『自由研究には向かない殺人』を読む
夏の課題図書として挙げていた、
ホーリー・ジャクソン著『自由研究には向かない殺人』(創元推理文庫)を読み終えた。
5年前に起きた町の失踪事件を夏休みの自由研究の題材に...していいのか?
案の定、教師からは
「このテーマは自由研究の題材として取りあげるにはデリケートすぎるため(中略)、倫理的に許されない領域にまで踏み込まないことを条件とする」と言われる。
「事件に巻き込まれたどちらの家族ともいっさい連絡先とらないこと。」
当の主人公ピップは、その次のページくらいで関係者の家のドアをノックしにきていて、思わず笑ってしまう。
読み心地としては、
ページ数に対して結構ラフに読み進められた。
それも割と最近の小説で度々みるようになった、
捜査の経過報告やメールのやりとりがそのままテキスト形式で載っている!
物語パートの間に経過報告が挟み込まれるという構成で、これがピップの自由研究をよりリアルに感じられるようなスパイスになっていておもしろい。
最初はちょっとずつ読み進めていったが、
残り半分というところまでいくと、一気読みだった。
本当に本当におもしろかった...!
タイトルからも分かるように、
自由研究のレベルを超えた自由研究。
ネタバレにならないように
どこまで書いて良いのか分からないので、
ぼんやりとした感想になってしまうかも。
シリアスな展開とは裏腹に、
ピップの明朗な人柄がその重さを中和してくれて
割と明るいテンションで読めるところがとても良い。
心温まるラストもしみじみ良い。
最後まで一貫してピップは優しい少女なんだな...
はあ〜良かったなあ、と
噛み締めて文庫本を閉じる。
このシリーズは三部作になっており、
『優等生には探偵に向かない』
『卒業生には向かない真実』
と続く(それもどんどん分厚くなる!)。
一作目を読む前は、
レンガのように分厚い紙の束に少々怯えていたが
今は、「このシリーズをまだまだこんなにも存分に楽しむことができる!」
というワクワクした気持ちでいっぱいだ。
夏にぴったりの記憶に残る読書体験であった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?