【重要・無料記事】『今後の表現規制反対活動について』2023-09-08

 どうも、しばらくぶりです。日塔深香ヒトシンカです。漢字がつきました。
 Twitter(X)の方が凍結しておりましたが、新しいアカウント@rita_shenxiangはこちらになります。ちなみにこのIDは追加した漢字名を中国語読みしたものです。

 今後、これまでのツイッター等でのネットでの言論活動に加え、新しい形でも表現規制反対をしていこうと思います。
 凍結と直接の関係はありません。ただちょうどそのために動いていたタイミングだったので、Twitterの復活を機に発表しようと思っただけです。

 それは――新しい表現規制反対団体の結成です。

 団体名は「NPO 地球の本棚」とさせていただきました。
 地球上のすべての人に本が開かれることを目指す、という理想を団体名に掲げました(名前のインスピレーションは……オタクの人にはお察しの通りです)。

 そして、この団体の活動ではただ表現の自由について研究し規制反対意見を社会に発信するだけではなく、もう一つの重要な活動を柱とします。

 それが「音訳」です。

 ここで皆さんの頭の中にあるのは「表現の自由と何の関係があるのか?」、人によってはそれ以前に「ていうか『音訳』って何?」ということでしょう。
 それをこれから説明していきます。

近年の表現規制の変化

 最近の表現規制・弾圧問題は、一時期のジェンダー炎上全盛期から変化を見せています。
 フェミニストが企業や自治体を炎上させようとしても、無視されることも多くなり、埼玉県水着撮影会事件の様に逆に表現の自由を守れという批判を行政側に受け入れさせるようになるほどのことも起こるようになっています。
戸定梨香とじょうりんか事件や【『月曜日のたわわ』日本経済新聞全面広告】事件で、実際に該当作品についてリアルの一般人にアンケート調査が行われた複数の事例では、問題ない表現だという回答が多数を占めるようになり、またYouTubeなどでもフェミバッシング動画が娯楽として1ジャンルを築くようになりました。
 しかし、表現規制派は公権力にすでに接近どころか侵入してしまっており、彼らによって作られた悪法が炎上などより更に巨大な表現への脅威となる事例も出てきています。AV新法はその最たるものです。WBPCと呼ばれる勢力の脅威も白日のもとに晒され始めています。
 また現在のところ結実してはいないものの、児童ポルノ法に漫画の規制を含める改悪の請願が毎月のように国会に出されている事実も見逃せません。

 こうした動向をふまえて、私はしばらく前から、こちらも「社会的なただしさ」という武器をより強固に持つ表現規制反対団体の存在が必要なのではないか?と思い始めていました。

 理屈の上では、表現の自由は最大級の社会的ただしさをもって認識されるべきものです。なのですが、なかなかそれが認識されていません。
 なぜなら、表現の自由の社会的なメリットは大衆的な直感によって感じられるものではなく、むしろ知性によって納得できるものだからです。

「表現の自由」そのものの価値に加えて、もっと分かりやすく反対しづらいタイプの『正義』・『善』を併せ持つ表現規制反対団体があるべきではないか。
 そういう考えが私の中で大きくなっていきました。

 その考えと、私がしばらく前から関心をもってやっていた「音訳」が私の中で結びつき始めたのが、ごく最近のことです。

音訳はじめました。

 音訳とは平たくいうと、目の見えない人など読書困難者のために本を朗読して録音し「聞ける本」にすることで、朗読奉仕とも呼ばれます(ちなみに私は個人的には点訳も学んでいます)。
 昔はカセットテープなどにただ吹き込んでいたのですが、現在のデジタル化された音訳図書には国際標準規格があり、デイジー(DAISY:Digital Accessible Information System)図書と呼ばれています。
 音声だけの「音声デイジー図書」と、全盲者以外の読書困難者のために聞きながら挿絵や写真・今どこが読まれているのかの表示が出る「マルチメディアデイジー図書」に大別されます。

