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バーチャルバス停とAIのダイナミックルーティングで、より便利で効率的なバス運行を実現!!〜DX事例40_株式会社みちのりホールディングス〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は公共の交通機関でもおなじみのバス業界からです。主に東北方面のバスグループ会社を傘下に持つ「株式会社みちのりホールディングス」のAIを活用したバス運行に関するDXです。


バーチャルバス停でバスがもっと便利に。みちのりホールディングスの「ダイナミックルーティング」とは何か?

みちのりHDはビジョンに「公共交通ネットワークの最適化」というものを掲げています。高齢化社会における乗合バスの役割と需要が高まっているとして、IT技術を活用した様々な取り組みを行っています。タイトルにもある「ダイナミックルーティング」と合わせて、その取り組みをいくつかご紹介します。

①バーチャルバス停とAIの運行ルート検索で作り出す「ダイナミックルーティング」
2021年2月15日より福島県会津若松市で、ダイナミックルーティングバス「MyRideさわやか号」の実証実験が始まっています。ダイナミックルーティングバスでは、既存のバス停とは別に「バーチャルバス停」を用意されており、利用者が乗車するバス停と目的地をアプリから予約することで、AIが最適な運行ルートを決定する仕組みとなります。

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会津若松市「ダイナミックルーティングバス「MyRideさわやか号」の実証運行が始まります!」より抜粋


実証実験では、既存のバス停100箇所とバーチャルバス停85箇所の計185箇所用意しており、従来のバス停よりも「より近いバーチャルバス停から乗車できること」や「乗車予定のないバス停を通らず、別のルートを通ることで効率的な運行が可能」などのメリットがあります。
さらに利用料金としても大人400円子供200円という料金であり、「バス停まで遠くて歩くのが大変だけど、タクシーを使うほどでもない」という方や、高齢者などのニーズに合致するサービスとなります。


②バス車内の混雑状況をBluetoothで確認。3密回避に活用
こちらも実証実験となります。会津若松市が行っている「会津 Samurai MaaS プロジェクト」での取り組みを発展させたものとなりますが、Bluetooth Low Energy(BLE)スキャンという技術を利用し、バス車内のリアルタイム混雑情報を確認できます。

乗客のスマホやタブレットが発しているBluetooth信号を検知する機械(Bluetooth  Low Energy(BLE)スキャン)を利用し、検知の数に応じて車内の混雑度を表現します。スマホを持っていない乗客やBluetoothをOFFにしている場合はカウントされませんが、車内混雑の目安として見るには十分かと思われます。

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株式会社みちのりホールディングスHP「会津若松市中心部でリアルタイム混雑情報発信の実証実験を実施」より抜粋

この情報はWeb上で公開されており、2021年8月31日まで閲覧が可能です。利用者はこの情報により「混雑している車両の回避という”密を避ける”」ことや、曜日や時間帯ごろの混雑度から未来の混雑予測に役立てることができます。


③バスの現在位置を確認「バスロケーションシステム」
目新しい仕組みではないかもしれませんが、意外と便利なバスの現在位置を確認できるシステムです。パソコンやスマホから現在のバスの位置情報を確認でき、「あと何分で停留所に到着するか」「渋滞などでどれくらい遅延しているのか」を確認できるようになります。

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株式会社みちのりホールディングスHP「南部バス・茨城交通:バスロケーションサービス開始のお知らせ」より抜粋

みちのりHDは東北を中心に複数のバス会社を運営していますが、現在すべてのバス会社にこの「バスロケーションシステム」を導入完了しています。さらに自社のサイトだけではなく他社の地図情報サービスとも連携し、地図アプリからバスの現在位置を確認できるように整備を進めているとのことです。


DXと経営戦略の関連性について

みちのりHDは上場会社ではなく、経営戦略等の資料もあまり見つからなかったので、会社HPの情報をもとに説明していきます。

冒頭も話したとおり、みちのりHDはビジョンに「公共交通ネットワークの最適化」を挙げており、ダイナミックルーティングのように低運賃かつ利便性を向上するためのIT活用に力を入れています。

また、「広域連携」という表現で他社連携・グループ内連携を積極的に進めています。

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株式会社みちのりホールディングスHP「広域連携 ②タテ・ヨコの常駐協業(ハンズオン)支援」より抜粋


上の図ではグループ内の話となりますが、各グループの経営陣だけではなくみちのりHDの横串メンバーを配置し、各社の取り組みやベストプラクティスを収集しながら各社に横展開しています。グループ内だけではなく、実証実験として地方自治体や競合他社とも協調することにも力を入れています。

IT技術の活用やDXに限った話ではありませんが、最適なサービスを作り出すためには独力ではなく、他社と協力することが一つの近道だとタナショーは思います。

みちのりHDは交通サービスの変革に取り組みながら、会社名にもあるように長期持続的な交通ネットワークを実現するための長い”道のり”を歩み続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?今回の事例では紹介していませんでしたが、みちのりHDはバスの自動運転の実証実験にも取り組んでいます。日立市で実証実験は行われており、市民の方は自動運転バスの乗車体験も実施しているそうなので乗ってみたいですね。

また特設サイトのTOPページには「ちょっと先の未来を泳ぐバス」というメッセージがあります。私事になってしまいますが、タナショーの会社もバリュー(行動基準)が「“ちょっと先の未来”を便利でより良いものにする」なので親近感を感じてしまいました(笑)

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「ひたちBRTラストマイル自動走行実証評価」特設ページより抜粋


DXの千里の道も一歩からです。そして、ちょっと先の未来を便利にしていくことが良いサービスを考えるヒントになっていくはずです。

タナショーもnoteの記事を通して、IT活用のヒントになるような情報を地道に発信していこうと思います。次回の記事もぜひ、お楽しみにしていただければと思います♪
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社みちのりホールディングスHP
https://www.michinori.co.jp/index.html

株式会社みちのりホールディングスHP「AIがルートとダイヤを自動的に組成! 「ダイナミックルーティング」バス運行開始」
https://www.michinori.co.jp/pdf/20201022_PR_aizu.pdf
株式会社みちのりホールディングスHP「会津若松市中心部でリアルタイム混雑情報発信の実証実験を実施」
https://www.michinori.co.jp/pdf/20210423_PR_aizu.pdf
株式会社みちのりホールディングスHP「福島交通:バスロケーションシステム『バスがいつ来るか分かります!』 サービス開始のお知らせ」
https://www.michinori.co.jp/pdf/20201215_PR_fukushima.pdf
会津若松市「ダイナミックルーティングバス「MyRideさわやか号」の実証運行が始まります!」
https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2021021100010/
新・公民連携最前線 PPPまちづくり「ダイナミックルーティングの乗合バス、会津若松市が実証実験」
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/021601887/
ひたちBRTラストマイル自動走行実証評価
https://autonomousbus-project.com/hitachibrt2/project.html

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