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大学2年の春休みに死にそうになった話

こんばんは、HIROです。

僕が大学2年の時に「死ぬってこんな感じか」と思った時のお話をします。


2018年3月、僕は当時付き合っていた彼女と5泊7日でフランス旅行に行った。

このフランス旅行は、僕と当時の彼女(みき)にとって、初めての海外旅行だった。

私たちは、初めての海外旅行にもかかわらず、代理店を通したツアーなどには参加せず、個人で航空券、ホテルを予約した。

その結果、初日から問題が発生した。

羽田空港からドーハ経由でパリまでの約12時間の飛行機移動。初めて経験する長距離移動はとても疲れた。

あいにく天候が悪く、パリのシャルル・ド・ゴールド空港に1時間遅れて着いた。

その日は、モンサンミッシェルの近くのゲストハウスに泊まる予定だった。

そのゲストハウスまではパリからレンヌという駅までの電車と、レンヌからバスに乗る必要があった。

しかし、モンサンミッシェルの近くのレンヌ駅で、バスに乗り換える予定だったが、バスが無い。

「終わった、どうしよう、とりあえずゲストハウスの人に連絡しなきゃ」

言葉も通じない、交通手段も無い中で、みきはパニックになり、泣き出してしまった。

最終的には、ゲストハウスまでタクシーで行くと言い出した。(50キロ)

私は、いったん冷静になり、電車を降りたレンヌ駅の近くにあるホテルに泊まることを提案し、みきを落ち着かせた。

ホテルに入ると、みきは安心したせいか、泣き止み、「個人で来たからこういうことは仕方ないね」と言うまで落ち着きを取り戻した。

「明日からは移動時間を多めに取って、行動しよう」と話し合い、その日はエッチをして寝た。

2日目は、予定通り、モンサンミッシェルに行った。実物はとても迫力があり、みきは「本当に来て良かったね」と言い、とても満足していた。昨日のことが無かったかのように楽しんでいて、その姿を見るのが幸せだった。モンサンミッシェルを探索した後、電車でパリに戻った。夕食で、フランスパンを食べ、有意義に過ごした。

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3日目はパリ市内を観光した。ルーブル美術館、ノートルダム大聖堂など主要な観光地を周った。モナリザは、想像よりとても小さかったが、2人のSPに守られていた。滑稽だった。パリ市内はスリが多いことで有名だが、対策をしていたため、時間を忘れて観光することができた。この日は、夕方からとても寒くなり、雪が降り出した。この時期にパリに雪が降るのは珍しく、ニュースでも「〇〇年に1度の大寒波」と呼ばれていた。

4日目もパリ市内を観光した。前日に降った雪が積もっており、歩くのに苦労した。その後、ホテルに泊まるため、パリの市街地から少し離れた町に電車で向かった。電車を降りた後に問題が起こった。

改札を目指して、2人で歩いていると、突然、身長180センチを超える黒人5人に、私とみきは囲まれた。威圧感と圧迫感から、私たちは動けなくなった。

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「このままどこかに連れて行かれてしまう、でも怖すぎて何もできない」思った。

後で調べてみると、私たちが降りた駅の周辺は、危険区域になっており、夜出歩くことを禁止されている地域だった。怖すぎて連れ去られることを覚悟した。その場で震えていると、近くを通った40代位のフランス人が話しかけに来た。フランス人のおじさんは、黒人に何かを言いだした。

「こいつに売られるのか」私は悟った。様子を見てると何かがおかしい。なんと、おじさんは私たちを黒人から解放してくれたのだ。

「生きた」

涙が出そうになった。

「ダンディな命の恩人、ありがとう」

と感謝の気持ちを伝え、チップを払った。

その日私は、

「フランス人のおじさんは紳士で、カッコいい」と自分の辞書に刻んだ。


5日目はお土産を買いに行った。とても寒い。持ってくる服を間違えた。しかし、パリの街並みは綺麗だ。楽しい。雰囲気で楽しめる最高な国だ。日本の寿司屋があったから入った。美味しくない。でも、パリの街並みは綺麗。でも何かおかしい、寒い、寒い、寒い。

「ちょっと寒いから今日は早めにホテルに帰らない?」僕は言った。

すると、みきは「寒いよね、疲れたし帰ろ」と言った。

「なんて優しい子なんだ」

「普通ならせっかくだからもっと周ろうとか言うだろ」

「最高の彼女だ、今日は絶対エッチしよう」

僕は思った。

ホテルに着いた。受付にはダンディなフランス人がいた。

「はじめまして」

と言われ驚いた。

どうやら、日本語が少し話せるらしい。

「日本語が話せるスタッフがいるなんて最高すぎる」

僕とみきは目を合わせて思った。

この旅行で初の安心感を得た。

部屋に着いて直ぐに暖房を付けた。

「みき、寒くない?」

俺は言った。

「寒くないよ、大丈夫?」

風邪ひいたかもしれない、僕はすぐに風邪を引く。

旅行に来て風邪を引くなんて…

とりあえず身体を温めようと思った。

そしてシャワーを浴びた。

「ぬるい、熱湯が出ない」

暖まるどころか寒くなった。

とりあえず、シャワーをやめた。

髪を乾かし、どうやって身体を暖めようか考えた。

「とりあえず、熱を計ろう」

僕は念のため体温計を持ってきていた。

脇に体温計を当て、鳴るまで待った。

「ピー、ピー、ピー」

体温計が鳴った。

熱を確認すると

39.5度

「まじか、最悪、」

初めての海外旅行とパリの大寒波で疲れていた。

「明日は最終日だし、お土産を買うのと飛行機に乗るだけだから大丈夫」

自分を責めないようにした。みきもあまり良い顔をしてない。

「ごめんな、寒すぎる」

俺は言った。

みきは暗い顔をしていた。

寒すぎて、身体を暖める方法を考えた。

「そういえば、カップラーメンを持ってきていたんだ、食べて身体を温めよう」

頭が働かない中で、全力で考えた結果だった。

「みき、悪いんだけど、受付でお湯を持ってきて欲しい」

俺は言った。

「わかった、待ってて」

浮かない顔でみきは答えた。

そうしてみきは、受付にお湯を取りに行ってくれた。

「寒すぎる、早くお湯来ないかな」

それだけをずっと考えてた。

「来ない、来ない、寒い、来ない」

「もしかしたら、帰ってこれなくなっちゃったのかな、不安だな」

それだけをずっと考えてた。

時計を見ると30分が経ってる。

みき大丈夫かな?ずっと不安だった。

帰ってこなくなったら、みきの親に殺される。

みきは大きい会社の社長令嬢だった。

そこまで考えてた。

「来ない、来ない、寒い、寒い、来ない」

「どうしよ、大丈夫かな」

みきが取りに行ってから40分が経過していた。

すると、突然ドアが開いた。

みきが片手にお湯を持って帰ってきた。

「よかった、みきが生きててよかった、身体も温められる」

そう思った瞬間みきが言った。

「受付のフランス人のおじさんに誘われたから、今からご飯に行ってくる」

「どういうこと?」

僕は言った。頭が真っ白になった。

フランス人のおじさんとご飯に行く?

え??え??え??

俺が40度の熱の中、受付のフランス人とご飯に行く??

思い出してみると、受付のフランス人は日本語が喋れる人だった。

40分以上、受付で話してて、仲良くなったのか

にしても、状況が理解できない。

「お湯ありがとう、行きたいなら行ってきな」

俺は言ったらしい。

「フランス人のおじさんは紳士でかっこいい」という

俺の辞書の文字は消えた。


そして、記憶が飛んだ。


続く





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