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運動して身体を使う

こちらでお話させてもらったときにもふれたのだけれど、

わたしが競技かるたを自分の世界に取り入れようと思った理由のひとつに、「運動する機会だから」があった。

10年前。出産後の身体の不調から、産後ケアの教室に通ったり、ときどき近所の区民プールで泳ぐようになった。身体を動かすと爽快という感覚を取り戻しただけでなく、どんな深い思考や感情も、結局は身体が健やかでないと表れが健やかでないということにも気づいた。「心身相関」だ。

忙しかったり、何らかの理由で精神的に追い詰められたりしていくと、自分の身体感覚が薄れ、生活が営みづらくなり、自分で自分の人生を生きている感覚が薄まっていってしまう。「運動」と聞くと耳が痛かったり、億劫さを感じるのは、その感覚の薄まりの最初の段階なのでは、という気もする。自分で自分の体を動かすことをあきらめてはいけないのだ。

そんな感じで、「身体ほんと大事!」と気づいたものの、引っ越して区民プールからも足が遠のいてしまった。ジムにも通ってみたけれど、黙々と一人バイクを漕いだり、交流のない単発消費型のクラスはわたしには合っていなかった。

守っている人がいる場に通う、いつもの人がいる、話す人がいる、教え合う、、というようなところがほしかった。やはりわたしは「交流」が大事な人間なのだ。

それでヨガ教室にも行ってみた。ヨガ自体に意義も感じたけれど、話したりもするけれど、個々人のペースで個々人に没入することがやりたかったのではなかったと気づいた。だから走るのもちょっと違った。

そのあたりで次第につながってきたのが、数年前から立ち上げて取り組んでいた百人一首かるただった。これを武道として公式ルールの元やるのが競技かるた。お座敷のカードゲームとは全く違う、けれども歌が読まれ、歌を取り合う独特の競技の世界は、わたしには文武両道で最高の運動の機会だった。

なにより対戦だから、相手がいる。相手とのやり取りで影響されたり、影響を与えたりしながら、身体を使っていく。

これだー!と思った。

大会に出場するようになって、ウエアや競技の合間の食べ物を工夫するようになった。お酒もやめたので身体が軽い。身体の使い方、メンテナンスの仕方を他の競技や道を歩んでいる人からアドバイスをもらうこともたびたびあって、分野を超えてつながる感じも楽しい。

身体が強くなってくると、メンタルも強くなってくる。
どう動かすとどういう影響があるのかわかってくるから、早めに寝ようとか、きょうはこれは食べておこうとか、調整ができてくる。一般的な体に良い悪いを参照しながら、自分に合ったやり方で、身体を使っていく。

やはり自分の扱い方がわかる、というのは、生きやすくするための智慧だ。そして自分の身体と信頼を結んでいるという感覚が、生きる喜びにつながっているように思う。(これが病や怪我を得たときには、どのように変化していくのだろうか...)

きのう、そんなことをつらつらと考えながらかるたの練習をしていたら、会場の和室にかかっているカレンダーに書いてあることがふと目に留まった。健康をテーマにしたカレンダーで、月ごとに臓器や栄養と運動を関連づけて啓発している。

10月は膵臓。膵臓に関する細かいことは忘れてしまって、内容もだいぶ意訳だけれど、


いくら体にいいものだと思って食べても、実際に自ら体に動きを与えなければ意味がない。筋肉その他、身体を構成しているところ(細胞レベル)に栄養を届けて、そこで使って栄養素を別のものに転換することで、はじめて身体に役に立つものになる。転換しないと体内で蓄積してしまって成人病などの元になる。

というようなことが書いてあった。

なんかすごく当たり前といえば当たり前なのだけれど、これまでよく見聞きしてきた「生活習慣病予防のために運動をしましょう」というフレーズが、このカレンダーに書いてあることをきっかけに、自分のやってきたことと初めてぴったりつながって、「...だよね!」という強い納得を覚えたのだった。

運動して身体を使う。
身体を使うことで栄養素を別のものに転換したり昇華する。
エネルギーの循環が生まれる。
それによって生きる
......という感じが、実際に運動することで腑に落ちてきた。
腑に落ちるほど身体のことに取り組んできた自分をうれしく思う。

健康診断を受けて、「もうちょっと運動したほうがいい」とアドバイスされて、「運動したほうがいいとは思ってるんだけどなかなか時間が...意欲が...」「何をすればいいかわからない」と思っている方は、まずはマイヒストリーを振り返ってもいいかもしれない。身体を動かすことについてのヒントが眠っていると思う。

自分が何が好きで、どういうものだと楽しくできていたか。
自分がきっと知っている。
自力では難しくても、聴いてもらいながら見つけていける。
そして、トライアンドエラー。

そしてそして、続けていくには日常にすることが大事でもあるので、優先できるほどの楽しさや、やりがいがあるもののほうがいいと思う。


きょうはこんな感じで、「運動」に橋をかけてみました。