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8月6日は広島原爆の日。本日の河野太郎大臣の広島への思い、平和を願うツイートを拝見し、原爆について考えてみました。
(1) 河野太郎さんはTwitterを使っています: 「広島への思い、平和への思いを。」 / X

終戦から、78年経ちました。当時のことを知る人は年々減り、今年新たに5320人の名前が書き加えられた33万9227人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められました。

5月にG7サミットが広島で開催され、核保有国のアメリカ、フランス、イギリスをはじめとするG7各国の首脳が初めてそろって、原爆慰霊碑に献花しました。その様子は国内外に発信、歴史的な出来事となりました。例年より広島が注目されたと感じる一方で、被爆者からは核兵器の廃絶に向けた具体的な動きにはつながらなかったという声もあがっていました。

原子爆弾はウランやプルトニウムなどの元素の原子核が起こす核分裂反応を使用した核爆弾であり、初めて戦争において攻撃用に実使用された核兵器です。天然ウランのうち、核分裂を起こし易いウラン235は全体の0.7%と、かなり少なく、原爆に用いるためにはウラン235の濃度を通常90%以上に高める必要がありました。爆発を引き起こす程度でも最低70%以上の濃縮ウランが必要であった為、ウラン濃縮の技術が開発されましたが、ウラン濃縮には大変高度な技術力と大規模な設備、大量のエネルギーが必要とされました。

これだけの科学力を戦争の為に費やした歴史を、人間が背負ってから、78年も経ったということです。もし、この技術力、開発コストを現代の科学者が行使すれば、今の原発の問題は解消できるのではないかと、原爆の日になる度に感じます。

原発も、原爆と同様に、ウラン235の核分裂反応を利用していますが、原爆が濃縮ウランを使い瞬時に核分裂反応を起こすのに対して、原発はウラン235の割合が3〜5%と非常に少なく、これを3〜4年かけて少しずつ核分裂反応を起こさせます。エネルギーに換算してみると、原爆13ktのエネルギーが5.4x10^13Jであり、マグニチュード6の地震エネルギー(6.3x10^13J)に匹敵します。原発の熱エネルギー変換効率が33%なので、原爆13ktで2.1x10^13Jの発電ができる計算になり、日本の年間家庭用電力消費量が7.1x10^17Jなので、原爆33809.5個分でこれを賄えることになるわけです。

こう考えると、日本の消費電力は、途方もないエネルギーを使用しているのだと改めて実感します。石油があと50年で枯渇すると言われ、代替燃料・代替エネルギーが地球規模で問題視されていますが、新たな技術を開発しながらも既存の技術も併用していくことが現実的だということは誰もが思うこと。しかし、現実は原発再稼働に否定的で、再稼働する気配もなし。

2011年3月11日の福島第一原発の事故で日本中が「原発は危険」「原発は廃止すべき」というムードになりました。確かにあの事故を見れば、この意見は分からなくもないものの、一番の問題は事故そのものではなく、様々なアクシデントを考慮した技術開発をしなかったことでしょう。

地震や津波は日本列島どこにでも起こる災害。津波による冷却用海水ポンプの故障で原子炉の冷却機能が喪失したのが爆発の原因ですが、貯水タンクを海岸とは離れた所に設置し、臨時的冷却水として使うシステムは用意はできなかったのでしょうか。冷却水以外での冷却方法を開発はできなかったのでしょうか。結果論ではありますが、考えてしまうことが多いのです。

終戦後、核=兵器、というイメージが強くなり、核開発自体を否定する動きがありました。その為、日本では核の開発・研究が禁忌とされていたと思います。規模は異なりますが、ニトログリセリンはダイナマイトの原料ですが、爆発をしないように工夫された製剤は狭心症の薬として使用されています。危険性を理解した上で安全に利用できる方法を開発するのも科学の立場ではないでしょうか。

核の開発・研究に蓋をしても結果として日本も1955年にアメリカやイギリスの協力を得て原発を導入しました。終戦後10年足らずで。それからは海外製のシステムを導入し原発を増やし、日本国内での開発・研究は遅れていきました。

借り物のシステムだから不測の事態に備えることができなかったのではないでしょうか。研究を進めていれば事故は防げたのではないでしょうか。日本は選択を誤ったと思います。

技術が一度開発されると、デメリットの部分が必ず出てくるものです。しかし、事故や災害を防ぎ、対応する為には、そのデメリットに真っ向から立ち向かい真理を理解することが不可欠であり、それこそが科学です。
身近に被爆者がいない私でも、8月6日には原爆について考えてしまいます。戦争が科学の発展を加速させることは、歴史が証明しています。悲しい歴史から目を背け負の遺産とするのではなく、正面から向き合い、人類の発展に転用することが、今を生きる我々の責務ではないでしょうか。
政府には原発再稼働で揉める前に、前向きな見解を示して欲しいと思います。

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