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[DX事例74]お客様の声をAIが分析分類して、重要なニーズを発掘_株式会社リコー

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は電気機器メーカー業界からです。主に複合機やOA機器のイメージ色が強い企業でもある株式会社リコーのAIを使ったDXです。


お客様の声をAIが収集・分析! リコーのDX事例

リコーは2000年代は複合機やOA機器中心とした製造・販売を中心としていましたが、昨今ですと2020年にデジタルサービス会社への変革を宣言するなど、メインとなるサービスがデジタル領域へとシフトしている会社です。そんなリコーのDX事例をお伝えしていきます。


①ドキュメントデータから商品・サービスの品質分析をAIが実施「仕事のAI」

リコーは文書や映像、画像、音声などのデジタル情報をAIがデータ分析するサービス 仕事のAI「RICOH 品質分析サービスStandard for 食品業」を展開しています。
サービス名の通り食品業向けとなっており、主にお客様の声(VOC:Voice of customer)であるドキュメントデータをもとにAIが品質分析する仕組みとなります。

株式会社リコー「リコーグループ統合報告書2021」より抜粋

仕事のAIは、自然言語処理AIによりコールセンターなどで寄せられたVOCを収集し、問題の発見や新たな価値の創出を行います。

例えば、日々発生するお問い合わせの中からクレームや指摘に関するVOCを抽出し、それを要望・提案として商品企画部門へ展開したり。
また、「お腹の調子が悪い」「お腹を壊した」というVOCを見つけ出し、症状の傾向から消化器系の症状として品質部門へアラートするという使い方が可能になります。

株式会社リコー「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」より抜粋

元来VOCは重要視すべきコメントではありますが、文字に起こすと膨大なテキストデータ量となります。そのテキストデータの中から重要なコメントを人が抽出するのは手間がかかりますし、そもそもコールセンター対応に手が取られ抽出する時間が確保できないことも多々あります
仕事のAIを使うことで極力人手をかけず、かつ人の判断によるばらつきをなくしたVOCを抽出することができ、全体的なサービスの品質改善に繋がります。


②トナー生産工程の品質予測をAIで実施「トナー生産工程のDX化」

リコーはプリンターに使用されるケミカルトナーを開発・製造しています。ケミカルトナーは数ミクロンの多機能粒子、複雑な科学反応によって生成されていますが、生産工程が非常に複雑なため多くの熟練技術者による生産が不可欠な状態になっていました。
熟練技術者に依存した品質管理工程を解決するため、リコーは2021年にケミカルトナーの生産に対してAIによる品質管理システムを導入しました。

株式会社リコー「リコーグループ統合報告書2021」より抜粋

AIは「品質予測システム」と「品質制御システム」の2つで構成されています。
品質予測システムでは、工場から得られるデータ(原材料・設備稼働・品質データ)をもとに品質の予測値を算出し、基準値を下回るとアラートを出します。この情報は品質制御システムにも連携されており、品質予測システムが出した品質基準値から大きく外れないように生産条件をコントロールします。
リコーでは、この品質予測と品質制御システムを導入することで、工場内の人による点検作業が95%不要となり、従来の約2割の人員で製造可能という劇的な効果が出ました。


経営戦略とDXの関連性について

中期経営計画に関する説明会「日本におけるデジタルサービス事業の取組み」にて、2021年4月からリコーは「OAメーカーからの脱皮」と「デジタルサービスの会社への事業構造の転換」を目的として、社内カンパニー制度の導入を開始しています。
刷新された組織体制であるデジタルサービスビジネスユニットは、課題に対してどんな価値を提供できるかという「提供価値」という単位で区切られており、デジタルサービスによる課題解決を目指した活動を行います。

株式会社リコー「「日本におけるデジタルサービス事業の取組み」より抜粋

また、リコーはグループ戦略の一つに、日本の中堅・中小顧客を対象にしたDX化サービスの展開を掲げています。
全国の中堅・中小企業のDX化を支えるためのパッケージ商品を開発しており、FY21Q2の実績としても18万本販売しているという大きな実績を出しています。地銀・信金・商工会議所とも連携し、顧客のIT導入補助金の採択もサポートしながら中小企業の業務デジタル化を支援を進めています。

リコーはお客様に価値を生む仕事に特化していただくために、オフィスで働く人を単純作業から解放し、働く場所を選ばないデジタルワークプレイス作りを加速するための活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
途中、スクラムパッケージと言う単語も出ましたが、リコーでは中小企業のDX化を進めるための様々なソリューションが本当に多数用意されています。

株式会社リコー「働き方改革ソリューション」より抜粋

上図は働き方改革ソリューションの一例となりますが、「テレワークまるごとパック」「会議変革パック」など、目的に応じたパッケージ商品が用意されています。
内容としても、Web会議やチャットツール、電子決済WFなどのITによる業務効率化のためのサービスやIT機器を組み合わせたものとなります。
業種別や課題別に計150パッケージ以上用意されていますので、皆さんの会社にも活用できそうなサービスはあるかと思います。
タナショー

参考にさせていただいた情報
株式会社リコー HP
https://www.ricoh.co.jp
株式会社リコー「リコーグループ統合報告書2021(日本語版)」
https://jp.ricoh.com/-/media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/about/integrated-report/pdf2021/all_J_spread.pdf?rev=7acf13745a18402a9e2374e4a6c1b907
株式会社リコー「2021年IR-Day デジタルサービス事業説明会 オフィスサービス事業」
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/events/2021/pdf/IRDay_RDS01.pdf
株式会社リコー「2021年IR-Day デジタルサービス事業説明会日本におけるデジタルサービス事業の取組み」
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/events/2021/pdf/IRDay_RDS03.pdf
株式会社リコー「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」
https://www.ricoh.co.jp/service/ai-for-work/quality-analysis-service/

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