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【小金持ちが考えるFIREvol.2】年間可処分所得3000万円のための元金5億円をどう作るか

前回の記事で、僕の場合、今の生活レベルを維持しながら、FIREするには、少なくとも、元金として5億円は必要だということがわかりました。

オーナー、雇われ問わず、経営者の月間の可処分所得は、大きく分けて3つの財布があると思います。

1つ目は、役員報酬。いわゆる給与のようなものです。
2つ目は、会社の経費。これは、もちろん、私的には使えませんが、食事、お酒はもちろん、ゴルフや出張など、業務に関連して、比較的高い費用を会社が負担します。仕事なので、全部が全部心から楽しめるわけではないですが、仕事上のお付き合いをきっかけに親しくなった人と、美味しい食事をしたり酒を飲んだり、ゴルフをしたりすることは、例え会話の内容がビジネスによっていたとしても、友人との楽しい時間です。また、ビジネスクラスや人によってはファーストクラスで飛ぶ出張などは、その体験自体が楽しいものでもあるでしょう。

経営者の財布としては、誰もかならずこの2つの財布は持っていることでしょう。引退をすると、1はもちろん、2もなくなります。

1は給料として金額を認識していますが、2はあまり金額を認識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

会社が負担する食事やゴルフ、ビジネスクラス、ファーストクラスの航空券代は、引退した瞬間に当然ですが、自腹になります。業務で出張に行く場合には、同じビジネスクラスでも、急にスケジュールに変更が生じたときにも変更が効くような、レートの高いビジネスクラスのチケットを購入している事が多いと思いますが、引退した個人では、急なスケジュール変更に対応する必要もなくなるので、制限があるかわりに、プライスレートが低いチケットで済むようになりますが、とはいえ、エコノミーでヨーロッパに行くようになるわけではないと思うので、それなりに自己負担のコストはかかります。

おそらく長年の接待で、舌も肥えてしまっているので、引退しても、美味しいレストランには行きたいでしょう。

引退後に必要な可処分所得の中には、今まで経費で使ってきたような食事、酒、ゴルフ、旅行なども加味する必要があります。

例えば、役員報酬は、年2,000万円程度しかもらっていない方でも、少なくとも、月の経費のうち、ご一緒する方の分を除いた、自分の分だけでも、50万や100万円くらいは使っている方がほとんどでしょう。仮に月80万円としても、年間約1,000万となります。

役員報酬は、社会保険や累進課税の所得税も取られるので、手取りでいうと、わずか1,300万円程度なってしまいますが、経費の1,000万は、可処分の1,000万円です。となると、例え、2,000万円しか役員報酬ももらっていなかったとしても、可処分は2,300万円になってしまうのです。

役員報酬の額面3,000万円の手取りは、概ね1,800万円くらいですから、可処分所得レベルでいうと、額面4,000万円レベルの可処分所得と同じレベルだということです。(もちろん、実際には額面4,000万の方は、そこに経費分がプラスされるわけですが)

さて、この2つ財布が経営者、誰もが持つものですが、もう一つの財布、3つめの財布は、こちらも、ほとんどの方がお持ちだと思われるのが、投資からの収入です。経営者の方で、賃貸不動産や債券、株など、家賃や配当、利息等が全くないという方は、あまりいらっしゃらないんじゃないかとも思いますが、これらの投資からの収入は、当然引退後も入ってきますので、こちらを差し引いた額を必要箇所分所得にしてよいです。

オーナー経営者で、役員報酬以外に配当も得ている場合には、引退後の体制によっては、配当分は入ってこなくなることが考えられるので、注意が必要です。

僕の場合、3,000万円の可処分所得を前提にしていますが、前の記事の通り、目標利回りを7%、海外移住をすることにして、元手を一番少なくしたとしても、4.5億。

僕のような創業経営者が5億円、つまり、税引前6.25億円というまとまった額を作ろうとすると、取れる選択肢はもはや1つしかありません。

それは、自社株をそれ以上の金額で売却することです。

リスクを取って会社を建てたものにのみ与えられるまとまった金額を手に入れる唯一の方法は、自社株の売却です。

なーんだというかもしれませんが、僕のような庶民が小金持ちになるために取れる方法は限られていて、若い頃の自己資金を考えると、これくらいしか考えられません。もちろん、ゴールが1億円とかでよければ、若い時から、みんな大好きな米国株インデックスにドルコスト平均法で積立投資とかもありますが、若い頃に生活切り詰めて、積立投資にまわして、それが、数十年後に1億円になったところで、仕事をやめて、運用で生活できるようになったとしても、待っているのは、またもや、切り詰めた生活という夢のない生活が続くだけです。(人それぞれの幸せの価値観がありますので、これを否定するわけではないですが、僕自身は、その生活は、耐えられませんという個人の感想です。)

仮に、資本金100万円で立ち上げた会社を一生懸命経営して、5億円の価値になっただけで、初期の資金は、500倍になったことになります。同じ、企業価値5億円で設立時の資本金が1,000万円の場合、結果50倍になったことにありますが、正直ここの倍率はさほど重要ではありません。

重要なのは、50倍や500倍といった高倍率になる可能性があるということ。引退後に必要な資金から逆算したときに、初期の資金は、50分の1や500分の1で済むということです。

