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「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」鑑賞後メモ
「真実」なんてどうでもいい、そんなものが存在しているような居心地の悪い場所にはクソほど興味がない。作品の冒頭から終わりまで、常にそう嘲笑い続けているような作品だと思った。裁判所の場面でカメラマンを銃で撃ち殺し、裁判官をハンマーで殴り殺すアーサー/ジョーカー(ホアキン・フェニックス)の姿が象徴的なように、冷静な分析や「真実」を追求するような人間や構造を徹底的に叩きのめそうとするスタンスが全編に渡っ
もっとみる「シビル・ウォー アメリカ最後の日」鑑賞後メモ
ショット(撃つ/撮る)というアクションの恐ろしさ、そして同時にそれに対しての強い執着を抱え続ける人間という生き物の業の深さ、禍々しさについての映画だ。
「撃つ」ことについて描いているシークエンスとして真っ先に思い出されるのは、やはりジェシー・プレモンスが登場する中盤あたりの場面ではないだろうか。地面に(具体的な用途はわからなかったが)粉を撒いているときの手つき、それから主人公のリー(キルステ
「エイリアン:ロムルス」鑑賞後メモ
思いのほか色々なことが起きて、若い主人公たちが想像以上に大変な目に遭うというアホみたいにシンプルな驚きがそこにはある。予告編をチラッと見た程度で観に行ったので序盤の方などはかなりテキトーな気持ちで観ていたし、ルックなどもフレッシュさには若干欠けて地味だなというようなことを思ったりもしていた。しかし、30分くらい観ていくと序盤で提示されていた各要素が絶妙に噛み合いながら物語にいくつものレイヤーを生
もっとみる「メイ・ディセンバー ゆれる真実」鑑賞後メモ
本編が始まって間もないタイミング、本作の中心人物であるグレイシー(ジュリアン・ムーア)が自宅のキッチンにて冷蔵庫を開けた瞬間にスッと不穏なSEが差し込まれたと思いきや彼女が「ホットドッグが無いわ」というセリフを口にする。この演出の物語上における唐突さ、意味のわからなさに最初は面食らって思わず笑ってしまった。けれど、最後まで鑑賞した後で再びこの瞬間を振り返ると、この作品の軸になっているテーマがここ
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