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蝉時雨ー7月の星々ー

お社の大樹が参道に濃い影を作る。

短い命を燃やす蝉時雨が

容赦なく鼓膜をつんざく。

からん、からんと鳴る錆びた鐘の音。

ぱん、ぱんと響く乾いた柏手。

まるで映画のように蝉の声が一瞬鎮まり、

深い海の底のような蒼い静寂が支配する。

深く一礼をして祈りを解いたその人は

ひとつ深呼吸をして歩き出した。

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