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『出産して、何かギャップはありましたか?』

昨日、友人とLINEでビデオ通話をした。
昔からの友人で、今33週目の妊娠期間に身を置いている女性だ。片や臨月、方や0歳児育成中の環境とあっては、自然と話題は子ども絡みになる。
根が生真面目な彼女は、『ひとでと話す上で質問したいこと』をメモにまとめて挑んでいる様子だった。そんなん思いついた時々でLINE入れてくれや、と思うけど、まぁ人によってやり方は様々だろう。


で、色々話して、娘も眠そうなのでぼちぼち切り上げようかなというところに「そうそう、これだけは聞こうと思ってたの!」と言われ、何が来るのかと身構えたところにぶち込まれたのがタイトルの質問だ。どこの雑誌のインタビューよ。
思わず笑いながら「ないよwwwwww」と答えてしまったのだけれど、これ「ない」とぶった切ったの、ちょっと違ったなと後から考えた。正確には『ギャップ』という単語がしっくり来なすぎて、私的脳内検索ベースにヒットしなかっただけだと思う。


ギャップも何もないだろう。
だって、ギャップを感じることが出来るほど、『出産・育児』における知識や明確なイメージを、私は持っていなかったのだから。


もしこれが、『出産してみて、驚いたことあった?』と聞かれたら「めちゃめちゃある、毎日ある」と答えた気がする。
そんで彼女の意図したところは、多分こっちだった気がするのだ。


そう、私は、私たちは、妊娠・出産・育児という世界における予備知識が、あまりにも少ない。
女性特有の世界とまで言う気はないが(男性が他人事として見ていい時代はもう終わったはずだと信じている)、それでもより『当事者』たる女性の私たちですら、こんなにも無知なのかと愕然とした。

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そもそもの、『妊娠』に至るまでの道のりの長さ。ゴムなしSEXをすればいつでも出来るという訳でもなく、かといってそのへんを甘く見ているカップルの所に限って着床したりする。
タイミングと、運。
そこに五体満足かどうかの話までやってくれば、なるほど出産は『神秘』であり『奇跡』だろう。

不妊治療の大変さ(これは私は未経験だけれど、周りで頑張っている人は、私が子どもの頃想像していた状況の何倍も多い)。
ちなみに先日テレビで見たけど、婚姻関係にある夫婦以外の人工授精は医者ではやってもらえないんだって。だからLGBTのカップル、個人とかで手に入れた精子を自力で膣に入れたりしてるんだって。大変すぎる。そういうとこ、国はもっと整備してあげてほしい。

やっと着床したとて、その後の流産確率の高さよ。私の周り、1回も流れずに産めた人の方が少ない気がする。

妊娠前半の方が、お腹の目立つ後半よりずっと辛いこと。そのくせ、産休は予定日の2ヶ月前まで取れないこと。いっそ逆の方がマシなんだけど。

悪阻ひとつ取っても、人によって期間も内容も重さも全く違うこと。最初の数ヶ月で終わった人から生まれる直前まで悪阻が続いた人、食べづわり、匂いづわり、涎づわり、水すら飲めずにドクターストップで妊娠を諦めさせられた人まで。同じ母体なのに、長男は3ヶ月、次男は6ヶ月、三男は9ヶ月悪阻が続いたなんて人もいるらしい。
よく聞く「すっぱいものが食べたくなる」も人による。「前半はすっぱいもの、後半は甘いものが食べたくなった」という人も知ってるし、全然すっぱさと無関係のものを食べたがった人も多いらしいし、私に至っては別に食の思考は全く変わらなかった。
全部、『人による』。

『胎動』が始まることによる安心感。
生きてる。今日も元気に生きてる。

『安定期』が『前半と比べれば比較的安定』なだけであって、別に何も安定してないこと。
臨月ですら、子が突然亡くなるケースは珍しくないこと。その時、出生届は出せないのに死亡届は出すことになること。辛すぎる。

『自然分娩』『計画分娩』『(計画)無痛分娩』『水中分娩』等、色んな分娩方法があるはずなのに、日本ではまだまだ自然分娩以外の方法を周りが取らせてくれないケースがごまんとあること。
身内しかり、病院しかり。拷問とすら言われる痛みに耐える本人に選択権がないの、どう考えてもおかしいと思う。人権団体動いてくれよ。
「出来るけどやらない」病院すらあるらしいよ。お前が体験してみろやって思う。

身長170cm以上の成人男性である後輩が、生まれた時は1800gだったりすること。そういうところは、医療の発達を感じる。ありがてぇ。

出産は、10ヶ月色んな人に頭を下げながら、人生を賭けて挑んだプロジェクトみたいなものであること。
それが「先方の都合で急にダメになりました」みたいな理不尽なキャンセルがあったりすること。なのに、「お前の頑張りが足りないから」とか「また次頑張ればいいじゃん」とか、心無いことを言う人が、まだまだいること。

いざ生まれてみても、ベビー用品ひとつ取っても、全く未知の品が多いこと。バウンサー?スリング?ヒップシート?
母乳パッドや沐浴剤、名前はわかるけど使い方が全然ピンとこなかった。その時になってやっと理解する。オムツにテープタイプとパンツタイプがある、なんだどう違うんだ。
逆に『おくるみ』、全あかちゃんに必須アイテムなんだと思ってたら退院の時1回使うかどうかだった。そんなにも使わないのに、何故こんなに赤子アイテム代表みたいな顔をしてるのか。

