サンピンチャ

沖縄に行った7月


Qも一緒だった


「あっ、ちょっと待って」と呼び止められ、私が振り向くと

Qは自動販売機の前で迷わずボタンを押す。

そして、一連の動作かのように、すぐに取り出し歩きながらペットボトルのキャプを開けてグビィッと、ひと口飲む。


そこには『さんぴん茶』と、派手派手しい黄色のパッケージをバックに書かれていた。

Qは「やっぱり、沖縄に来たからさんぴん茶だよね」と嬉しそうに話している。


今では、ジャスミンティーは普通に売られているが、当時は、そうでもなかったように記憶している。

当時、私は、ジャスミンティーが沖縄で「さんぴん茶」ということを知らなかった。なので、Qに「どんな味がするの?」と聞くと

「味は普通のジャスミンティーだよ」と答えるが表情は嬉しそうだ。

「沖縄の言葉でさんぴん茶って言うんだよ」とも教えてくれた。


私が不思議そうにしていたのか、Qが「ひと口飲む?」とペットボトルを私のほうに差し出し勧めてくれた。

私が断ると、Qはまたひと口さんぴん茶を飲んで「あ〜」と嬉しそうに声に出していた。ちょっと鼻歌まじりで、それをカバンにしまった。


あのなんとも言えない湿気とさんぴん茶。自販機の周りの生い茂る南国の木々。

Qにとっては初めての沖縄で、さんぴん茶はどんな味だったのだろうか。

そんなQをこっそり見ていた。

そして

Qにとって、今のさんぴん茶はどんな味なんだろうか。

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