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#002_【公正と信頼】Explaining the Justice–Performance Relationship:Trust as Exchange Deepener or Trust as Uncertainty Reducer?(#4-73)

Colquitt, J. A., LePine, J. A., Piccolo, R. F., Zapata, C. P., & Rich, B. L. (2012). Explaining the justice–performance relationship: Trust as exchange deepener or trust as uncertainty reducer?. Journal of applied psychology, 97(1), 1.


本日の論文への惹かれポイント

スタートアップ・ベンチャーで働く身としては「不確実性」や「イノベーション」といったワードから離れられません。もちろんスタートアップ・ベンチャーに限ったことではないと思いますが、より強く意識せざるを得ない環境であることは間違いない。
私の興味のスコープは事業開発ではなく組織。

この論文は正義を通して「不確実性」についても触れています。

この論文の目的は?

Justiceと職務遂行能力の有意な関係を説明するものは何か。過去の研究で検討されてきた潜在的な媒介因子の1つはtrust(信頼)である。
Justice(正義、公正)とtrust(信頼)には関係があることが多くの先行研究から明らかになっている。
しかし「Justiceとjob performance」との関係にはまだまだ疑問がある。

ということで・・・3種類のJustice(procedural(手続き)、interpersonal(対人関係)、distributive(分配)※後述 )が情動と認知に基づく信頼の両方に影響し、それら2つが異なる媒介機能(規範的コミットメントと不確実性の低減)を果たす、というモデルを構築、検証した論文。

P.3

POINT1. 信頼の分類 Affect- vs. Cognition-Based Trust

90年代以降注目され始めた分類。
信頼を情動ベースと認知ベースに分けて考えます。

LewickiとBunker(1995、1996)は、識別に基づく信頼は欲求の相互理解への期待を反映し、知識に基づく信頼は予測可能性への期待を反映している、とし、MayerらとMcAllister(1995)は、信頼概念そのものを定義する方法は異なるが、慈悲は情動ベースの信頼と共通点が多く、能力と誠実は認知ベースの信頼と共通点が多いことを認めることは重要である。とここでも述べられています。

POINT2. 公正の分類 Predictions for Justice and Trust

Procedural Justice(手続き的公正)
決定に至るまでにリーダーが踏んだ過程に対する公正さ

リーダーが従業員に重要な意思決定に対する意見を提供し、リーダーが一貫性があり、正確で、偏りがなく、修正可能で、集団の関心事を代表し、倫理的である手続きを利用するときに醸成される(Leventhal, 1980; Thibaut & Walker, 1975)

Interpersonal justice(対人関係的公正)
リーダーが従業員に威厳と敬意をもって平等に接すること
手続きの実施中に不適切な発言やコメントを控えることで、対人関係的公正が育まれる(Bies & Moag, 1986; Greenberg, 1993)。このような対人関係のルールは、情動に基づく信頼に特に関連している可能性が高い、とされています。

Distributive justice(配分的公正)
給与や役割の分配に対する公平さ

リーダーが重要な成果を配分する際に適切な配分規範を利用することで育まれる(Leventhal, 1976)
衡平性は重要な情緒的帰結を持つため、分配的公正は情緒に基づく信頼に関連する可能性が高いが、同時に認知に基づく信頼にも関係するはずである、とされています。

POINT3. Result

Procedural Justice(手続き的公正)・Interpersonal justice(対人関係的公正)・Distributive justice(配分的公正)は、それぞれ感情および認知に基づく信頼と正の関係がある、という結果になりました。

また、感情に基づく信頼は、規範的コミットメントと正の関係にあるが、認知に基づく信頼は規範的コミットメントとの関連は見出せませんでした(有意ではなかった)。
そして、パフォーマンス・・・規範的コミットメントは職務遂行能力と正の
関係がある、という結果になりました。

不確実性との関連では、認知に基づく信頼は不確実性と負の関係があることがわかりましたが、感情に基づく信頼と不確実性には関連が見出せませんでした(有意ではなかった)。また、不確実性は職務遂行能力と負の関係があることがわかっています。

この論文の結果は、図2の構造に組み合わせると、3つの正義の次元すべてに対して有意な間接効果がもたらされています。また、信頼の媒介効果を完全に捉えるためには、交換に基づくメカニズムと不確実性に基づくメカニズムの両方が必要であることが示されています。
図2の構造からいずれかのメカニズ ムを取り除くと、モデルの適合が著しく悪くなり、公正がパフォーマ ンスに及ぼす信頼に基づく間接的効果が小さくなったという結果になっています。

P.9

認知に基づく信頼に内在する頼りがいのある信頼性が、組織の危機的状況においてより重要であり、将来の状況を考える際に従業員に信頼感を与え、情動に基づく信頼は、従業員のニーズが保護されることを示し、人間関係や政治的なコンフリクトにおいてより重要であると考えられています。

感想

不確実な状況においては、感情的な投資意識よりも、信頼できる実績の方がより強く意識されるだけなのかもしれない。

なんとなく気になって公平性の論文に手を足してみましたが、思わぬ収穫。
不確実な状況で大事なのは感情論ではないということですよね。
もう少し不確実な状況について論文読んで行ってみたいと思います。
実際そうなのかどうなのか、不確実なところに身を置いていても、わからないですが、個人的には認知が先で感情は後からな気がしています。

そう考えると、私はどちらかというと論理的なタイプですね(笑)


サポートしていただけると嬉しいです! ぴよぴよ社会人博士課程の学生ですが、Organization Justiceについて研究を進めています。また、理想だけでなく実務で壁となるGoing Concern(売上、利益)といった面も考えつつ・・・模索しています。