い方向に出てしまうということです。

ミスが起きている状況でボールを大事にする意識が強くなっていくとチャレンジするパスが出せなくなっていくと思います。受ける側が狭いスペースの中で相手の中間ポジションを取っても、出す側がミスを恐れてそこへのパスをキャンセルしてしまうと、そこで次のパスコースを探すことになってしまいます。これでプレーのテンポが遅れます。そして受ける側もパスが出てこなければまた、寄っていってしまい近い距離でプレーしすぎてしまい……という悪循環に陥ってしまいます。

大宮戦、横浜戦とこの兆候が少しずつ現れてきていると感じます。山口が目指すサッカーを体現するためにはミスを恐れていてはいけません。リスクを取って攻めることが山口の良さです。

いま大事なことは、チームとしてどうやって攻めるのかという狙いを共有することが1つだと思います。町田戦のようにどこから攻めるのか、そのためにどのような配置をしておくのかという狙いをあらかじめ共通しておくことによって、プレーのテンポは上がっていくと思います。

そしてそういった成功体験を思い出して強い気持ちで自信を持ってプレーすることが当然ながら必要だと思います。

次節の水戸戦で再び流れを変えられるのでしょうか。そのカギは、中3日ではあるもののしっかりとした準備ができているかということと強い気持ちだと思います。

*文中敬称略

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