 なぜそんなことに関わっていたのか?
 それは元をただせば私がなぜ表現の自由を重視するか、言い換えれば、なぜ表現規制が嫌いなのか、というところから話します。

 私は毒親に育てられました。
 彼らは私のためを思ってではなく、自分たちが他の「普通の親」とは違う(今の言い方をすれば)意識の高い親だと思い込みたいという自己満足のために、漫画やゲーム、TV視聴などを禁じてきました。
 そしてもちろん、彼らの「世間の普通の親とは違う」方針が私にもたらしたものは不幸のみであり、情操教育に一片も、ほんのひとかけらたりともプラスにはなりませんでした。このへんはむしろ私の「敵」である人ほど納得していただけるでしょう。
 表現規制は、青少年の健全育成の役になど立たないと私が確信する理由の一つはここにあります。

 そして私は、生まれつきや事故・病気等で、目が見えないなどの障害を持ったために読める本が限られている人たちも、子どもの頃の私と同じような状況にあるのではないかと考えるようになりました。
 その不自由を政治や歪んだ思想によって強いられているか、障害によってその状況に置かれているかの違いだけです。

 したがって『表現の自由』と『デイジー図書の普及』を「すべての人が本を読める世界のために」という一つの理念にまとめれば、表現規制反対と音訳活動を一つの団体のなかで親和的に統合できると考えました。
 なおかつ「障がい者のために活動している団体」という社会的イメージ上の「ただしさ」を規制反対派にもたらすことができるのではないか? と考えたのです。
 ちょうど規制派フェミニストが、「自分たちは"困窮している少女たちを助ける"団体なのだ」と旗印にして「ただしさ」を獲得したように。
 しかし、私たちは本当にやります。
 本気ガチで音訳に取り組みます。実働の伴わない自称音訳グループでほぼ規制反対だけをやっていたら、いずれスッパ抜かれ、いまWBPC問題が暴かれていることの鏡合わせに「障がい者を萌えやエロを守るために利用しているだけだ」と烙印を押されることになるでしょう。

 フェミニズムによる炎上がむしろ批判を浴びるようになったターニングポイントは【宇崎ちゃん献血ポスター事件】であった、とはよく言われます。
 もちろん、度重なるフェミニストの暴挙に蓄積された人々の怒りに、この時点で火がついたわけですが、なぜこのタイミングだったのか。それは献血という真に医療上必要な活動を、フェミニズムの空疎な言いがかりで潰そうとしたことが大きかったのではないでしょうか。
 やや露悪的な人なら「フェミは、献血を必要とするけが人や病人に『かわいそうランキング』で負けたのだ」と表現するかもしれません。しかし要するに、より切実に助けを必要としている人のための本物の活動を、口先だけの「キズツイタ!ワタシキズツイタ!」が破壊しようとしていることに対して、「それは違う」という違和感が一斉に沸き上がった、ということでしょう。

音訳ボランティアの人手不足

  そう思って既存のボランティア団体を探したところ、実は音訳の世界も興味深い問題を抱えていることがわかりました。
 最初に市内の音訳ボランティアグループに入ろうと連絡したとき、私は残念ながらそのグループにすぐ入ることはできなかったのです。

 なぜなら大抵の音訳グループには、音訳のやり方を習うための事前講座があります。まちまちですが概ね、2時間程度の講座を周1で数か月といったものです。
 しかも数年に一回(次回未定といわれたこともあり)しか開講しないため、思い立った時点でタイミングが合わないと3年とかを待たないと参加できなかったりします。またそもそも市外の人の参加を断っているところもあります。
 そして他の地域の団体で音訳経験があったとしてもそれで事前講座が免除されるというわけでもなくて、その地域で事前講座を受講しなければなりません。非常に非効率な話なのですが。
 実際、これはおそらく慣習のようで、法律などでそう決まっているわけでもありません。実際に事前講座なしに飛び入りで参加させて、OJT式でやり方を教えてくれる方式のグループもたたまにですが存在します。私も散々周辺の市を幾つも探し回ったあげく、そうしたグループに入れてもらって音訳を始めることができました。

