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 ネット上で実話の体で語られる作り話のこと。
 2015年に投稿された、女性人気が高いことで知られるアニメ『おそ松さん』の主人公そっくりな人に出会った、という某ツイッターユーザーの極めて胡散臭い体験談を皮肉って発祥したスラング。
 なお一時は【鬼滅の刃】の大ヒットにともない、その登場人物「蟲柱・胡蝶しのぶ」にちなんだ「嘘柱・誇張しのぶ」も使われていたことがある。

 いわゆる表現規制派は、自身の主張補強のため嘘松を創作しがちである。

1.被害自称型

 バッシング対象となった作品の有害性を「論証」しようと「その創作物の影響を受けた者に性加害された実体験」や「その(あるいは類似の)創作物を見て傷付いた(ショックで動けなくなったなど)実体験」などというものを語る嘘松。

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 この嘘松は、2020年3月14日に開業した新駅「高輪ゲートウェイ」駅に施行導入された案内用AIさくらさんに「スリーサイズを聞いてみる」と「よく聞こえなかったことにしておきますね」と躱されるという当時の仕様を、セクハラ助長だ*2とバッシングしたのを援護するために創作されたものである。

 まずAIさくらさんは数年前から数百の組織で稼働しており、高輪ゲートウェイへの導入が新規だっただけである。にもかかわらずたまたま高輪ゲートウェイ駅のさくらさんを投稿者が知った直後に、いきなりそれに因んだセクハラに遭っている。すごい偶然のタイミングである。
 そもそも2020年3月21日は土曜日で、よほどの大都市でも満員電車だというのはおかしい。しかも満員電車の中で「捨て台詞を吐いてどっか行った」という。周りの人をすり抜けたのか相手は?

 突っ込まれまくった投稿者は「この投稿は今書いたのではなく以前にSNS投稿したもの」と言い張ったが、その過去の投稿とやらは一切提出されることはなかった。

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 【宇崎ちゃん献血ポスター事件】に関する嘘松。
 同項にある通り、宇崎ちゃん献血ポスターは2019年10月1日から何の問題もなく関東の献血ルームに貼られており、ちょうど折り返しの15日頃からフェミニストに騒がれ出した。
 この投稿者は常日頃性差別について語りまくっているアカウントなのだが、他のフェミが騒ぎ出す前にこのポスターについて一切言及した形跡がない。もしそれ以前にポスターを見たのであれば、そんなショッキングな体験をなぜ一切語らなかったのだろう? もしフェミが騒ぎ出した後に見たのなら、なんでそんなポスターが貼ってあると知ってわざわざ行ったのだろう?
 問いかけてみたが一切答えは無かった。

 フェミニスト達はこういう性差別表現(笑)があると喜んで拡散しいいねをむさぼるのが常である。
 しかし「傷付く人」が、「悪い表現」を拡散する表現規制派に向かって「こんな酷い画像を貼らないでください!辛いんです……せめてセンシティブ設定に……」と苦言を呈しているのを一度も見たことがない。

 そう、そんなショックなんて無いのだ。ただターゲットが「酷い差別表現」であるかのように見せかけるために偽りの「傷付いた自分」エピソードを披露しているだけなのである。

2.ヘルジャパン型

「日本の女性差別がいかに酷いか」「いかに創作物に影響を受けた性犯罪が日本に横行しているか」を体験談の形で語る嘘松。これは間接的に規制側・クレーム側を有利にしようとしたり、論敵(つまり規制反対派)に「犯罪者の仲間」というレッテルを貼る目的でなされる。
 例として【岩渕潤子】氏の作品を挙げよう。彼女はこれ以外にも、また3類型に当てはまらない独創的嘘松をも日常的に創造し続ける、多作な嘘松作家である。

