見出し画像

[DX事例72]AIでペットを識別することで作り出す「どうぶつ住民登録」_アニコムホールディングス株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。


今回はペット業界からです。ペット専用保険会社である「アニコム損害保険株式会社」や動物病院向けのカルテシステムを開発する「アニコムパフェ株式会社」などを傘下に持ち、動物のためのあらゆるサービスを展開しているアニコムホールディングス株式会社のペットDXです。


AIを使って動物の疾病予測や動物住民登録が実現!? アニコムのDX事例

アニコムは保険業界でも珍しい、ペット保険を専門に取り扱っている会社となります。傘下である「アニコム損害保険株式会社」でペット保険を展開しており、保険契約数も10万件と業界内でもトップシェアを誇っています。
今回はそんなアニコムのAIを使った事例をご紹介します。


①犬の顔をAIで個体識別「どうぶつ住民登録」

2021年10月よりプレスリリースがされたばかりで実運用は始まっていないようですがご紹介します。アニコムは動物の顔写真・動画をもとにAIが個体登録・識別できる仕組みを開発しています。
アニコムはこの技術を活用することで、動物の戸籍を作るシステム「どうぶつ住民登録」サービスを開始しようとしています。

アニコムホールディングス株式会社「“どうぶつの尊厳”を守るための取組み『どうぶつ住民登録』を目指して」より抜粋

「どうぶつ住民登録」はAIで品種判定して個体登録を行っておくことで、ペットの顔写真をAI識別にかけるとシステムに登録された個体かどうか判定することができます。本システムの活用例として、災害時にペットが迷子になった際にこのシステムで個体識別ができるので、迷子捜索などにも期待できるとのことです。

さらに、また後述するAI病気予測と組み合わせることで、ペットの日々の健康記録や健康アドバイスにも繋げられます。

アニコムはどうぶつを個・家族の一員として認める社会を作り、どうぶつの尊厳を守れる世界にするという目的を果たすために、本取り組みを積極的に進めているとのことです。



②AIで犬の病気予測「疾病予測システム」

アニコムは2021年2月に、ペットの顔写真から病気を予測する「疾病予測ステム」を開発しています。AIを使った動物の疾病予測としては世界初となる特許も取得しています。

本システムはAIを用いて、一定期間内に眼や耳、皮膚疾患といった病気にかかるか否かの予測ができます。

PRTIMES「世界初!「ペットの顔写真から病気を予測する」システムの特許を取得」より抜粋

システムの実績の一例として眼科疾患の予測を行ったところ、約70パーセントの精度で疾患の有無が判定できたとのことです。
寿命が人間よりも短い犬にとって病気の早期発見・早期治療はとても重要ですが、犬は言葉が話せないことから体調の変化に気づくのが遅れてしまいます
そんな物言わぬ彼らの代弁者として、ペットの顔写真だけで実施が可能な本システムの意義は高いとのことです。

今後はシステムの精度を高めるとともに、より細分化された病気のリスクの予測ができるように改良していく予定だそうです。


経営理念とDXの関連性について

アニコムは2022年3月期の決算説明資料において、重点施策の一つにDXの取り組みを挙げています。
内容としては、ビッグデータの構築活用と特許知財化の推進となります。

アニコムホールディングス株式会社「2022年3月期決算説明資料」より抜粋

アニコムが展開している保険、医療技術サービスやフード販売を通して得られるデータや、今回のAI技術から得られるデータなど。アニコムはこれらのビッグデータをもとに「どうぶつ住民登録」を通して、顧客への新たな付加価値を作り出そうとしています。
「どうぶつ住民登録」から得られる日々の健康記録から、グループが保有する保険サービスや検診サービスやフード販売を適切なタイミングで提供していくことで、ペットが一生涯健康でいられる環境を作り出す

アニコムはホームステイを余儀なくされている「ストレス過多な人々」にとって、ペットは心の拠り所になっていると考えています。ペットが健康で過ごせる環境を作り出し、それぞれの命が持つ個性の違いを互いに尊重しあえるような社会にするため、アニコムは活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は人の目では判別しにくい、犬の顔を判別したり犬の疾患を予測する取り組みでした。判別がしにくい、もしくは主観がまじるような判断をする場合、人ではなくAIなどのIT技術を活用することが有効な場合があります。

また、アニコムは「どうぶつ住民登録」を使って、どうぶつを個・家族の一員として認める社会を作ろうという取り組みを行っていました。企業のミッションや経営理念などの「目指したい理想」を実現するためにDXを活用した良い事例だったかと思います♪
皆さんの会社も、経営理念を実現するためにIT活用ができないか考えてみてください!
タナショー


参考にさせていただいた情報
アニコムホールディングス株式会社HP
https://www.anicom.co.jp
アニコムホールディングス株式会社「2022年3月期決算説明資料」
https://www.anicom.co.jp/ir/pdf/20211108_supplementary_explanation.pdf
アニコムホールディングス株式会社「“どうぶつの尊厳”を守るための取組み『どうぶつ住民登録』を目指して」
https://www.anicom.co.jp/news-release/other/20211005/
PRTIMES「世界初!「ペットの顔写真から病気を予測する」システムの特許を取得」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000028421.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?