 そして実は音訳ボランティアの参加者は今、かなり高齢の方が多くなっており、人員確保が全国各地で問題になっています。

 近隣各市のグループを巡った私の体感でもそうで、特におばあちゃんが多いです。
 もちろん「本当は何と書いてあるのか」視覚的な手がかりを持たない全盲の方などに、間違っていたりいい加減な音訳を提供するわけにはいかないため、クオリティ維持のための事前講座は必要だという考えは理解できるものです。
 しかしこうした後継者難には、非効率な慣習によるハードルの高さも起因しているのではないかと思います。

 そして現在のボランティアの人たちの努力は、我々がなんとなく想像する――というか、音訳についてきちんと知る前の私自身が想像していた――ような文学書などの音声版よりも、自治体の広報紙の音声版を作成するのに労力の大部分が費やされています
 そうしたものに載っているのはその地域に住む人にとっての実用的情報ですから、優先的に音訳することはもちろん、決して間違った選択ではありません。
 しかし、なかなかそれ以外の音訳にまでは思うように手が回っていないグループもあるのが実情です。
 

 この問題を解決できないか、と私は考えた結果、「資格化」と「アプリによる収益化」にたどり着きました。

音訳ボランティアの資格づくり

 既存の各地音訳ボランティア団体の事前講座やテキスト音訳ボランティアの民間資格を先に作ってしまうのです。
 資格といっても無論「我々の資格を金を払って取らないと、音訳ができない制度にしてもらう」とかいう話ではなく、あくまでも各地の団体で「自分のところの講習は受けてない人でもこの資格があるなら、知識技能があると信用できる」という選択肢を提供するものです。各地のボランティア団体の方々が、その資格を取得した人の加入を認めるかどうかは自由であり、そんなことを各団体の方々に強要することはできない以上「この資格があれば音訳ボランティアに入れるよ」と保証することはできません。
 しかしその取得者のクオリティが世間的に認められれば、我々の作る資格をもって現地の事前講座に代える運用が広まっていくことが考えられます。

 そうなれば、いま後継者難に悩む音訳の世界への参入へのハードルもぐっと低くなるはずです。 

 しかしそれだけでは十分ではありません。
 音訳者を増やし、ひいては視覚障害者等が「自由に本を読める世界」のためにもっともっと多くのDAISY図書を供給するためには、純粋な善意や、ボランティアとしての満足感だけではなく、もっと積極的な動機付けが必要です。
 そして、私は「地球の本棚」の事業としてもっと大きな目標を考えています。

 それは音訳つまりDAISY図書を、アプリ配信によって収益化し、音訳者に正当な報酬を支払えるようにすることです。

DAISY図書のアプリ配信構想

 「地球の本棚」の構想は、DAISY図書を一般の人々(晴眼者といいます)にも配信することです。
 DAISY図書のような視覚障害者等用の録音図書は、許諾なしに作成し配信することができることが、現在の著作権法では定められています。

(視覚障害者等のための複製等)
第三十七条
 公表された著作物は、点字により複製することができる。
 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。
 視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者(以下この項及び第百二条第四項において「視覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、公表された著作物であつて、視覚によりその表現が認識される方式(視覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この項及び同条第四項において「視覚著作物」という。)について、専ら視覚障害者等で当該方式によつては当該視覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は公衆送信を行うことができる。ただし、当該視覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその複製許諾若しくは公衆送信許諾を得た者により、当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。

e-gov法令検索:著作権法

  もちろん当たり前ですが、許諾を取らなくていいのは視覚障害者等用のために作り配信するとき「だけ」です。著者や出版社にすれば、DAISY図書という形式にすれば一般の人にまでタダで勝手に作って売り放題、なんてされたらたまったものではありません。
 よってアプリではユーザーアカウントを晴眼者と、視覚障害者等用のアカウントに分けて、前者はすべてのDAISY図書を、後者はきちんと運営が著作権者にお金を払って許諾を得られた(+すでに著作権が消滅した古い)作品のみを配信することになります。

