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観光白書2023「稼ぐ力」のはなし

観光庁が2023年6月に出した、「令和4年度観光の状況」及び「令和5年度観光施策」(観光白書)という資料があります。その資料の中に、3つの地域の事例が挙げられています。

各地域が観光を通じてどうやって”稼ぐ力”を育てていくかを考えさせてくれるテーマなので、「地方創生」に関心のある私から見ての所感をこのnoteに書き留めておきます。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf



このnoteをお勧めしたい人

  • 観光に何かしら関わっている人

  • 「地方創生」に関心のある人

  • 日本を盛り上げたいと思っている人


では、早速本編に入っていきます。

観光庁の定義する「稼ぐ力」

「稼ぐ力」の強化が課題

コロナ禍から観光需要が回復している(特にインバウンドと呼ばれる訪日観光客が増加している)話は、みなさんもメディアの報道を通じてご存知でしょう。

しかし、観光産業では生産性の低さ人材不足という長年積み上がってきた課題が、訪日観光客の激増により露呈しています。この課題を解決するために、観光庁は「稼ぐ力」の強化を喫緊の課題の1つとしています。

観光庁は「稼ぐ力」の強化を課題としている証拠(エビデンス)として、観光GDP額に注目。日本は欧米7カ国(G7)と比較し、コロナ前の状況に近づいてきたとはいえまだ差がついていることを挙げています。

「稼ぐ力」の鍵を握るのは観光の付加価値

観光産業の売上高を増加させ、観光GDP額を上げればG7に近づくかもしれません。しかし、生産性の低さについてを課題として挙げている観光庁としては、付加価値を高めることにより、観光産業の売上に繋げるという考え方を提示しています。

「稼ぐ力」の分析対象3地域

  1. 観光地の再生・高付加価値化による収益改善、回遊性向上
    例)群馬県伊香保温泉

  2. 観光DX推進による収益力向上
    例)兵庫県城崎温泉

  3. 地域マーケティングデータによる顧客管理の深度化
    例)宮城県気仙沼市

伊香保温泉(群馬県)の例

観光地の再生・高付加価値化事業を活用し、温泉街のシンボルである石段景観の改善、宿泊・飲食事業者の施設の改修・整備、廃屋撤去等を実施したそうです。
この事業を契機に、顧客志向や賃金向上など質を重視した価格設定権を宿泊施設が発揮する意識変革が起こったそうです。

ほかの温泉地域(特に後述の城崎温泉とも比較すると面白い)と比べ、温泉地としての看板商品を開発しています。調べてみると、伊香保温泉では共同湯の文化の復活を戦略として挙げている資料も出てきました

城崎温泉(兵庫県)の例

「地域観光DX推進プロジェクト」のnoteでも詳細に解説されています。

こちらもよかったらご覧ください。

気仙沼市(宮城県)の例

2011年の東日本大震災以降、観光産業を主軸とし水産業の食をメインに取り組みを行いました。水産業など「暮らし」が感じられる観光を取り入れているそうです。

朝一で魚に触れられるツアーもあるようです。

観光地化だけに終わらないように

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