生まれた直後でおりものや生理がある女の子がいること。
あれマジびびった。

『スタイ』は出産祝いで貰いやすいアイテムナンバーワンなこと。価格なりデザインの豊富さなり被っても困らないところなり、色々丁度良いのだろう。
でも最初使わないと思ってたら後で使えたり、着けること自体嫌がられて全く使えなかったり、これも個人差があること。

色んな手続きがジワジワあって、育児参加に積極的なパパだと指示すればやってくれたりするけど(やってくれないパパも、残念ながらまだまだいるらしい)、それでも自分から書類手続きの方法や書類作成などに至るまで積極的に調べて動けるパパとまでになると国宝級に希少なこと。
いるところにはいるのかもしれないけれど、少なくとも、私の周りでは見たことがない。そういう『指示を出す為に色々調べたり準備したりする』はまだまだママの役割とされてるのが現状で、それらは『名も無き家事』とかいうやつに分類されている気がする。
「私ばっかり……!」みたいな溝、こういうとこから溜まってくんじゃないかなぁ。

『保育園』の手続きが色々面倒だし、いざやってみた上で落ちてほしいという気持ちになったこと。
産休前は「とりあえず保育園に申し込みして、また職場復帰するんだよね!」って思ってたのに、完全に心境が変化してる。お金はないけど娘の面倒をちゃんと見ていたい。でも保育園の申し込みして落ちてないと育休の延長すら出来ないとか、色々めんどくさい壁がまたある。
時短でと思ってたけど、そうすると入園に必要な点数が下がって退園させられたりする。なんでそういう『詰み』システムにすんの?

そういうあれこれを経て、『2人目は……厳しいかな正直……』という心境になってきてること。兄弟で同じ保育園に入れる手続きが出来ると入園しやすいシステムがあるけど、すぐまた2人目作ろうとした場合、産休やら育休やら色々貰って、戻ってきた社員がまた妊婦でした(2人目妊娠中)とか気まずすぎん?そりゃ出生率も下がるわ、お国の偉い人は私がここにつらつら並べ立ててる内容のうちいくつを把握してるんだろうな。

買った玩具の電池別売案件……は多少予想してたけど、ドライバー必須案件は想定してなかった。特に、細身のドライバー(#0~#2くらい)が必要な場合は多い。確かに、手で簡単に電池蓋が取れると誤飲案件にもなってまずいもんなぁ。
我が家は元々もっと太いドライバーしかなかったので、これは後から買い足した(100均にあった)。持ってない妊婦は用意しとくといい。

生まれた子を「かわいく感じない」親もいること。尚、出産直後そこまでピンと来なかったけど今世界一の美少女だと思ってるのが私です。
あっ、後子ども産んでから周りの子どもの写真を可愛いと思う率が高まった。「うんうん、かわいいねー」くらいが「かわいいーーーーー!!!!」くらいのテンションの差がある。こういうのも人によるだろうけど、ほんとに色んなところで「おっ、そういえばここも」という心境の変化がある。

まさか私があんなにも写真フォルダを我が子で埋めることになるとは思わなかったこと。そんで「見て見て!」ってLINEでお友達に写真を送りつけたりしてること。出産前の私からはとても信じられない。
後、それをOKしてくれる友達を2人くらい確保しておけるかどうかで心の安定が全く違うこと。私妊娠期から今にいたるまで、相談なり写真送りつけなりで誰かとLINEしてない日がない気がする。

わずか半年の間で、赤ちゃんの顔変わりすぎなこと。
何段階進化してるんだよ。

『思い通りのタイムスケジュール』が全く組めないこと。娘が元気な時には(あれやりたいなぁこれやりたいなぁ)と思ってるのに、娘が寝た頃にこちらも眠くてダウンしたり、逆に瀕死の思いで暴れる子の相手をしなければならなかったり、(た、タイミングわっる……!)と思う時、めちゃめちゃある。ある。

娘の相手をしながら片手で操作できる程度のスマートフォンはマジで文明の利器であること。
思った以上にNHKにお世話になること。

『赤ちゃん肌』と言うけど、産まれたては案外カサカサなこと。

おしっこもうんちも、出たら「やったー!」であって、汚いとかではないこと。うんちが無事出た報告LINEを旦那さんに送るなんて未来、想像してなかったよ私は。

「おなかが空けば、おっぱいやミルクを当然飲むだろう」は思い込みだったこと。おっぱい拒否、ミルク(哺乳瓶)拒否は珍しい話じゃないこと。赤子、嫌だと思ったら意地でも飲まない。予想以上に意思が強い。

娘に合わせた早寝早起きの習慣になってくること。
完全夜型の……この私が……!

どんな顔でもかわいいけど、花丸笑顔が最高に愛おしいこと。


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まぁあと、私が毎日文字ブログ書いてて、案外読者がついてくれてることとかね。
ずっと漫画描く人間だったから、文字の世界でもこんなに色んな反応を頂けるとは思ってなかったの。ありがてぇー。

並べれば、いくらでも。
今日の日記も4200文字を超えてしまった。
それでも書き切れないほどのびっくりを、毎日毎日たくさんもらっている。

今日は、どんなびっくりを教えてくれるのかな。
どうせなら、良いびっくりだといいなぁ。

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