アプリにかかるお金の流れの大まかなイメージ

 上の図に、実際には広告収入が加わることで、運営費と音訳者への報酬を捻出していきます。

誰が音訳者になるのか

 資格を作ったあと、誰がそれを受けて音訳者になってくれるか。なるメリットが誰にもないのであれば資格を作る意味がありません。
 そもそも講座受講料・試験の受験料もできれば無料でいきたいところなのですが、全国規模で資格を運営するならさすがに無料とはいきません。資格ビジネスが主眼ではないので出来るだけ安くしたいところではありますが、ある程度のお金は頂かないといけなくなるはずです。
  
 そのお金を払ってでも音訳者になるメリットがある、その可能性を見出してくれる人達として、どういう層にアピールするかです。

 それは「自分の声で仕事をしたい、人に自分の声を聴いてもらい、名前を売りたい人」です。
 つまり声優の卵をしている人やYouTuber/Vtuberなどです。
 配信アプリではそれまでの視聴記録からおすすめを出しますが、原作者や内容の類似、先述の現在地情報だけでなく「誰が音訳したか」を重要情報として提示し、同じ音訳者によるものを探せるようにUIを工夫します。
 音訳者の自己宣伝になるようなアプリにして、彼らを奉仕者ではなくwin-winの関係にするわけです。

 もうひとつ考えている訴求ターゲット層は、表現の自由に深くかかわっています。
 悪法AV新法によって経済的打撃を受けたセクシー女優・男優をはじめとする、法的社会的に不当な差別を受けているセックスワーカーの人々です。特にAV新法などの改正のために動いている女優さんは「AV女優のくせに」とあからさまな差別を受けることもあります。

 音訳はなによりもまず視覚障害者等の方々のための活動ですが、セクシー女優の方が音訳者という「人助けをするひと」の立場を得ることで、社会的差別を緩和できるかもしれないと考えています。
 また、演技のプロである彼ら彼女らは、実際に音訳においてもすぐれた実力を発揮していただけることを、実は大いに期待しております。

 イメージ上の問題だけではなく、一般的なバイト代程度でも音訳に報酬を支払うことができるようになれば、彼らを経済的にも助けることができるでしょう。
 そしてさらにもっと普及させられれば、経済的に真の意味で困窮している人たちにも仕事をもたらすことができます。たとえば、出所した元犯罪者の再犯防止にも役立つでしょう。

鳥取の有害図書指定問題にも対応できる

 また、アプリは位置情報と連携できるようにしておくのが良いでしょう。
 なぜなら、前述したように各地のボランティア団体の方々が、自治体の広報紙を音訳化しているからです。それらはボランティアの人たちと繋がりのある視覚障害者に直接CDとして送られたり、自治体のサイトにアップされています。
 が、視覚障害のある人たちにもなかなかその存在が周知されておらず、聞いてくれている人が少ないままであることも課題となっています。
 DAISY図書配信アプリが位置情報と連携すれば、Amazonのおすすめのような形でその存在を市内の視覚障害者の方々に知らせることもできます。

 そして表現の自由のために都合のいいことに、この位置情報の連携によって鳥取県の有害図書指定事件のような問題にも対応できます

 この事件でAmazonが対応するシステムを設けるのは非現実的だと言われていましたが、すでに位置情報と連携する必然性が十分あるアプリをこれから作成するのであれば、たとえば

「お住いの地域では当該図書は18歳未満の方のご購入が禁じられています。いわゆる『有害図書』が実際に青少年に有害であるという科学的根拠はありませんが、条例遵守のため、下記の地域外へ移動してのダウンロードをおすすめします」

 というようなメッセージを表示し、対応が可能となるでしょう。
 もちろんこのメッセージは「有害図書に科学的エビデンスがない」こと自体を宣伝することも意図しています。


 以上が、私が設立した新団体「地球の本棚」のめざす活動の概要です。
 すでに有志を集めておりますが、ネット上での会員の募集については、おって広報させていただきます。また今後、ご寄付のお願いをさせていただくことがあるかもしれませんが、その際もどうかよろしくお願いいたします。


NPO地球の本棚代表・日塔深香ヒトシンカ
 


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