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朝、パンを食べるという幸せ


 おいしいパン屋さんのパンを、休日の朝に旦那と食べたい。

 私はそんな野望を抱いてここ数ヶ月の間過ごしてきた。インスタグラムで紹介されていた漫画に、金曜日の夜に近所のおいしいパン屋さんで朝ご飯を選ぶカップルの話があって、「なんて幸せなんだ!!」と感動したのである。

 私と旦那の休日は、大体朝10時~12時過ぎに起きて、朝ご飯に納豆やお味噌汁など和食を軽く食べるか、朝昼兼用でパスタなんかを食べる。もちろん、納豆は大好きだけど、「休日の朝」のために前日にわざわざパンを買っておくというのがなんだか素敵だし、パンというのは、特別な感じがする。

 先日、ついにその野望を叶えるチャンスが来た。実家に帰る前に近所を散歩していると、これまで一度も空いているのを見たことがないベーグル屋さんが珍しく営業していたのである。そのお店は、「123(ひふみ)ベーグル」といって、島根県奥出雲産ブランド米「仁多米」の米粉と北海道産の小麦粉をブレンドして、バターや牛乳などを一切使わずに作っているらしい。店の外からは、小麦の良い匂いがするし、なんだかこだわりが詰まってそうだし、これこそ理想の朝食にぴったりだと思って、ブルーベリーとクリームチーズのベーグルと、くるみとキャラメルのベーグルを1個ずつ購入した。
 
 移動のために電車にのり、ベーグルが入った紙袋を膝の上に乗せる。焼きたてのベーグルの温かさを膝で感じるだけで、幸せな気持ちになった。

 たまらず紙袋に顔を近づけ、匂いを嗅ぐ。キャラメルや、焼きたてのパンのとっても良い匂いが袋の中に充満している。旦那が食べたら喜ぶかな。付け合わせは何にしようかな、などと想像するだけで幸せな気持ちになる。周りから見れば、電車の中でニヤニヤしながら何度も紙袋に顔を埋める姿は不審だけど、私はとっても満たされていた。
 
 家に帰ってからは、「明日の朝はベーグルだよ!」と旦那に宣言しをて、夜ご飯中もずっと朝ご飯の話をして浮かれていた。夜も中々寝付けず、寝息を立てている旦那を無理矢理起こして、「ねえ、明日何時に起きる?」「ベーグルって甘いのかってきちゃったけど、ジャムもクリームチーズも家に無かった」などとずっとノンストップで話していた。(良い迷惑)  

 そして朝、いよいよまちにまった朝ご飯である。結論からいうと「まあ、普通」だった。いつもの朝食と同じくらい、または、ちょっと低いくらい幸福度。旦那は気を使っておいしいといってたけど、中々食が進まず、多分いつもの朝食のほうが好きなんじゃないだろうかという反応をしている。
 
 でもまあ、これだけ楽しい気持ちにさせてくれたベーグルには感謝している。いつの日か、これは完璧という理想の朝ご飯を食べたいものだ。

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