貝崎瑞子

マイペースに詩を書いています。詩は個人サイトにも掲載しています(https://hit…

貝崎瑞子

マイペースに詩を書いています。詩は個人サイトにも掲載しています(https://hitokakenoasa.xii.jp/)。 詩集の通販を架空ストア様に委託しています(https://store.retro-biz.com/list_o796.html)。

記事一覧

第三回紙本祭に参加しました

2021年11月6日(土)にpictSQUARE内で開催されたオンラインイベント「第三回紙本祭」にサークル参加致しました。スペースにお越しくださった方、ありがとうございました!紙…

貝崎瑞子
2年前
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(詩)海岸線にて

長い坂道を抜けて 道路が 海岸に向かってふくらんでいく 八月下旬の空を溶かした 海は しずかに砂浜に打ち寄せて 誰かの時をきざんでいる 浜辺へ降りる石階段に 脱ぎ捨て…

貝崎瑞子
2年前
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フリーペーパー作成&オンラインイベント参加予定

フリーペーパー作成詩と散文を1編ずつ載せた「詩と散文のフリーペーパー ひとかけの朝」、このたび1枚目(第1号)を発行致しました。 この原稿は、大阪府にある古本と印…

貝崎瑞子
2年前

(詩)薄暮

日に褪せた畳の上を 夕陽が 時間をかけて這っていく 蛇口を閉めた後にちろちろと流れる ホースの底に溜まった水のように 染みていく夕焼け 昼と夜の境い目に 部屋はひそか…

貝崎瑞子
3年前
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(詩)月曜日の朝

音の聞き過ぎで 耳鳴りがする 静けさを避けて 何かをしてなきゃいけないっていう 強迫感みたいなもの 空気の抜けた自転車のタイヤ 歩道と車道の境目で ねじれた時 バラン…

貝崎瑞子
3年前
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第三回紙本祭に参加しました

第三回紙本祭に参加しました

2021年11月6日(土)にpictSQUARE内で開催されたオンラインイベント「第三回紙本祭」にサークル参加致しました。スペースにお越しくださった方、ありがとうございました!紙本、紙ものオンリーのイベント、とっても楽しかったです!

当サークルは新刊、既刊、フリーペーパーのネットプリントで参加しておりました。
フリーペーパーは個人サイトにPDFをアップしておりますので、閲覧・ダウンロードして頂け

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(詩)海岸線にて

(詩)海岸線にて

長い坂道を抜けて
道路が
海岸に向かってふくらんでいく
八月下旬の空を溶かした
海は
しずかに砂浜に打ち寄せて
誰かの時をきざんでいる

浜辺へ降りる石階段に
脱ぎ捨てられた二足のサンダル
若いふたりは冷たい水に足をひたして
手を繋いで歩く
転びそうになった彼女を
男の子が後ろから抱き締め
ふたりは身体を揺らして笑っている

白い太陽の見下ろすさき
潮風があたり
光がひとつぶひとつぶに散らばって

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フリーペーパー作成&オンラインイベント参加予定

フリーペーパー作成&オンラインイベント参加予定

フリーペーパー作成詩と散文を1編ずつ載せた「詩と散文のフリーペーパー ひとかけの朝」、このたび1枚目(第1号)を発行致しました。

この原稿は、大阪府にある古本と印刷のお店「ぽんつく堂」様の印刷交換会企画「すりすり会 第6回」で刷って頂きました。
半晒クラフト紙に青インクを選んだのですが、可愛く仕上がって嬉しいです。ヘッダー写真がそれです(光の加減で白っぽい紙に見えますが、実物は薄茶色です)。

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(詩)薄暮

(詩)薄暮

日に褪せた畳の上を
夕陽が
時間をかけて這っていく
蛇口を閉めた後にちろちろと流れる
ホースの底に溜まった水のように
染みていく夕焼け

昼と夜の境い目に
部屋はひそかに歳をとる
二人で書いたシナリオは天井に届きそう
現実が欲しいあなたと
誰にもなれなかったわたしのために
こしらえた部屋

雲がゆっくりと動く
オレンジ色の影が落ちる
隙間なく流れ込んで
わたしの身体を組み敷いている
やさしいちから

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(詩)月曜日の朝

(詩)月曜日の朝

音の聞き過ぎで
耳鳴りがする
静けさを避けて
何かをしてなきゃいけないっていう
強迫感みたいなもの

空気の抜けた自転車のタイヤ
歩道と車道の境目で
ねじれた時
バランスを崩した時
思った瞬間に通り過ぎている

いつの間にか出来るようになった
振り返る仕草
あの人の真似事を繰り返すうちに
私のものになった

息があがっても
しばらくは 苦しくても
無理にでも意地を張って
何でもないようなふりをして

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