MADE IN ....
河原にあったレンガの欠片
上流のどこかの町か村から
川の流れに運ばれてきたのだろう
角がとれ、丸みを帯びたフォルム
植木鉢か何かの一部なのだろうか、
MADE IN と彫られた文字の部分が
ちょうど船のような形
ここにたどり着いて、僕が拾い上げるまで
こいつにどんな物語があったのだろう
かけらを握りしめて、想いを巡らせてみる
誰かの庭で花を咲かせていたんだろうか?
窯で焼かれている途中で割れてしまったんだろうか?
子供がボール遊びをしていて壊してしまったんだろうか?
MADE IN ....その続きは何だったんだろう?
答えはまるで分からないけれど、
何か新しいストーリーが始める予感を手放すのが惜しくて、
僕はその赤茶色の石をポケットにしまい込んだ。
MADE IN ... その続きは僕が作っていく。
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