【ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度】
2022年1月、立憲民主党の菅直人元首相が、橋下徹氏に言及したツイート中で「ヒットラーを思い起こす」と述べた。
これに対し、橋下氏が持ち出した謎の珍論。彼が作った政党である日本維新の会の松井一郎・吉村洋文氏らも同調した。
もちろんそのような「法度」など存在しないし、国際法違反でもない。
国際法とは各国の批准する条約と、国際慣習法に分けられるが、そのいずれにも「ヒトラーになぞらえて批判してはならない」などというルールは存在しない。
そもそも菅氏と橋下氏という、日本人が日本人に対してした批判の内容であり、国家間の関係を統御する国際法の出てくる場面ではまったくない。
むしろ政治的な批判対象をヒトラーやナチスになぞらえるのは、陳腐と呼んでもいいほどのよくある批判である。「議論が十分に長引けばいずれ誰かがヒトラーを持ち出す」という意味の”ゴドウィンの法則”という言葉さえあるほどである。
過去にもそうであったし、今現在もそうだ。
橋下氏らが「国際的に御法度!」と騒いだ翌月、ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、その大統領プーチン氏は全世界から猛批判を集めた。当然ながら彼をヒトラーになぞらえる論や表現も多く、「国際的に」普通にされる批判であることが改めて明らかとなってしまったのである。
日本でも国際政治学者の六辻彰二が、ロシアが【DEATH NOTE】や【【異世界アニメ】を規制したことを、伝統的・写実的な美術しか認めなかったヒトラーを例示して批判している。
そもそも橋下氏自身が、過去に他者をヒトラーになぞらえているのだ。
突っ込まれた橋下氏は「私のは人格全体への侮辱ではない!」と言い張るも、そもそも菅氏も橋下氏の「人格」ではなく「弁舌の巧みさ」をヒトラーになぞらえただけであり、この理屈では菅氏のヒトラー発言もOKということになってしまう(まあ、OKではあるが)。
余談ながら【戸定梨香】事件においても、彼女を擁護して殺害予告を受けたおぎの稔議員がそれを公表したことについて「ヒトラーの手口」と言い掛かりを付けられたことがあった。なお、その後【全国フェミニスト議員連盟】側も普通に「殺害予告を受けた!」と公開したので、フェミニストも「ヒトラーの手口」を使ったことになってしまった。
他者をヒトラーになぞらえて批判するのは極めてありきたりなので、どのような陣営にせよこうしたことを言い出すとブーメランになってしまうのである。
参考リンク・資料:
https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2022/01/post-32.php
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