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未消化の恋

昔好きだった人の夢を見た。

ほんの3ヶ月だけお付き合いをした、小さい恋。唯一の思い出は一緒に映画を見たこと、というくらいのよくある若い時の恋愛のひとつ。

夢の中で、私はとにかく一生懸命彼と話をしていた。付き合っている前提でもなく、ただの友人としてなのかなんなのかは夢の中ではぼやけていたけれど、とにかくたくさん質問して、たくさん話をしようとしていた。

彼は、いつも笑っていた。連絡手段が携帯のメールだったあの時、すぐに返事が返ってくることは少なく、返信があっても何回に一回か、返ってきても優しく一言だけ返すような人。でも会うといつも笑顔で何もなかったかのように普通に会話をする。

会うとたわいもない話をして、メールは数回に一回。お互い忙しいのもあり電話はしない。デートの約束はいつも私から。そんな3ヶ月。

これから本当にこのままお付き合いしていくのか話したいと私がいうと、考えさせて欲しい、とそこからまた数週間ただ待つ。待てど暮らせど答えは来なく、催促してやっぱりごめん。とメールでお別れ。せめて直接は話したかったと当時の私。

今の夫との関係もそうだけれど、私はとにかく話し合いたい人間だ。お互いの価値観をお互いが知って、寄り添い合い支え合いたい気持ちがとても強い。そんな私とって、その恋はとても消化不足な関係だった。

他に過去お付き合いした人たちの夢は、逆にそんなに見ることがない。基本的にはどれだけお互いを憎むようなことがあったとしても、向き合うことだけはしてきたから。私の中でちゃんと終わらせられたのだと思う。

その時の彼が私の存在をどんなふうに捉えていたのかも、私にはわからない。誰に対しても笑顔で、誰に対しても平等に優しい。そして、絶対にぶつかることはないけれど、絶対に交わることもできない。

そんな恋愛は、もう15年以上経つ今もまだ私の中で未消化のままだったみたい。

きっと夢の中の彼ととことん話をすることで、一生懸命ピリオドを打とうとしていたのかもしれない。

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