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[DX事例68]AIカメラで園内の混雑状況がわかる「混雑マップ」で密を避けた観覧_公益財団法人東京動物園協会

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は動物園からの紹介です。東京都内の恩賜上野動物園・葛西臨海水族園等の計4施設を運営する「公益財団法人東京動物園協会」の動物園DXです。


AIカメラと5Gで園内の混雑度を可視化!恩賜上野動物園のDX事例

上野動物園といえば、ジャイアントパンダが有名ですね。2021年6月23日には2頭のジャイアントパンダ「シャオシャオ」「レイレイ」が誕生し、来年1月の一般公開を控え2頭ともすくすく成長しています。
そんな活気づいている上野動物園でのDXをご紹介していきます。

①AIカメラと5Gで園内の混雑度を可視化

上野動物園はKDDIと提携し、5GとAIカメラによる園内の混雑度を可視化する「上野動物園混雑マップ」を公開しました。混雑マップは公式サイト「東京ズーネット」に用意されており、「総合案内所周辺」や「パンダのもり」など混雑することの多い5つのスポットにAIカメラを設置し、1分間隔でAI判定した混雑度が表示されます。

東京ズーネット「上野動物園においてAIカメラを活用し混雑度を可視化します」より抜粋

AIカメラは株式会社オプティムが提供するOPTiM AI Camera Liteの「混雑状況匿名化表示」機能を利用しています。名前の通りAIカメラで撮影された人物は即座にマスキングし、個人情報が特定されないように加工した上で混雑度の判定に使います。
動物園は混雑しやすい環境ですが、来園者同士の密を避けるため本システムが活用されています。通信はKDDIの5Gを利用することで高速通信を行っており、今後は混雑データを分析し園内の改善活動にも利用していく方針だそうです。


②パソコンやスマホから園内の生き物を観察できるバーチャルツアー「東京Zoovie Maps & Tours」

コロナ禍の影響で来園が難しい来園者に対して、自宅でも園内の生き物を観察できるウェブコンテンツ「東京Zoovie Maps & Tours」を2021年3月に公開しています。
「東京Zoovie Maps & Tours」は高画質のVR(バーチャルリアリティ)映像を使用しており、園内バーチャルツアーや、生き物について楽しく学べる動画など、さまざまなコンテンツを楽しむことができます。

東京ズーネット「東京Zoovie Maps & Tours」オープン! おうちで都立動物園・水族園を探検しよう!」より抜粋

閲覧できるVRスポットは上野動物園以外にも、東京動物園協会が運営する「多摩動物公園」、「葛西臨海水族園」、「井の頭自然文化園」の4スポットが用意されており、各園内の施設や動物たちのVR映像が見れます。
上図のように360°見渡すことが可能な高画質VR映像を体験でき、PCやスマホ・VRゴーグルを使って様々なコンテンツや生き物図鑑が閲覧できます。VR映像内にはいくつかのリンクポイントがあり、動物園・水族園ならではのさまざまな動画(Zoo Movie=Zoovie)を楽しむこともできます。


経営戦略とDXの関連性について

東京動物園協会は公益財団法人となります。公益財団法人は一般的な企業と違い、公益性の高い事業をすることが求められます。
IR資料のような詳細な経営資料は少なかったですが、2020年8月に公表している「経営改革プラン(2021年度〜2023年度)」にてIT利活用の記載があります。

東京動物園協会は戦略の一つである「利用者サービスの質の向上」を達成するために、5GやキャッシュレスなどのIT技術を積極的に活用していくことが記載されています。

(公財)東京動物園協会「経営改革プラン(2021年度〜2023年度)」より抜粋

東京動物園協会では動物園・水族園での動物展示を通して「命の大切さ」「生きていることの美しさ」を伝える活動を行っていますが、動物園という特性上、その活動はお客様に来園してもらうことが前提でした。来園が難しいコロナ禍の状況では十全な取り組みが行えていない状況のため、5G等の新たな技術を活用し、来園したくても来れない人向けのサービスを開発していこうとしています。

ITの先端技術を活用することにより、園外にいても、生きている動物や動物園・水族園を感じ取ることのできる情報発信を目指していきたいとのことです。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は動物園という密になりやすい環境においても、密を避けるための取り組み来園しなくても楽しめるサービス提供についてのDX事例でした。

最近は動物園や水族園などのライブカメラも登場してきて、来園しなくてもリモートで動物が見れたり楽しめるサービスが増えてきましたね。こういったサービスは無料の場合が多く、自社の利益よりも公益性を求める公益財団法人だからこそできる取り組みかもしれません。ですが無償であれ有償であれ、大事なのは経営理念や経営戦略に沿った行動・サービスを実践できているかだと思います。

皆さんの会社でも、叶えたい経営理念やビジョンを実現するためのサービスを日々考え続けていると思いますが、その実現にIT技術が役立つ場面はきっとあると思っています。
引き続き、皆さんの経営の一助になるようなDX事例の記事をお届けしていきますので、次回もお楽しみにしていただければ幸いです♪
タナショー


参考にさせていただいた情報
東京ズーネットHP
https://www.tokyo-zoo.net
上野動物園HP
https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
上野動物園混雑マップ
https://onezoo.jp/ueno_map/
東京Zoovie(トーキョーズービー)
https://www.tokyo-zoo.net/zoovie/
公益財団法人東京動物園協会
http://www.tzps.or.jp
公益財団法人東京動物園協会「経営改革プラン(2021年度〜2023年度)」
http://www.tzps.or.jp/pdf_files/management_reform_plan.pdf
公益財団法人東京動物園協会「令和3年度事業計画書」
http://www.tzps.or.jp/pdf_files/business_210430_01.pdf
株式会社OPTiM
https://www.optim.co.jp

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