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「自分も友人も毎日痴漢に遭っていた」のなら、電車通勤の女子学生そのものと同数の痴漢がいる計算になるが、本当にそんなにも痴漢というのはいるのだろうか。
 また「鉄道会社にとって痴漢は沿線企業の社員で上客なので守る」と言う設定も明らかにおかしい。数ある痴漢冤罪被害者の手記に、そんな風に鉄道会社が守ってくれた話をしているものなど、少なくとも筆者が読んだ範囲では一冊もない。むしろ係争中の段階で被害者側が首にされたり退職を迫られるのが実情である。
 そもそも、沿線企業の社員たちは好きこのんで満員電車に乗っているわけではない。やむを得ず乗っているだけだから「痴漢したウチの社員を捕まえただと!お宅の電車はもう使わんからな!」などということも成立しないので、気を遣う理由がない。

 しかも3つめ以降のツイートでは「駅経由で親も介入して警察に届け出」「駅から警察を呼んでもらって」とガッツリ鉄道会社が協力している。「警察の調書作成のため、被害女学生が毎日大量に遅刻する」のだそうである。さっきの話はどこへ行った?
 また4つめでは、鉄道会社に「(痴漢が)お客さまなので」車内パトロールを断られたという。そんなこと以前にすし詰めの満員電車内をパトロールがどう通れるというのだろうか?

 さらに最後の「裁判の証人として出廷するため遅刻するコが多く」とはどういうことだろうか。思いっきり刑事訴追まで行っており、痴漢達は鉄道会社に庇われるという話は影も形もなくなっている。「痴漢を守り続ける日本」はどこへ……はさすがにもういいとして、そもそも裁判はいつも朝やるわけではない。
 出廷のためなら遅刻者に負けないくらい早退者や欠席者がいていいはずではないか。なんで遅刻だけする?

3.海外出羽守型

「知り合いの外国人がこの表現を見てこんなこと(自分に有利な内容)を言っていた!」とか「海外ではこんな表現は許されない!子どもに絶対見せられないようになっている!」といった、“外国人も自分も同意見”というタイプの嘘松である。この嘘松に登場する外国人は十中八九、欧米白人である。こうしたことを言う人間を俗に【海外出羽守】と呼ぶ。 

 ところが、実は西欧でもけっこうポルノ雑誌がキオスクなどで売られており、その証拠写真も既にネットでかなり共有されてしまっている。詳しくは【エロ本が堂々と売られているのは日本だけ】を参照してほしい。このタイプの嘘松はすでにアンチフェミの格好の餌食となっているのである。

「外国人が日本の性意識や性産業に言及(特に批判)する」という内容の嘘松は本当に多いのだが、どうも彼らは出羽守として赴任先の国をよく知らずに創作に励んでいる様子である。

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 話の本筋には必要ない喫煙シーンを入れてしまったことで、ハワイのビーチは全面禁煙と突っ込まれ、嘘松がバレてしまった。
 また海外におけるHentaiの使い方がおかしい(海外でHentaiとくればエロアニメ・二次元のポルノのことを意味し、日本産AV全体をHentaiと呼ぶわけではない)ことも拍車を掛けている。
 2つめはタイでは売春婦の4割が18歳未満であり、むしろ児童売春が大きな社会問題になっている国なのだが、その実情にそぐわない謎の意識の高さを持たせてしまっている。

 最後にフェミニストのインフルエンサーの一人、#kutoo主導者たる石川優実氏の発言を挙げよう。

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 「水着の女性の写真が普通にあるのは海外ではおかしい」が嘘だということは既に述べた。問題は、彼女が以前からの自称性被害者だということである。その彼女自身が「外国人様の正しいフェミ意見が分かりませんでした」という「バカな日本人役」を演じてしまっている。
 つまり結局、自分自身が「性被害者はグラビアや水着写真で傷つく」すなわちタイプ1の嘘松の反例になってしまっているのである。

 これら3種のほかに、クレームをつける際に、さも自分を上客のごとく見せかけて脅迫効果を強めるために「○○のこと大好きだったのに」「ファンだったけどもう買いません」などと詐称することがある。これを使うのはフェミニストに限らない。
 この種の自称が明らかに嘘松であった例として、あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」がクレームを受けた際、ネットには相当数、あいちトリエンナーレに「毎年行っていた」「去年も行った」という趣旨の内容を含む批判が見られた。
 実際にはあいちトリエンナーレは3年に1度しか開催されない。

参考リンク・資料:

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