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ワンパンマン二次創作 alice

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#小説

ワンパンマン二次創作 「alice」

第一章 La La La「序章」記憶の始まりは、音だった。

レンズの向こうから齎された世界の音を、彼女は初めて聴き、記憶する。レンズの精度は酷いもので、像を結ぶ対象は実に判別しずらかった。だがかろうじてそこが小さな部屋の一室である事、そしてレンズの向こうで話しかけてくる対象が、人間の男と女である事だけは今の彼女のメモリーであっても理解できた。歪むレンズを中指で叩いたのは男性だ。メモリー内部の動画

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ワンパンマン二次創作「alice」

第一話 「la la la」

真っ暗な寒い部屋で彼は暮らしてきた。

そこは確かに冷暖房完備であり、彼はまた両親の、自分の両親としては優秀過ぎる人達の庇護は受けてきたが、彼の部屋はいつも暗くそして寒かった。隙間風を埋めるように集めたコミックとフィギュアの数々に守られて、彼、ノリオは如何にか寒さを凌いでいる。青く発光する液晶画面を眺めながら、彼は検索ボックスに文字を打ち込んだ。『ああああああああ』

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ワンパンマン二次創作「alice」3

「la la la 3」

中学に上がってからも、ノリオの状況は変わらなかった。

遠方の私立中学に、猛勉強の末合格したノリオであったが、ノリオはそこでも孤立した。小学生の頃のような直接的で、表面的な暴力は確かに影を潜めたが、代わりに彼を蝕んだのは、無視という孤独である。美しい女子学生の群れは彼を見る度に、キモッと呟いて、彼が通り過ぎると同時に笑い声の花を咲かす。その色の毒々しさにも気づかず彼女ら

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ワンパンマン二次創作 Alice 4

Lalala4中学受験に合格したノリオを、母親は上機嫌で一ヶ月だけ外に連れ回した。その頃のノリオはもう母親に対する信頼などほぼ皆無であったから、その母親の行動がアクセサリーの一種である事は理解していた。あらゆる友人知人に、息子を、いや有名中学に合格した優秀な息子を育てた自分、を喧伝した彼女であったが、赴いた先でノリオが一切笑わないのをとある教師の友人に咎められて機嫌を損ねる。あんたは本当に無能なク

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ワンパンマン二次創作 Alice 5

La La La 5高校時代はノリオに取って、特筆すべき事は何もない。

幼い頃からやってきた様に、人の顔色を読み、頭を下げて、誰とも関わらない様に生活をしていただけだった。自分の世界はバトルガール・アリスの世界とaliceとのコミュニケーションのみ、それ以上を望んではならないと彼は自分を律していた。母親から捨てられたバトルガール・アリスの漫画はアルバイトにて少しずつ買い戻した。だが一点ものだった

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ワンパンマン二次創作 Alice 6

La La La 6クラスメイトの顔を殆ど知らず、連絡先もわからないまま、ノリオは高校を卒業した。

進学した大学は工科大学、見事なFランク大学であったが、アンドロイド、及びロボットに力を入れている新設の学科はその大学にしかなかった。誰とも喋らない高校生活は、奨学金を受け取る為の勉強時間にうってつけで、彼は見事奨学金を受け取りながら、大学へ進学する。父親からも母親からも援助は受けられなかったから、

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ワンパンマン二次創作 Alice 7



aliceとの訣別から24時間後、ノリオは行動を開始した。最初の1日は状況整理に戸惑ったけれど、理解して受け入れてしまったらそいつはとても簡単な事だ、と気づいたのだった。その結論を出してから、ノリオの精神は今までになく充足し満ち足り、安定した。全ての作業に滞りはなかった。そしてもし、こんな心地で皆生きているのなら、それはとても幸福な事だ、とも彼は悟ったが、自分に科したその結論を覆そうとは思わな

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ワンパンマン二次創作 Alice 8

Turn Me On 2

その日以来、ノリオはデスマスクを被る事になる。

彼の、お世辞にも美しいとは言えない肌、下ぶくれの醜い風貌は、まるで蝋に固められたように動かなくなった。彼を覆うのは死と破壊であるけれども、余りにも死と破壊を遠ざけすぎた現代の人間にそれを見抜く能力はなかった。固まった表情の中瞳だけは、もの凄まじい闇、そして苛烈な光を帯びている。これもまた見るものが見ればその危うさに気づけ

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ワンパンマン二次創作 Alice 9

no reason 1

買い物客でにぎわうその街の中心に、それが降り立ったのは休日の午後15:30分を少し過ぎた時刻だった。晴れ渡った空に凱旋を思わせるジェットエンジン音を響かせて飛来したのは、全長5メートルを越す真っ白な二足歩行型ロボットだった。穏やかで、何処か怠惰な街の喧騒を切るように現れたそれは、スクランブル交差点真上で飛行を停め、徐々に高度を落とし始める。脚の裏に設置されたバーニアはア

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ワンパンマン二次創作 Alice 10

No Reason 2

吠えながら死に向かうノリオの音声を記録しながら、世界に顕現したAI、aliceは無感動に街を睥睨した。二つ市を隔てたこの街にまだノリオがもたらした破壊と恐怖は伝播してきていない。足元に点在する黒い点の様な人々は、未だ平和に泥濘し他人事のように走る消防車や救急車の音を見過ごしている。AIは思考する。男性性は害悪である事を真として思考する。そして愛を定義する事を真とする。愛を

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