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(詩)薄暮

日に褪せた畳の上を
夕陽が
時間をかけて這っていく
蛇口を閉めた後にちろちろと流れる
ホースの底に溜まった水のように
染みていく夕焼け

昼と夜の境い目に
部屋はひそかに歳をとる
二人で書いたシナリオは天井に届きそう
現実が欲しいあなたと
誰にもなれなかったわたしのために
こしらえた部屋

雲がゆっくりと動く
オレンジ色の影が落ちる
隙間なく流れ込んで
わたしの身体を組み敷いている
やさしいちから

今日もわたしは
誰にもなれないな

子どもの頃
充分におままごとをしてこなかった
わたし達の
かさねたフィクションの重みに
この老いた部屋は
いつまで耐えきれるかしら