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グループ内の飲食ブランド店で共同デリバリー!?消費者のあらゆるニーズに応える「食の総合型企業」を目指せ!〜DX事例46_株式会社すかいらーくホールディングス〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は飲食業です。ガストやバーミヤン、ジョナサンなどの有名飲食店ブランドを経営する「株式会社すかいらーくホールディングス」の飲食に関するDXです。


グループ内の様々な飲食ブランドから一括でデリバリー注文?すかいらーくグループのDX事例

すかいらーくグループといえば、ガストやバーミヤンなどの代表レストラン以外にも、和食レストラン「夢庵」やカフェ「むさしの森珈琲」など、HPに載っているだけで18グループもの和洋中様々な飲食ブランドがあります。そんなすかいらーくが行っているDX事例をご紹介します。


①グループ内共通のデリバリーサービス「すかいらーくグループの宅配」
2019年10月にリニューアルされている宅配サイトですが、飲食ブランドごとに個別の宅配サイトがあるのではなく、グループ共通となっています。住所を入れると近隣の配達可能な店舗を表示し、グループ内の様々な飲食ブランドからデリバリー注文をすることが可能です。

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すかいらーくグループ「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」より抜粋

しかもこの宅配サイトですが、自前の宅配ができない店舗であっても出前館やUberEatsが使える場合は該当リンクが載っており、情報の一元化がされています。併せて、荷物の宅配業などでおなじみの「置き配」にも対応しているとのことで、コロナ禍における「非接触」「非対面」のサービスが実現できています。


②グループ内のデリバリー体制共通化による効率UP「配達員アプリ」と「共同デリバリー」
上記の宅配サイトと連携しますが、デリバリー体制についても効率化が進んでいます。各店舗に在籍している配達スタッフを、自分の店舗の配達だけではなく他店舗の配達にも活用しています。この仕組みを「共同デリバリー」と読んでおり、配達員の待ち時間ロスの削減や人員の適正化の効果が上がっています。2021年5月の時点で186店舗で、共同デリバリーを活用しているとのことで、順次対象店舗を拡大しています。

また、この共同デリバリーを効率化するために配達員用の専用アプリ「配達員アプリ」を開発しています。

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株式会社すかいらーくホールディングス「2021 年度第1四半期決算説明資料年度」より抜粋

注文が入ると自動的にルートが表示、配達員は端末を自転車やバイクに装着し、新人でも配達することができます。これにより、デリバリースタッフの定着率の向上およびお届け時間の短縮につながっています。


③店舗内での飲食も非接触ならぬ”非コミュニケーション”?「デジタルメニューブック」
飲食店ではほぼ見かけるようになったタブレット端末からの注文です。すかいらーくグループでは和食以外のメインブランドに、この「デジタルメニューブック」の導入が完了しています。

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すかいらーくグループ「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」より抜粋

もちろんこのタブレット端末での注文はそこまで珍しくはないのですが、すかいらーくグループではUXにこだわっています。デジタルメニューブックでは、商品の注文だけでなく、「お皿を下げてほしい」「デザートを持ってきてほしい」などのサービスボタンが用意されています。

お皿を下げたり食後のデザートを依頼する際、呼び鈴で店員を呼び出し口頭でお願いすることが多かったのですが、これなら会話が不要です。非接触ならぬ非コミュニケーションですね。聴覚に障害を持つ方からも「注文しやすい」と好評だそうです。

今後はスマホのアプリと連動させる等、お客様とのより深いコミュニケーションをができるように改善していくことも検討しているとのことです。


DXと経営戦略の関連性について

すかいらーくは2021 年度の決算説明において、「食の総合型企業」へ向けた取り組みの基軸(施策)としてDXの推進を挙げています。

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株式会社すかいらーくホールディングス「2021 年度第1四半期決算説明資料年度」より抜粋

今回のDX事例で紹介したデリバリーやテイクアウトなどの売上拡大ならびにバックオフィス等の業務効率化を行うことで「高収益体制の確立」を実現するという第1フェーズを皮切りに、「次世代のビジネスモデルの確立」や「業界シェアの拡大」という事業拡大に向けDXの推進を進めているとのことです。

コロナ禍の影響で食に対する考え方が変わり、デリバリー・テイクアウトの利用機会も増加しました。すかいらーくはマーケットの変化に迅速に対応し、レストラン事業の主戦場である「外食」から、デリバリー・テイクアウトの「中食」、そして自炊などの「内食」も視野に入れ、暮らしの隅々にわたる サービスを提供する「食の総合型企業」への変革を遂げようと活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか? 以前スシローの記事でも非対面、非接触のサービス事例を紹介しましたが、今回は「お皿を下げてほしい」「デザートを持ってきてほしい」という依頼をタブレット端末からできるというユニークな取組みでした。ちょっとしたことなので、そこまで目新しい取り組みではないかもしれませんが「あ、これ便利だな」と思える点が良いですよね。

「ちょっと便利」というのがタナショーは結構好きです。体験すると嬉しい気持ちになるのがUXの目指すべき方向性だと思います。消費者が自社のサービスを利用するときに、「どんな使い方をするのか」「どんなときにサービスを使ってみたくなるのか」を深掘りしていけば、UXの高いサービスへの改良点は見つかってくると思います。

千里の道も一歩からです。最初から壮大なものを目指さず、まずは「ちょっと便利なUX」から始めていきませんか?
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社すかいらーくホールディングスHP
https://www.skylark.co.jp
株式会社すかいらーくホールディングス「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」
https://www.skylark.co.jp/company/i_report/2020/it.html
株式会社すかいらーくホールディングス「2021 年度第1四半期決算説明資料年度」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/tdnet/1970478/00.pdf
株式会社すかいらーくホールディングス「すかいらーくグループ統合報告書2020」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/ir_material_for_fiscal_ym4/99504/00.pdf
すかいらーくグループの宅配
https://delivery.skylark.co.jp/top
すかいらーくグループのお持ち帰り
https://togo.i-skylark.com/sk/shop/

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