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[DX事例85]ロボットフレンドリーな惣菜盛り付けロボットで業務効率化_マックスバリュ東海株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回はスーパーマーケットの業界からです。イオングループの一つであり、主に静岡、山梨、愛知などの東海部分に店舗展開しているマックスバリュ東海株式会社の惣菜ロボットを使ったDXです。



業界初の惣菜盛り付けロボットが登場、ロボットフレンドリーなシステムとは何か? マックスバリュ東海のDX事例

マックスバリュ東海は2019年にマックスバリュ中部株式会社と経営統合をしており、店舗数は200店を超えます。商圏エリアとしても、東は神奈川県から西は滋賀県までと長大に広がっています。

経営統合に伴い、両社のノウハウや経営資源の有効活用や生産性向上のための取り組みを行なっています。今回はそんなマックスバリュ東海のDX事例をお伝えしていきます。


①不定形で柔らかいポテトサラダをロボットが盛り付け。惣菜業界初の惣菜盛り付けロボット

今回の取り組みは、経済産業省と日本惣菜協会が共催で進めている「“ロボットフレンドリー”な惣菜製造自動化」に基づいた事例です。
マックスバリュ東海は自社工場である長泉工場にて、「惣菜盛り付けロボット」を2022年3月から導入しています。惣菜盛り付けロボットは株式会社FAプロダクツ、株式会社オフィスエフエイ・コム、コネクテッドロボティクス株式会社らが共同開発した製品となります。

「惣菜盛り付けロボット」は不定形かつ柔らかい、粘着性の高い食材を取り扱うことができ、指定された定量をつかみ製品用トレイに均一に取り付けることが可能です。

コネクテッドロボティクス株式会社「惣菜業界初、惣菜盛付工程へのロボット導入、現場運用に成功 ~「惣菜盛付ロボット」を製造工場に4台導入~」より抜粋


惣菜・お弁当などの盛り付け工程は、先に述べた不定形で柔らかい食品の把持や、多品種少量に対応することの難易度からロボット導入が困難な状況でした。さらに惣菜業界専用のロボットを作りだすとなると、ロボット提供会社が1社だけで対応するには費用が高額になり、顧客側が手を出しにくい形になります。

今回、経産省と日本惣菜協会が進める「ロボットフレンドリー」というキーワードですが、「ロボットが稼働しやすい業務工程や環境を作り出し、ロボットに求められる機能を最適化することで全体コストを下げる」という意味だそうです。
多数のユーザ社とロボットベンダー社がタッグを組み、汎用的なロボットシステムを作り出すことで惣菜業界の業務効率化・省人化を推し進めようとしています。

Youtube「ポテサラの容器詰めで惣菜製造の自動化に前進! 「ロボットフレンドリー」の採択事業を公開【ロボットダイジェスト】」より抜粋


今回の惣菜盛り付けロボットは長泉工場に3台導入されており、6時間で5,000から6,000パックを生産できています。現場の惣菜業務を担当する人の多くは女性とのことで、今後は単純作業はロボットに任せながら価値ある判断業務を従業員が行う棲み分けをしたいとのことです。


②量子コンピュータがシフト計算!?「シフト計算最適化システム」

こちらも経産省と日本惣菜協会が進める「“ロボットフレンドリー”な惣菜製造自動化」の取り組みとなります。株式会社グルーヴノーツの開発しているシフト計算最適化システム「MAGELLAN BLOCKS」を使用しており、長泉工場のシフト作成に利用されています。

シフト計算最適化システムは従業員の勤務可能時間や、従業員の作業レベルなどをインプットすることで、シフト表が作成されます。

このシステムの特徴はなんといっても量子コンピューターです。
量子コンピューターの仕組みはタナショーも詳しくないのですが、膨大な選択肢の中からベストな選択肢を選ぶ「組合せ最適化問題」を超高速計算できる特徴があります。

株式会社グルーヴノーツ「マックスバリュ東海とグルメデリカで、量子コンピュータを用いたシフト作成サービスの活用を開始|ニッセーデリカは、AIによる注文量予測を実施」より抜粋


シフト作成も「組合せ最適化問題」であるため、量子コンピューターとの親和性は高いです。実施効果として、ベテラン社員が1日2時間くらいかけていた作業を10分程度まで短縮化することが可能です。(実際の量子コンピュータの計算自体は10万分の1秒で完了)
今回の取り組みでは、シフト表作成で得られた理論値と実際の運用で発生するギャップを洗い出しながら、シフト表の精度を高める活動を続けていくとのことです。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
マックスバリュ東海のIR資料やニュースではDXに関する記載が少なかったので、経営戦略との関連性は割愛させていただきました。

今回は惣菜業界という特定の業界において、人手で行なっている業務を効率化・省人化する取り組みでした。
惣菜の盛り付けやシフト表作成のためにロボット導入したり、量子コンピューターを使ったり・・・。「そこまでやるのか」と思ってしまうくらい高度な事例でしたね。

もちろん実証実験という意味合いもあったかと思いますが、人材不足や業務効率化を実現するためにITを使った解決策は様々なものがありますね。
今後も様々なDX事例をご紹介していきますので、参考にしていただければ幸いです。
タナショー


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参考にさせていただいた情報
マックスバリュ東海株式会社「2022年2月期決算説明会」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8198/ir_material_for_fiscal_ym1/108345/00.pdf
一般社団法人日本惣菜協会「“ロボットフレンドリー”な惣菜製造自動化」
https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/news/20220329/
コネクテッドロボティクス株式会社「惣菜業界初、惣菜盛付工程へのロボット導入、現場運用に成功 ~「惣菜盛付ロボット」を製造工場に4台導入~
https://connected-robotics.com/2022/03/29/cr/
株式会社グルーヴノーツ「マックスバリュ東海とグルメデリカで、量子コンピュータを用いたシフト作成サービスの活用を開始|ニッセーデリカは、AIによる注文量予測を実施」
https://www.magellanic-clouds.com/blocks/2022/03/29/robot-friendly-2/
Impress Watch「“ロボットフレンドリー”で惣菜盛り付け自動化。経産省らが推進」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1399031.html

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