【性的対象化】
※【性的客体化】【性的物象化】【性的モノ化】からも転送されています。
フェミニズム用語。
「性的客体化」「性的モノ化」まれに「性的物象化」などの訳語もあるが、すべて“sexual objectification”という同じ英語の訳で、objectに客体・対象・物体などの意味があることからこのような表記揺れが存在する。
第二波フェミニズムの中心的なキーワードではあるのだが、実は最初から曖昧で「ポルノや買春を扱ったフェミニストの議論に混乱を引き起こしている」言葉である。
まして現代のフェミニストが表現物のバッシングに用いる場合「なんとなくエッチぽい、男が喜びそう」なものをなんとなく非難めいた言葉で言う程度の意味合いしかなく、実質的には【性的搾取】や【性的消費】などとなんら変わりの無い無価値なバズワードになってしまっている。
さて、マーサ・ヌスバウムはこの言葉について7つの要素があると述べている。
当然のことならば、ヌスバウムはこれらを「女の子の絵が描いてある。絵は『道具として』扱える。従って1.道具性に該当し、性的モノ化である」というような馬鹿げた意味で言っているのではない(現代では本当にこんな主張をする馬鹿なフェミニストが大勢実在してしまっている)。それでは女性に限らず写真や絵などのメディアに掲載された時点で、女性であろうがなかろうがあらゆる人が「客体化」「対象化」「モノ化」されてしまうことになり、女性差別でもなんでもなくなってしまうからだ。演説するドナルド・トランプ米大統領の写真を掲載した新聞は、それだけでトランプ大統領の「モノ化」であろうか? と考えれば、そのような解釈がいかに馬鹿馬鹿しいか分かる。
そうではなくポルノグラフィやそれに類する表現物において、「女性は男の道具に過ぎない(1.道具性)」「女に自己決定の能力なんてない(2.自律性の否定)」「女には自発性も能動性もない(3.不活性)」「どの女も同じだ、誰でもいい(4.代替可能性)」「女性を傷つけても構わない(5.毀損可能性)」「女は男の所有物(6.所有可能性)」「女の気持ちになど配慮しなくていい(7.主観の否定)」といった、これら「女性とは○○だ」という一般的メッセージを伝えているとき、それを性的客体化(対象化・モノ化)と呼ぶと説いているのである。
したがって魅力的な女性のイラストを用いていることは問題ではなく、その内容が「女は道具に過ぎない」「女性を傷付けたっていい」などのメッセージを発しているかであり、以下ツイートなどは当然失当である。
日本のジェンダー【社会学】者である東北学院大学准教授の小宮友根は、ヌスバウムとともにキャサリン・マッキノンらの発言をこのように紹介している。
表現規制反対派にとって実に都合がいいことに、「人間性を奪う」「辱めや苦痛」「性暴力」……フェミニストが攻撃する公的ポスターなどの表現物のほとんどに、およそ似つかわしくない言葉が並んでいる。【駅乃みちか】がいつ人間性を奪われたのだろうか? 【茜さや】氏が広告のどこで辱めや苦痛を受けたのだろうか? 【宇崎ちゃん献血ポスター事件】に性暴力描写があるだろうか? 【君野イマ・君野ミライ】が「還元され」た「特定の身体的部位」とは一体どこなのだろう?
もちろん、そんなものはない。
したがってこの小宮氏の論は「性的対象化」を口にしたフェミニストに突きつけると忽ち返事が返ってこなくなってしまい、非常に便利なのである。
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