今年の山口の真の姿とは・・〜大宮戦で抱いた感動と群馬戦で残った疑問〜

水曜日に行われた群馬戦は1-2の逆転負けとなりました。私はその試合をディレイ視聴していたのですが、試合終了直後の気持ちを以下のツイートで表しました。

今回はこのツイートに至った理由を述べていきたいと思います。これがテーマになります。


オープンな展開で勝点3を手放した群馬戦

早速ですが、今回なぜこのような気持ちになったのかというと、試合の進め方に対して疑問を抱いたからです。この試合は51分にイウリのゴールで先制点を奪い、リードを保った状態で試合を進めていきました。ただ、そのリードを生かして試合を進めていたかというとそうではなくて、群馬にチャンスを作られながらも最後のところで体を張って守ったり、群馬がミスをして攻めきれずにいたりしたことで結果的にリードを保っていたのだと思います。

群馬がチャンスを作っていた要因の1つには山口の前線からの守備が機能し切れていなかった点があると思っています。それには、最前線のイウリは時間の経過と共に連続性のある動きができなくなり、前線からプレスをかけはするものの、その後が続かず空けてはいけないスペースを空けてしまったり、後半から左サイドに投入された高井は点を取るために非保持の時も攻撃のことを考えたポジショニングを取っていたりといった部分が影響していると思います。57分、69分、77分の群馬のサイド攻撃はいずれも最終ラインからのビルドアップに対し規制がかけられず前進を許し、山口の左サイドに展開されるというものでした。特に、佐藤健太郎を投入した最後の交代機会直前の77分のシーンはイウリが縦パスのコースを消せず、後ろの選手もそれに対応できないまま宮坂から大前へのパスを許し山口の左サイドからのクロスという展開でした。

このように、守備面で少しずつボロが出ている中で最後の交代の機会では1枚を残し、ヘナンに代え佐藤の投入のみとなりました。これによって後ろの選手で何とか守って後は前の選手で決めてこいというサッカーになったように思いました。展開としては甲府戦と同じだと思います。オープンな殴り合いを挑んだわけです。

その結果、群馬に最終ラインからボールを運ばれ前進を許し、山口の左サイドに展開されクロスから失点してしまい、カウンターのチャンスで決められず逆に仕留められ逆転を許し敗戦となりました。私としては、甲府戦でうまくいったとは言えないオープンな殴り合いに持ち込み、逆転を許すという試合の進め方がどうにもショッキングでありました。

ここまでの感想は、もしかすると逆転負けを喫した結果論で言っているに過ぎないと思われる方もいるかもしれません。ただ、自分の中でこのような感想は、この試合だけの文脈で出ているものではないのです。あのツイートに至った理由を考えるには群馬戦の1つ前、大宮戦からの文脈で考える必要があります。ここまで抱いた感想は直前の大宮戦があったからこそである理由をこの後で述べていきたいと思います。


交代選手が注入したエネルギーにチーム全体が呼応し、試合を終わらせた大宮戦

大宮戦は前半から大宮にチャンスを作られながら後半の早い時間に先制点を奪うという群馬戦と似たような展開だった言えるでしょう。では、大宮戦はリードを奪ってからどのようにして勝利を掴んだのでしょうか。その要因として挙げたいのは、交代選手のプレーとそれに引っ張られるようにチーム全体で行うことができた前線からの守備です。

大宮戦は霜田監督には珍しく交代カードを切るのが遅く、最初の交代は75分に行われました。先制点を56分に奪ってから75分までの20分は大宮に、66分や72分などいくつかピンチになりそうなシーンを作られていました。イメージとしては、決定機まではいかないけれど少し危ういぐらいのシーンです。そこで最初に投入されたのが梅木と森だったのですが、この2人がチームにエネルギーを注入してくれました。

まず梅木は最前線に入り、相手のボランチを意識しながらボールの移動中にCBに迫力のあるプレスをかけ、後ろの選手に守備の基準を作りました。また、78分のシーンのように、時より背後を取られてしまう場面があったものの素早いプレスバックで前進を阻止するもプレーも見せ、チームに大きな貢献を果たしました。

そしてです。この試合の森はスーパーでした。投入直後から相手DFに強烈なプレスをかけボールを奪い試合にいい形で入ると、闇雲にプレスに行くわけではなく後ろの状況を気にしながら守備を行う冷静さも見せ、戻る時にもスプリントを行ってこぼれ球を回収していました。時より追い過ぎているのではという場面もありましたが、チームにとって大事なプレーをしていました。もちろん守備だけではなくボールを持った時のプレーでも持ち味を発揮し、右サイドからの突破を見せたり、苦しい場面でボールをキープしファウルを誘ったりと彼らしいプレーが随所に見られました。

この2人のプレーによってチームに再びエネルギーが注入され、前からプレスをかけ続け試合を終わらせることに成功しました。もちろん武岡やパウロといった交代選手も流れに乗ってうまく試合に入ってくれたと思います。このように、この試合で逃げ切れた要因の1つには、前線からのプレスで相手の前進を簡単には許さず、敵陣でプレーする時間を増やせた事が挙げられるはずです。それを実現するような策をベンチも打ちましたし、選手もそれに応えました。

中でも、ここまで苦しんでいた森のプレーがチームの大きな助けになったことが嬉しく彼が迷いなくプレーしている姿を見て非常に心を動かされました。もちろんそれにチーム全体が呼応していることも含めてです。その気持ちが込められているのがこのツイートです。


(これ間違えてますね。「点取った後」ではなく「交代を行った後」が言いたいことです。)


今年の山口の"本当の"姿とは

改めて振り返りますと、大宮戦の勝利にチーム全体での前線からのプレスによって相手の攻撃を阻害したという要因は欠かせないと思います。決してオープンな試合には持ち込みませんでした。チーム全体として行く時は行くし、戻る時は戻っていました。

ですから、その試合を見て感動していただけに、群馬戦の試合運びを見てあのツイートのような気持ちになったというわけであります。大宮戦の流れから考えると群馬戦のピッチで繰り広げられていることがどうしても信じられなかったのです。

このツイート冒頭の「幻」という言葉は、そういった思いから出てきたものとなります。


私がこの2戦を通じて感じた思いが真実なのかどうかを確かめるためにも、今後の戦いを追いかけたいと思っています。大宮戦と群馬戦、どちらの姿が本当なのか、はたまたどちらも本当の山口の姿なのか、そもそも大宮戦も群馬戦も実は同じ姿だったのではないか・・自分なりの確証が得られるまではもう少し先になるかもしれませんが、今後も考えていきたいと思います。


*文中敬称略

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