5時間目 「100%ノン・フィクションで100%フィクション」を書くこと
わたしは以前、人類学の専門ではなく自然科学系の先生からこのように言われたことがあります。「もっともよくできたエスノグラフィーはフィクションの書架に配架されてしまうものなんですよね。」エスノグラファーは他者の生活世界に赴き、“彼ら”の視点において世界を理解しようと試み、そして何よりも重要だが、それを「書く」。人びとの生活世界に文字通り肉体を投じて経験を積み重ねるなかで、人の関心、話すこと、一挙手一投足を漏らさずメモ帳にぐちゃぐちゃと文字化していく。一度閉じられたメモ帳を、あとで