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セブン&アイの買収提案から考えるスモールビジネス(一人会社)の可能性



(1)セブン&アイの買収提案について

2024年8月、カナダの大手コンビニ運営会社Alimentation Couche-Tard(ACT社)が、日本のセブン&アイ・ホールディングスに対して買収提案を行いました。この提案は、世界展開する7-Elevenを含むセブン&アイの持つ事業の拡大を見据えたもので、もし成立すれば日本企業に対する歴史的な買収の一つになる可能性がありました。

具体的には、セブン&アイ・ホールディングスの時価総額は約5.5兆円(約380億米ドル)で世界20カ国・地域で約8万5千軒の店舗を展開
一方、買収を提案したACT社
の時価総額は約7.5兆円(約500億米ドル)で、「サークルK」などを展開し、北米を中心に31カ国で1万7000店舗を持つ。

この提案では、1株あたり14.86ドルで全株式を買収する計画を立てていましたが、セブン&アイ側はこの提案を「過小評価」とし、買収提案を拒否しました。

この背景には、現在の円安株主価値を最大化するための圧力が影響しています。円の価値が下落する中、日本企業が外国企業にとって買収しやすいターゲットとなっており、こうした状況下では企業が時価総額を向上させ、株主価値を最大化することが特に重要です。

(2)会社は誰の(ための)ものか?

会社は誰のためのものか?」と「会社は誰のものか?」という2つの視点を区別することは非常に重要です。

①会社は誰のためのものか?

この視点では、企業は多くのステークホルダー(利害関係者)に対して責任を負っていると考えます。
「誰のため?」という問いでは、株主だけでなく、従業員取引先顧客地域社会といった多様な存在が含まれます。
これらの全員が企業活動に影響を与えるため、企業経営はこれらのステークホルダー全体の利益を考慮しなければなりません。特に近年では、地域社会への貢献や従業員の福利厚生などCSR(企業の社会的責任)といった持続可能な経営が重要視されています。

②会社は誰のものか?

所有権の観点では、企業は株主のものです。
資本主義社会では、企業の所有者は資本を提供する株主であり、彼らが企業の経営に強い影響力を持っています。企業は株主の利益を優先し、そのために企業価値や株主価値を最大化することが求められます。

③グローバル化の進展と日本企業の課題

現在のグローバル化が進んだ世界では、企業は国際的な視点で企業価値を高め続ける必要があります。日本企業は、しばしば非効率な経営が指摘され、株価が本来実現可能なポテンシャルより低い傾向にあるため、外国資本による買収リスクが高まっています。
セブン&アイ・ホールディングスに対するACT社の買収提案のように、企業が株主価値を最大化しなければ、いつ買収のターゲットになるか分からない時代です。

結論として、「会社は誰のためのものか?」というステークホルダーを考慮する視点と、「会社は誰のものか?」という所有者の視点をバランスよく考えることが、現代の企業経営において重要な課題です。

(3)スモールビジネス(一人会社)の可能性

一方で、スモールビジネスにおいて「会社は誰のものか?」を考えると、自身が唯一の株主であることが大きな特徴です。
例えば、株式会社形態での一人会社は、外部株主の利益を優先する必要がなく、全ての意思決定や利益配分を自分でコントロールできます。

  • 買収リスクがないため、外部の圧力を受けずにビジネスを運営でき、他者に依存しない。

  • 意思決定の自由度が高く、すべての重要な決定を迅速に行うことが可能。外部の株主や投資家の承認を待つ必要がなく、ビジョンに基づいた行動がとれる。

  • 利益配分の自由:利益を自分自身の裁量で使うことができ、事業拡大や個人の生活向上に自由に投資することが可能。

こうしたスモールビジネスの特徴は、外部の干渉を排除し、自己の価値を最大限に引き出す方法として非常に魅力的です。

注:外部の干渉は排除する一方で、外部とのネットワークを構築することは、スモールビジネスではとても重要な視点です

(4)まとめ

今回は、巨大企業であるセブン&アイ・ホールディングス(セブンイレブン)を事例に取り上げ、グローバルな視点で企業価値を高め続ける必要性と、その背景にある買収リスクについて考えました。
一方で、スモールビジネスや一人会社との対比を通じ、ビジネスの所有者、意思決定の自由度、利益配分の柔軟性が大企業とは大きく異なる点が強調されます。

巨大企業では、株主価値の最大化が重要視され、外部の圧力や買収リスクに対応することが求められます。しかし、スモールビジネスでは外部株主が存在しないケースが多く、自分の幸福や価値観に基づいた柔軟な経営が可能であり、ビジネスのコントロールも自分自身に委ねられています

このように、企業の規模(上場有無)に応じた異なる経営アプローチがあり、それぞれに利点と課題が存在します。
両極端な事例でしたが、どちらのモデルが自分にとって最適かを理解し、選択することが、ビジネス選択で成功するための鍵となるでしょう。

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