もちろん、会社を建てたときの主目的ではありませんが、引退という視点から考えると、自分の会社=自社株を、引退後の必要額以上の価値にすることも一つの目的です。再三申し上げておりますが、自社株以上に効率の良い投資はないと僕自身は考えています。

立ち上げる事業にもよりますが、会社設立時の資金がいくらだったかは、正直全く関係ありません。例え資本金100万円で立ち上げた会社であっても、利益額次第では、10億円にも100億円(なかなかこの規模は難しいとは思いますが)にもなり得ます。

同じ株なら、上場会社の株への投資で、テンバガーの株を当てるというのはどうかというと、テンバガーの株当てるっていっても、そもそも、当てるの難しいし、例えば、5億円を作ろうとしたら、10倍になる株だとしても、5000万円の投資が必要です。仮に5,000万円を持っていたとしても、テンバガー株になりそうだって思った株に、一点投資するわけにもいかず、分散投資すると、全部が当たるわけでもないので・・・と。よっぽど株の才能がない限り難しそうです。

まあ、若くして5,000万円の余剰資金があるのであれば、年5−7%くらいで回すポートフォリオで複利運用を目指したほうがいいとは思いますが、うまく行っても、10年後に1億円作れるのが関の山。

会社を立ち上げて経営していると、たまに、怖くないよねとか言われることがありますが、僕に言わせると、誰だかよくわからない人が経営している会社に勤めることの方がよっぽどリスクではないかと思えて仕方がありません。大企業だからと言っても、経営者の心の迷いで倒産することだってありえますし、たいていの場合、一般社員はその状況を事前に察知することすらできない。仮に定年まで、勤め上げたとしても、退職金が億円単位でもらえる会社などほとんどないでしょうし、退職金すらない会社もあり、仮に老後2000万円問題は解決したとしても、年金と合わせて、今までよりも質素な生活で残りの人生を過ごすことになりそうです。

さて、話を戻しましょう。

手元に5億円を残すためには、ざっくり20%のキャピタルゲイン課税があると想定すると、6.25億円のキャッシュインが必要です。

仮に、100%株式を持ち続けているとして、6.25億円で会社を売却するためには、どのくらいの利益がでていればよいでしょうか?

その企業の価値の算定には、純資産額、その会社が将来生み出すであろうキャッシュを積み上げていく、DCF法などに加えて、斬新さ、成長性、独自性などを加味したプレミアムをつけるなど、会社の業種や事業内容によって計算方法が異なり、最終的には、買い手との相対で決まるので、ある種買い手が納得すれば、予想外に高額になることもあるなど、最終的には買い手の納得感なので、一概には言えません。

有名な例では、設立から1年ちょっとで、大赤字で、収益モデルすら存在していなかったYoutubeは、Googleによって、2,000億円で買収されました。結果、世界で圧倒的かつ最も収益を上げている動画配信サービスになっているわけですが、当時は、あり得ない金額での買収とも言われました。

要は、Googleは、Youtubeに将来価値を見出し、2,000億円という評価をしてわけです。

これは極端な例なので、もう少し現実的なケースを考えてみると、成長余地はそれほどないものの、安定的に毎年利益が出ている会社で、その会社の生み出すキャッシュ10年分で購入すると買い手が考えたとします。

過去、安定的に同じくらいの利益が出ていたという実績が会ったと仮定したとして、とはいえ、将来は確実ではないので、ここでは仮に10%のディスカウントを設定したとします。10%というは仮の設定ですが、このような手法で企業価値を算出する方法は、ディスカウントキャッシュフロー法=DCF法と呼ばれています。

来年は、今年の利益の90%、再来年は、来年の90%・・・と積み上げて行って、10年分積み上げると10年分の想定利益は、5.86倍となります。

ここにプレミアム要素とかを加えたりはするんですが、単純計算だと、毎年1億円の利益がコンスタントに出ている会社の今回の条件でのDCF法での企業価値は、5.8億円となるわけです。この計算方式で6.25億円で売却するためには、毎年1億665万円の利益を出せば、6.25億円になります。

もちろん、この計算方法は1例なので、実際には、相対の取引で価格がきまります。

100万円で作った会社が。6.25億円で売却できたとすると、オーナーの手元には、5億円のキャッシュが残るわけです。

もちろん、オーナーは引退したいので、オーナーがいなくても、会社が十分に回る体制が構築されていないといけませんが、オーナーの力による部分が大きい場合、買収後も数年間(2年とか3年とか)は、引き続き、経営に携わることが条件にされることもあります。(これを我々の間ではご奉公と呼んだりします)

その間に、次の経営者に引き継いだりして、旧オーナーがやめても大丈夫な状態にするわけです。

利益が横ばいの場合には、プレミアムはつきづらいですが、成長市場にあり、将来利益が右肩上がりに上がっていくことが描ける場合には、現在の利益はもっと少なくても、売却額を上げることができます。

今回は、現状の利益の5.6倍でしたが、特に成長著しいIT分野ですと、20倍くらいの評価をされる企業を少なくありません。20倍であれば、現状の利益は3,000万円くらいでもありえますし、将来性が見込める場合(少なくとも買い手がそう思った場合)赤字の会社でも、数億円や数十億円で売却できることもあります。

いずれにしても、まずは、起業して会社を持っていないとその可能性すらありませんので、本気でやりたいことがある方は、起業することをおすすめします。

さて、次回は、手元に5億円あったら、どうやって運用していくのかを考えてみましょう。


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